完全に感情が欠落している
おはようウルカ。
昨日、とうとうスマホのバッテリーを交換したよ。
歯医嫌いの大人のように、俺はスマホのバッテリー交換嫌いなのだが、なぜ嫌っているのかは自分でも定かではない。
着実に劣化していくバッテリーに為す術もなく、省エネモードで騙し騙し使ってきたが、限界だ。
電話やメールだけではなく、音楽、動画、ネット検索、SNS、銀行、買物、ラジオ、チケット予約など、これさえあれば、殆どの事が出来てしまう。
他に持ち歩く物と言えば、雨の日の傘くらいか。
そんな必須道具のバッテリーが弱っており、数時間しか機能してくれない。
俺は心身ともに疲弊していた。
藁にもすがる思いで、街の修理屋に駆け込んだのだった。
正規の店で頼むと、預かりとなり、最悪の場合後日受け取りかもよ。などと聞いていたので、スピードを求めて闇修理屋へ。
出てきた受付の男は、完全に感情が欠落しており、焦点もおぼろげだ。
店内を見回してみると、彼1人しかおらず、バッテリー交換作業も彼の手で行われるのだろう。
不安だ。
生活に必須となっている道具の生死を彼に任せて良いのか。
作業時間を聞くと、5分、10分っすかね。
やる気のない返事が返ってきた。
5分、10分!?はやい。
更に不安になったが、そのスピードの誘惑に負け、無理にでも彼を信じようとする俺がいる。
お願いします。
できました。
5分かかっていない。
作業場は見えなかったので、騙されている可能性もあるが、これも勉強かなと素直に金を払い、闇店を後にした。
一夜明けた今日は、烈火の如く漲るバッテリーのパワーに、昨日の彼のやる気のない表情すら、クールに思える。
大して頑張らなくても、他人を救える事ってあるんだな。
今日のウルカはササミを8切れ。