ポチ

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おはようウルカ。

 

フライドチキンを咥えて走っている。

レストラン裏の空色のゴミ箱でみつけた。

背後からは野犬が数頭追ってきている。

縄張りを荒らされた事への怒りなのか、フライドチキンの匂いに興奮しているのか、ときおり唸り声をあげている。

濡れた路面は踏ん張りがきかずスピードが出ない。

背後の野犬との距離が縮まる。

 

ポチ。

私はそう呼ばれている。

犬野郎、負け犬などと罵られる事もある。

今夜の命令はゴミ箱を漁って残飯を咥えたまま街を走って帰って来いというものだった。

 

細い路地を抜け、沢山の人々が行き交う大通りに出ると野犬達は諦めたのか追ってこなくなった。

私は少しだけ走るスピードを緩める。

あれ、え?課長、なにしているんですか?そんな格好で。

突然声をかけられたが構っている暇はない。

今は大切な任務の最中である。

90分というプレイ時間も既に半分が過ぎている。

この日の為に残業だって頑張ってきたのだ。

なによりも女王様をがっかりさせるわけにはいかない。

むき出しの尻のミミズ腫れを夜風が優しく撫でる。

私は鋭く歓喜の声をあげると、再び走るスピードをあげた。

 

 

 

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今週のお題「雨の日の楽しみ方」