そりゃそうだよな、じいちゃん
おはようウルカ。
人に出会ったら挨拶をする。
俺はじいちゃんにそう教わった。
俺の育った小さな田舎町は人も疎らで、出会う人間ぜんぶと笑顔で挨拶を交わしても、ドブ川のザリガニを追っかける余裕があった。
少し賑やかな街で暮らし始めると、人が多すぎて知り合いだけに挨拶を限定するようになった。
そして凄く賑やかな街に暮らし始める頃には、隣近所にすら挨拶をしなくなった。
挨拶って何だろうな。
挨拶を全くしなくても生活は出来るだろうし、実際にそうやって生きている人もいるのだろう。
笑顔で挨拶を交わすと、一瞬だけ小さな火がともるような、そんな気がする。
それを続けると、どんどん火がともって体が温かくなるような、なんだか、とても、そんなような。
小さい頃、俺は寒がりで、すぐに風邪をひいて、病弱だった。
じいちゃんは心配で、少しでも体を温めようと俺に挨拶を教えてくれたのかもしれないな。
なあ、じいちゃん、俺は随分丈夫になったよ。
多少の寒さなんか全然平気だ。
良いダウンジャケットだって持っているし、強さひきだす乳酸菌も飲んでいる。
それでも、やっぱり挨拶は良いもんだな。
そりゃそうだよな。
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