ウェアラブル型の飛行昆虫
こんにちはウルカ。
鏡のような銀色のタンクのトラックが、歪めた世界を反射してみせている。
中央分離帯に捨てられた左足用のスニーカーは、草原に放置された廃バスのようだね。
あと3週間ほど、自動車で通勤する事になりそうだ。
運転は楽しい。
マニュアル・トランスミッションは、両手両足を使う。
息切れする程じゃないけど、身体を動かしながらの移動は、考え事をするにはぴったりで、深く考えすぎない適度な思考ができる。
これは、自分が手足を動かすことが推力につながる運動をかましながらの考え事、というところがミソなんじゃないだろうか。
新幹線や電車の車内でいくら手足をバタつかせても、しっくりこない。
たまに列車内で手足を激しくバタバタやってる奴を見かけるけど、あれはまた別の理由だろう。
自分が手足を動かすことが推力につながるものといえば、スワンボート。
となるわけだが、街中の道路を魚が泳ぐ水路にして、皆がスワンボートで移動すれば、優しい国になりそうだよな。
変速、アシストつきスワンボートでもMAX時速20キロくらいで。
それでもやっぱり、あおりスワンとかする奴が湧いたりするのかな。
そうなると、360度記録撮影ができる水鳥レコーダーをスワンの頭頂部につける必要が出てくるな。
まてよ、MAX時速20キロとはいえ、衝突したら大変だから、羽毛エアバッグも導入しなければならない。
スワン・プリクラッシュ・セーフティ・システムもマスト・アイテムとなるだろう。
水路スピーカーから流れる曲は、やっぱり白鳥の湖が優雅で良いのだけど、通勤ラッシュなどはクシコス・ポストや、剣の舞でトラフィックを解消しよう。
進行方向へ水の流れを作って、半自動スワンもありか。
あれ、なんだか結局せせこましくなってきたな...
そんなことを考えていたら、職場に到着したよ。
同僚のヘンテコなアメ車がとまっている。
あれはスワンというよりクワガタムシだな。
さあ、仕事をしよう。
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