あひ、あはぁい

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おはようウルカ。

 

おい、君。

君だよ、君、ちょっと待ちなさい。

そこのガーターベルトの、君、止まりなさい。

白昼、キリキリとまわる赤い回転灯は、薄汚れた裏路地に緊張の花を咲かせる。

 

君、ダメじゃないか。

ここは公共の場だよ。

そんな格好で歩いていたら、欲望の塊みたいな無法者達にめちゃくちゃにされてしまうよ。

子供達の教育にも悪影響だ。

とにかく卑猥だよ卑猥。

PTAだよPTA。

 

頭に回転灯を直接くくり付けた警官は、純白のブリーフをハイレグ気味に腰上で履きこなしている。

オシャレだ。

うー!うー!ううー!

サイレンの声マネには相当の自信がある。

ヤマブキ色のローラースケートを履いている。

裸にPOLICEとプリントされたベストを逆さに羽織っている。

オシャレだ。

昨夜の、地下アイドル総入れ歯シックスティーエイトのイベントで使用した紫に光るペンライトを、男にむけた。

耳たぶと乳首をガーターベルトでつないでいる。

白昼堂々だ。

いや、白昼堂々としているのはガーターベルト男ではなくて、ブリーフ警官の方なのかもしれない。

腿裏の体毛が異常に濃い。

白ブリーフとのコントラストが眩しい。

 

太陽の下では、ペンライトの光量などゼロに等しい。

男の姿を露わにしているのは、100パーセント太陽の力だろう。

ガーターベルトの金具でパッチンとなっている部分が痛いのか、歩き方がぎこちない。

いや、歩き方がぎこちないのは靴のかわりに冷凍水餃子の空袋を履いているからかもしれない。

 

一体君はなんなんだね。

ブリーフ警官は質問した。

え、え、しゅ趣味は読書でぇ、ロング・グッドパイとドクラ・マグラを交互に読んでいますぅ。

 

あぁ?職業は?どこに住んでいるの?身分証ある?

あひ、あはぁい。

今はジャングルジムのインストラクターやってますぅ。

入会金は無料ですぅ。

芝崎裏公園でとぅ。

もり!もり!もりぃ!もり、もりぃ!

と言いながら、ふくらはぎの筋肉をみせた。

 

なるほど不審な人物ではないようだね。

お仕事頑張りなさい。

よいジャングルジムクライマーを育てるんだよ。

期待しているよ。

 

うー!うー!ううー!

ブリーフ警官は、先程農家でかっぱらってきた雌のヤギに跨ると、手綱を握って敬礼をした。

 

うー!うー!メェ〜!ううー!メェ〜!

ガーターベルト男はブリーフ警官が見えなくなるまで見送った。

理由は全くわからないが、男の頬で一筋の涙がキラキラと輝いた。

 

パン、パン、パン、遠くで拳銃を乱射する音が聞こえる。

うー!うー!メェ〜!ううー!メェ〜!

 

 

なあウルカ、こんな童話をひっさげて、絵本業界に殴り込みをかけようかな。

PTAだよPTA。

 

今日のウルカはデュビアを9匹。