仮想を可視化したところでエスカレーターの行方は
おはようウルカ。
日曜日は道が空いていて良いね。
昨日から続く雨は今日も一日中降るつもりだと思っていたが、スパッと止みやがった。
かわりに青い空から強い陽光が降っている。
俺はランドクルーザーを西に走らせている。
西の空には黒い雨雲が広がっている。
晴天の街から黒い雨雲が空を覆う街へ突っ込むのか。
四輪駆動にはぴったりのドラマチックな展開じゃねえか。
言ってるそばからデカイ雨粒が落ちてきやがった。
ワイパーのスウィッチを入れる。
カーステレオではトムヨークが声を荒げている。
ショートカットをするため舗装されていない道へとハンドルを切る。
四輪駆動に切り換える。
4つのタイヤが別々の生き物のように悪路に喰いつく。
途中、橋のない川を二つ渡り、荒れた岩の丘をデフロックで切り抜けた。
職場の駐車場にランドクルーザーを停める。
俺はVR用ヘッドマウントディスプレイを外す。
映画館を出た時のような、現実へ引き戻される感覚に眼を細める。
今日は曇りか。
クルマのセキュリティーをオンにすると、足が浮くような居心地の悪さを引きずりながら職場がある建物へと向かう。
自動運転化。
それでも運転したくてウズウズしちゃうような奴用に、VR、AR技術を使ったリアルなバーチャル運転が楽めます。
なんてメーカーオプションが販売されるのかね。
クソだな。
まあ、とにかく仕事をやっつけてくるぜ。
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