差の絶対値

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おはようウルカ。

 

モニターの電源を入れる。

映し出された作業途中の画像は、寿命を全うしようとしている老犬のように死にかけだった。

全く精彩に欠けている。

おいおいどうした、昨日まであんなに元気だったじゃないか!

あの弾けるようなシズル感は俺の願望が見せた幻だったのか?

いやいや、俺はまだそこまでイカれていないはずだ。いや、イカれているのか?

落ち着け、死にかけてみえる要因を探すんだ。

深くまばたきをする。

もう一度モニターの画像をみる。

そうか、昨日まで絶妙に適正だと思われた明るさが、今朝は暗すぎる。

別のデータを開いてはいないか。

調整が無効になってはいないか。

アプリケーションの環境設定は。

モニターのキャリブレーションは、輝度設定はどうだ。

異常はなさそうだ。

やはり俺の目がおかしいのか。

俺は自分の手のひらを目の前に翳す。

いつもより肌理が鮮明に見える。

天井を見上げる。

色評価用のLED照明が新しいものにかわっているじゃねえか。

これだな。

環境サポートのチームが夜中に職場の照明を片っ端から新型に交換してくれたんだな。

ご苦労様です。ありがとうございます。世界が見やすくなりました。

環境が明るくなった分、モニターの輝度が足りなくなったんだね。

画像は昨日から何一つ変わっていなかった。

試しにプリントしてみると全く問題ない。

発光しているRGBはつかまえるのが難しいな。

俺が綿密に調整した適正は、ちょっとした環境の変化で簡単に揺らいだ。

本質は変わっていないのに、環境が変わったことで別のものになってしまう。

これを人生に当てはめると、、

などとアホみたいなことを考え始めたので、これはいかんと隣でつぶグミを受想行識でついばみ続けている同僚にデコピンじゃんけんを挑み、見事勝利したので機嫌よく仕事を再開した。

 

 

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