森が膨張したようだ
おはようウルカ。
動物は隠れる事が好きだよな。
好きというよりも、酸素や水と同じ様に生きる上で必要な要素なのだろう。
隠れる事によって、雨、雪、雹、風、陽光、寒さ、暑さ、外敵、から身を守る。
更に人間はプライバシーや財産や1人の時間を守るためにドアに鍵をかけ、カーテンを吊す。
その点、植物は同じ生物だけど、逃げ隠れしないね。
雨、雪、雹、風、陽光、寒さ、暑さ、外敵も全て受け入れている。
動物達の隠れ場となり、食料となる。
プライバシーや財産や1人の時間も分け与える。
なんて寛大なんだ!
列車の窓から薄暗くなった街を見ている。
人間の隠れ場が森を邪魔するように群立している。
それでも木々は今日も全てを受け入れ、与え続ける。
俺は列車を降りると少し歩いて、岸壁にできた小さな穴ぐらのような人工の隠れ場に入る。
それから皆がそうするように、明かりを灯す。
穴ぐらの窓から薄暗くなった街を見る。
群立する人工の岸壁の穴から無数の光がもれている。
さっきより、森が膨張したようだ。
このまま全部が森にのみこまれるのかもしれないな。
まあ、そうなったら、そうなっただ。
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