直立するクジラ
おはようウルカ。
お前はケージに入れた俺の手に飛び乗ると、腕を伝い、肩から頭へ登り、床に向かって、跳ぶ。
骨折でもするんじゃないかと心配な俺は、空中でお前を受け止める。
そのまま陽の当たる窓辺へ向かう。
チロチロと舌で俺の存在を確かめると、柔らかな日差しの中で目を細めるお前は、雄なのか?それとも雌なのか?
オオトカゲの性別を見分けるのは難しい。
外見上の違いが殆どないからだ。
更に雄でも卵を産む事があるらしい。
そして、交尾経験のない雌が産んだ卵が孵化する事もあるらしい。
メチャクチャじゃねえか。
もはや神すら欺く所業だな。
お前を見ていると、人間の秩序や差別などちっぽけに感じるよ。
それなのに、支配されて、時には命をかける人もいる。
そんなダイナミックな想像をしている俺をよそに、お前は俺の手の中で、寝た。
と見せかけてソファへジャンプ!
忘れていたよ神すら欺くお前には、俺を欺くなど赤子の手をひねるくらいに簡単な事だったね。
いやいや、赤子の手をひねるという表現は、現代社会においては目くじらを立てられるかもしれない。
まてよ、目くじらのクジラってなんだ?
今日のウルカはデュビアを12匹。