袋ゴミ

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こんばんはウルカ。

 

分厚い雲にディフューズされた太陽の光が、限りなく均等に街を照らしている。

俺はアスファルトで舗装された道を歩いている。

緑茶のかわりにYEBISUを少しのんだ。

公園の角に集められたゴミ袋に、カラスがたかっている。

黒い鋭い嘴は伸縮性の低いカサカサとしたゴミ袋を突き破って、残飯やプラスチックや紙屑を丁寧に撒き散らす。

公園の角に集められ、丁寧に中身を喰い散らかされたゴミ袋たちの前を、女が嫌そうに顔を背けて通る。

人は、捨てられたコインロッカー・ベイビーや、イヌや、猫や、姥には手をさしのべるのに、ゴミの入った伸縮性の低いカサカサとしたゴミ袋には誰も見向きもしない。

ゴミは捨てられるために存在しているから、捨てられる存在の名がゴミだから、ゴミ袋はその名の通りゴミを入れるためのものだから、ゴミを中に入れた時点で、ゴミ袋自身もゴミそのものとなるのだから。

コインロッカー・ベイビーや、イヌや、猫や、姥を本気で捨てるのであれば、伸縮性の低いカサカサとしたゴミ袋に入れ、公園の角に置いてくるのが常識だ。

もし、伸縮性の低いカサカサとしたゴミ袋に入れられて、公園の角に置かれていないコインロッカー・ベイビーや、イヌや、猫や、姥は、それはまったくゴミではないのだろう。

俺は、飲み干したYEBISUの缶を、くずかごに放り投げた。

カラン、という音を期待したが、ポチャンと水が水にぶつかる音がした。

気になったが、俺はくずかごの中を見るのをやめた。

 

 

 

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