アールポスイ

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こんにちはウルカ。

 

港署。

本日からお前の相棒はカオスA.Dだ。

なかなかのロクデナシだ。

まあ、よろしくたのむよ。

私はサイモン課長に言われた事を思い出していた。

私が新しく配属されたこの生活環境課は、武器、危険物の違法所持や産業廃棄物の不法投棄など、環境を脅かす犯罪を取り締まっている。

さーせん。遅くなりましたぁ。

ショッキングパープルのモヒカン頭をビンビンにおったてたパンク野郎がメロンソーダを片手に入ってきた。

署内のデータベースで顔写真を確認していた私は、それがカオスA.Dだとすぐにわかった。

私はカオスA.Dに声をかける。

やあ、本日付でここに配属になったガルダだ。

君がカオスA.Dだろ?今日からよろしく頼むよ。

おうおう、よろしくな。

ここはむさ苦しい奴ばかりだが、皆気のいい奴らだ。

気楽にいこうぜ。

それにしてもガルダとは珍しい名だな。

ありがとうカオスA.D。

ガルダとはサンスクリット語で炎の神の鳥を意味するんだ。

名前の通り、この炎の翼で悪党どもを焼きはらうよ。

私は自慢の炎の翼を広げてみせた。

ようよう、気をつけてくれよ。

オレの自慢のトサカが燃えちまうよ。

ああ、すまないすまない!

ワッハッハ

アハハハハ

私とカオスA.Dは笑った。

よしガルダ、パトロールに出かけようぜ。

私たちは丁寧にムダ毛処理をされたケンタウロスに跨ると、街へと繰り出した。

街にはありとあらゆる武器や危険物の不法所持、生命体に悪影響を及ぼす産業廃棄物の不法投棄が蔓延っている。

私は片っ端から自慢の炎の翼で悪を焼き払った。

カオスA.Dといえば私の傍らでメロンソーダを片手にうわーすげーよく燃えるなぁ!と笑っているばかりで何もしない。

私は耐えかねて言う。

おい、カオスA.D、少しは手伝ったらどうだい。

すまねえすまねえ、あんたのオレンジ色の翼があんまり綺麗なもんだから見惚れちまっていたのさ。

それにあんたのその炎にこの自慢のトサカを焼かれちまわないように必死だったのさ。

ワッハッハ

アハハハハ

私とカオスA.Dは笑った。

なあガルダ、今日一日お前さんと街を巡回して分かった事があるんだ。

この街で一番の危険物はお前さんのその炎の翼だってな。

そう言うとカオスA.Dは手に持ったメロンソーダを私の炎の翼にかけた。

これは聖なる水、アールポスイと言ってな、如何なる炎も鎮火する力があるんだ。

アールポスイをかけられた私の炎の翼はみるみるうちに小さくなり、跡形もなく消えた。

ワッハッハ

アハハハハ

私とカオスA.Dは笑った。

こりゃあ一本取られたな。

危険物を危険物で制圧するなんてのは野蛮だものね。

カオスA.Dはちっともロクデナシなどではなかった。

良いコンビになりそうだ。

私とカオスA.Dを乗せた丁寧にムダ毛処理をされたケンタウロスはブルんと勇ましく胸を張ると、あかい夕陽にそまった港署へ向かって歩きだすのであった。

 

 

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