天鼠の木

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こんにちはウルカ。

 

紅葉の季節だね!

木の葉は、死が近づくと紅くなる。

それから完全に戦力外となると、見放され、枝から切り離される。

枝から切り離された木の葉は地面に落ち、微生物や虫や動物や雨や風や光にバラバラにされ、自分を切り離した木を支える土となる。

どれだけの木が、戦力外だと見放した葉が自分を支える土となって、やっぱり戦力として活躍している事に気がついているのだろう。

 

口笛を吹きながら自転車に乗っていると、一枚のコウモリがひらひらと落ちてきた。

冬が近いな。

木から戦力外と判断されたコウモリが切り離されている。

コウモリの木の葉は、死が近づくとコウモリとなる。

枝から離れたコウモリは地面に落ち、しばらくすると天に向かって舞い上がる。

空中で群れを成して黝い影をつくり、雨を撥じく傘となる。

コウモリ傘は、ゆったりと宙にとどまる。

雨が降ると人々はゆったりと宙にとどまっているコウモリ傘を手に取り、雨をしのぐ。

雨が止むと人々はコウモリ傘を手放す。

手放されたコウモリ傘はゆったりと天にかえる。

十分に天に届いたコウモリ傘は、大きな爆発を起こし、色とりどりの光を放射状にばらまく。

無数のコウモリ傘の爆発は各地で見られ、紅葉と同様に人々はその死に際の美しさに魅了される。

 

口笛を吹きながら自転車に乗っていると、一枚のコウモリがひらひらと落ちてきた。

冬が近いな。

見上げると頭上には大きなコウモリの木。

自転車のカゴに落ちた一枚のコウモリは、しばらく僕と一緒にいたけれど、やっぱり天に向かって舞い上がる。

それから空中で傘ほどの大きさの黝い群れに合流すると、すっかり見分けがつかなくなった。

僕はなんだかおそろしくなって、雨が降り出す前にと家路を急いだ。

 

 

 

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