スクラッチ・エンジェル

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おはようウルカ。

 

博士は研究に研究を重ねた。

人類はマッサージチェアーを発明した。

しかしまだやり残したことがある。

そう、スクラッチチェアーである。

人は身体のコリをほぐしたい欲求と同じくらいに、背中を掻いてもらいたい。

そう、背中が痒いねん。

孫の手などという商品があるが、あれでは本来の欲求を満たす事には到底届かない。

そう、孫の手では届かないのである。

先ず、他者に掻いてもらうという所が大切なポイントとなる。

自分で痒い所を掻くのでは、全く面白みも幸福感も得られない。

これは痒い部分を一切把握していない他者が当てずっぽうに掻き、それが偶然にもKスポット、要するに痒いスポットにヒットした時の高揚感と幸福感、そしてKスポットに程よいシャープネスの爪を有した力強くも優しい手が少しずつ近づいてくる期待にうち震える感覚こそが醍醐味なのである。

手の大きさも大切な要素となる。

大き過ぎても小さ過ぎてもいけない。

この世界は、程よいシャープネスの爪を有した力強くも優しく程よいサイズの手を持つ愛に溢れる家族や恋人を持つラッキー野郎ばかりではない。

シングルアパートで孤独に背中を痒がっている者、家族に全く相手にされずリビングのソファーベッドで眠る者、SADを患い他人と接する事が困難な者、背毛の量が尋常ではなく恥ずかしくてTシャツを脱げない者。

様々な事情が生きている人間の数だけあることだろう。

博士は研究に研究を重ねた。

マッサージチェアーを応用して製作したスクラッチチェアーは申し分ない掻かれ心地を提供する事が出来たのだが、何か物足りない。

そう、大切なのはSP(スクラッチ・ポジション)、要するに掻きを提供される時の体勢である。

それはいにしえの頃より、うつ伏せと決まっている。

こうなると座る事を前提としたチェアーでは役不足だ。

リクライニングしたところでなんの意味もない。

ベッドや布団、畳などにうつ伏せとなった状態の被掻者に対して掻きを提供できるもの。

そう、SR(スクラッチ・ルーフ)、またはSC(スクラッチ・シーリング)、要するに天井から手が伸びてきて掻きを提供する機構を持つ天使。

博士は商品にスクラッチ・エンジェルと名付けた。

クラッチ・エンジェルの設置には家をぶっ壊す程の大掛かりな工事が必要となる。

 

クラッチ・エンジェルⅡ

258万円(工事費・消費税別)

 

注文は、未だない。

 

 

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