夜明けの名は
こんにちはウルカ。
人間は名前をつけるよな。
家族やペットに固有の名前をつけるのは一般的だ。
船や飛行機、何故か台風にも名前をつける。
これが車やバイク、自転車に名付けるとなると、やや珍しい。
ボールペンやトイレットペーパーに名前を付けている人間に至っては、もはや奇人扱いだろう。
俺は動物には名付けた事があるが、植物、道具などの物に対しては名前をつけた事がない。
この名付ける、名付けないの差ってなんなんだろうな。
兎に角、自分で名前をつけたものは、何だか凄く大切にする気がする。
であれば、大切なもの、大切にしたいものにはそれが何であろうと名前をつけた方が良かったんじゃないか?
と、今までの自分を戒めるような気持ちで、腐ったような霧の中をバタバタとオートバイを走らせる。
股の下で鼓動しているお前、左腕で振動しながら時を刻んでいるお前、アスファルトを蹴るビブラム底のお前、昨日洗って今朝乾いていたお前、テレビの前で腰掛けるとギィっていうお前。
まだまだ沢山いるな。
俺はお前たちの名前を考えよう。
人前でお前たちの名を呼ぶと、奇人を表す新たな渾名が俺に名付けられる恐れはあるが、構うものか。
ドロドロと咆哮するOHVが、俺の内臓をかき混ぜる。
夜明けはもうすぐ。
ウルカ、明日はササミにするか。
今日のウルカはデュビアを3匹。