2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

カラダ、芯から温めない!

おはようウルカ。 あまりにも太陽が俺をじっくりと低温で焼きあげようとするので、日焼け止めクリームを顔面と両腕に塗りたくってみたのだが、紫外線(UV)をカットする事に特化したこのクリームは、赤外線(IR)をカットするつもりはさっぱり無いらしく、ジ…

自撮りダンサー

こんにちはウルカ。 私は食器を洗っている。人間は声帯を使って話すことの他に、声帯以外、または声帯を使って文章として言葉を書き残す。書物は言葉の写真のようなものだ。何度も書き直された文章は合成写真のようで、真実味がうすくなる。毛細血管のように…

喫煙ゾンビ

おはようウルカ。 煙草というものがある。 草を紙で巻いたものに火をつけて吸い、煙を吐き出す。 映画俳優に憧れて吸いはじめた人もいるだろう。 不良の象徴として少年達の憧れだった時代もあった。 肉体、精神にたいして作用し、中毒性がある。 吸い過ぎる…

蠱毒

おはようウルカ。 自動車には外装と内装がある。 運転スペースは内側にある。 乗り込んでエンジンをかける。 ハンドルを握れば、思うがままに自動車を操ることができる。 これを人間に例える。 人間には肉体と心がある。 運転スペースは心側にある。 とり憑…

狼たちの宴

こんにちはウルカ。 雨が降っているよ。 台風も近づいてきているようだ。 俺は一杯やろうと行きつけの寿司屋へやってきた。 こんな悪天候の日ほど、街の人混みは激しい。 皆家でじっとしていられない、いてもたってもいらない気持ちで外へ飛び出すのかな。 …

ペースト状のような昼下がり

おはようウルカ。 ペースト状のような昼下がり。 行き交うビジネスマンの首はどれも汗でぬれている。 風に揺れる樹の影は、樹の実体と同じ速さで動いているように見える。 しかし本当は少しだけずれている。 しゃにむに見ているばかりでは、解らない事がある…

こんな日もある

こんにちはウルカ。 今日は久しぶりにクルマを運転しての出勤となった。 やっぱり運転は楽しいなあ。 俺は運転免許証を取得している。 書道は三段である。 持っている資格と言えばそれくらいか。 あれ、書道三段は資格ではないのかな。 スタンプラリーのよう…

シェルビー

おはようウルカ。 俺は横断歩道を歩いている。 車道の半ばくらいまで来ただろうか。 路地から出てきた自動車が、クラクションを鳴らしながら猛スピードでこちらに向かってくる。 人が横断歩道を渡っている状況で、けたたましいクラクションとともに猛スピー…

血だらけのたけ

おはようウルカ。 おはうございます〜 執務室に入って来た同僚のタケは、顔面と腕を盛大に擦りむいていた。 なぜそんな事になったのかは大体察しがつく。 彼は通勤の足としてスケボー(厳密にはクルーザーという街を安定して走れる構造をしたやつらしい。安…

いま活

おはようウルカ。 今しかやれない事をやれ。 特に若者はこのフレーズをウンザリするほどきかされていることだろう。 今しかやれない事の代表格と言えば500円玉貯金となるわけだが、電子マネーの出現により500円玉の貯まるペースは大幅に減った。 近い…

アールポスイ

こんにちはウルカ。 港署。 本日からお前の相棒はカオスA.Dだ。 なかなかのロクデナシだ。 まあ、よろしくたのむよ。 私はサイモン課長に言われた事を思い出していた。 私が新しく配属されたこの生活環境課は、武器、危険物の違法所持や産業廃棄物の不法投棄…

みほちゃん

こんにちはウルカ。 小石を蹴っている。 学校から家までの道のり。 小石を失くさずに蹴り続けられたらゴールだ。 強く蹴りすぎると溝に落ちたり、車道に飛んでいって救出不可能となってしまう。 曲がる予定の道を小石が越えてしまったら、曲がらず直進しなけ…

志しは死なない

おはようウルカ。 制作会社が燃やされたね。 30人以上が死んだ。 一日中アーロンに座って、モニターを睨んで、想像して、つくって、却下されて、それでも諦めずに、美しいものや、人が感動するものを目指した者たち。 もう少しで完成する何かがあっただろ…

まじゅつ

こんばんはウルカ。 今日は少し遅くなってしまったな。 川崎部長は腕時計をみる。 使えない部下、吉田のミスのせいだ。 おどおどと謝るばかりの吉田の顔を思い出すと、また怒りがこみあげてきた。 気晴らしに一駅歩くか。 川崎部長は普段よりも一つ前の駅で…

逆さまに雨

おはようウルカ。 雨が屋根をたたいている。 そのせわしなく点滅するストロボ光のような音は、前庭器官を酔わせる。 横になったまま、暗い宙を上方向に落ちているような感覚。 この星の物を引きつける力が、磁石の極のように逆さまになって、物を引き離す力…

遺伝子に組み込まれたどんぐり

おはようウルカ。 蝉が鳴きはじめたね。 いつからか、ツクツクボウシを見かけ(聞かけ)なくなった。 俺が6歳くらいの頃にはそこそこいたが、それでもレアで、虫取り網をもった子供連中からはクマゼミと人気を二分していたよ。 あの抑揚のある鳴き声は頭に…

裏腹系

おはようウルカ。 夏祭りがあるね。 俺は祭りの雰囲気が好きだ。 しかし人混みが苦手だ。 それは海が好きだが、海に入るのはあまり好きではない事と似ている。 それは気持ち良さそうな芝に寝転がると実際はチクジメして不快なのと似ている。 それは分厚いレ…

ポケットは行き止まりの構造をしている

おはようウルカ。 良いコインランドリーというものがある。 最近では良いコインランドリーは減った。 良いコインランドリーは一見してわかる。 深夜に水銀燈にぽつんと照らし出されている。 チェリオの自動販売機がある。 アイスクリームと書かれた古いベン…

一人カルマ

おはようウルカ。 ハナゴッソというものがある。 これは名前の通り鼻をごっそり削ぎとるものだ。 ではない。 鼻毛をごっそりいくやつだ。 商品名をハナ毛ゴッソとしなかった気持ちは何となくわかる。 ネーミング会議ではさぞ熱い議論が交わされた事だろう。 …

オツカレサマオヤスミマタアシタ

おはようウルカ。 恐怖症というものがある。 高所恐怖症 閉所恐怖症 動物恐怖症 海洋恐怖症 対人恐怖症 血液恐怖症 広場恐怖症 風船恐怖症 集合恐怖症 挙げはじめるとキリがないほどの恐怖症が存在する。 私は恐怖症専門の臨床心理士として働いている。 本日…

スクラッチ・エンジェル

おはようウルカ。 博士は研究に研究を重ねた。 人類はマッサージチェアーを発明した。 しかしまだやり残したことがある。 そう、スクラッチチェアーである。 人は身体のコリをほぐしたい欲求と同じくらいに、背中を掻いてもらいたい。 そう、背中が痒いねん…

無音が騒がしくて眠れない

おはようウルカ。 ケンジはストリートミュージシャンだった。 アコースティックギターを肩にぶらさげて、気に入った場所を見つけると立ち止まって歌う。 街路樹の下で。 溝川の土手で。 裏路地のゴミ捨て場で。 公園の砂場とジャングルジムの間で。 左手でギ…

真っ白い真っ新なベテラン

おはようウルカ。 渋谷の宿で目覚める。 薄いカーテンを幾重にも重ねたような朝は鮮明な今日になるまでもう少し時間がかかりそうだ。 ブログのアプリのアイコンにタッチする。 記事を書くというボタンに触ると、真っ白い真っ新な画面が表示される。 ここには…

青紫色の朝

おはようウルカ。 暁美さんは603号室に住んでいる。 オルガンみたいなイメージの服をきている。 低温火傷のような色のスカートは引き摺るほど長くて、ベロアとフェルトの中間のような素材は重厚な光沢がある。 エレベーターですれ違うといつも僅かにガソ…

相席食堂

おはようウルカ。 いらっしゃいませぇ お好きな席へどうぞ 暖簾をくぐると昔ながらの雰囲気の良い店内と料理の良い匂いにホッとする。 品の良い初老の夫婦がきりもりしており、何を食べても旨い。 昼時になると行列が出来るほどだ。 カウンターや4人がけの…

忘れてしまわないようにここに書いておこう

こんにちはウルカ。 サハラ砂漠を死にかけのラクダと横断した。 パンを砂に埋めて焼く料理はクソ不味い。 プノンペンで銃を横腹につきつけられた。 カルカッタで夜中の3時にデカいナイフを持った奴が部屋に侵入してきた。 バングラデシュで武装勢力に拘束さ…

棒読みサマーブーツ

おはようウルカ。 新宿でおりる。 瓦礫の山に色とりどりのLEDライトを仕込んだような街だね。 俺はビールを注文する。 棒読みみたいな人間が棒読みみたいな話題で盛り上がっている。 俺はイヤフォンで中村のドラムを聞いた。 ハイハットが繊細で乱暴で心…

ニホンオオカミのレプリカ

おはようウルカ。 のらりくらりと降る雨が森を乳白色に暈している。 ワックスを擦り込んだエジプト綿のジャケットはよく撥水した。 大きなフードは世界と自分を隔てる最後の砦、最後のバリア、最後の殻。 森にはいって3日が経った。 喉の奥が痛いような、痒…

ポイ

おはようウルカ。 大江冴子は大概の会話をぽいで済ませる事を特徴に生きている。 今年で52歳。 バブル期からの激動の日本をぽいっぽーいと乗り越えて来た。 ぽいぽいぽいぽい、ぽいねぇぇ。 それっぽいよ、マジぽいわぁ。 ぽくない?ぽいよねぇ、やっぱぽ…

通り魔プルーフ

おはようウルカ。 先ずはお礼です。 コンタクトより、ヘッダーに変な表示がでているよと教えてくださった方、ありがとうございます! せめてお名前だけでもと追いすがる俺に、名乗るほどの者ではないですよと颯爽と去って行かれた粋なお背中、忘れません。 …