おはようウルカ。
歩いている。
人工的な光が、夥しい雑踏を露わにしている。
自分もこの群の一部だという事は理解しているが、心の何処かでは信じていない。
信じてしまえば、苦悩や痛みから解放され、楽になるかもしれない。
それでも、岸壁に素手でしがみつくように、自分を信じる事をやめない。
肉体と精神がちぎれたとしても、心を死なせるわけにはいかない。
LEDライトに照らし出された黒い蟻の群れは、何処へ向かうでもなく、なにもない土の上にただ留まっているように見えた。
俺は、自転車に乗って家へ帰った。
今日のウルカはデュビアを10匹。