クリスマスにはぶっ壊れた窓にダンボールを
こんばんはウルカ。
そういえば、随分前にオオトカゲも良いけど、リクガメの事も書いてよ。というメッセージをいただいていたんだよ。
リクガメとは不思議な生き物だな。
攻撃力 : 1
防御力 : 68
素早さ : 2
H P : 73
弱点 : 寒さ、仰向け
得意技 : 鼻から水が飲める
といったところか。
いったん仰向けになると、重すぎる身体と致命的に不便な甲羅の形状から、再び起き上がる事なく生涯に幕をおろす個体も少なくないそうだ。
荒野を魔物と闘いながら囚われの姫を助けにいかなければならない場合、完全に足手纏いとなる。
ただちにその場から退避しなければならない状況などでは、その意味不明な体重量から、文字通り厄介なお荷物となることだろう。
うちにはゾウガメの仔がいる。
ゾウガメとはリクガメの一種である。
ラップとはヒップホップの一種である。
アルダという名で呼んでいる。
首や手や足がとても長く、甲羅がポッコリと丸い。
てくてくと絨毯を縦断している。
おい、俺が荒野をゆく勇者とかでなくてよかったな。
スライスした南瓜を見せると、縦断中の絨毯の攻略をすんなり諦めて、てくてくと俺に向かってくる。
俺の手からスライスした南瓜をパクパクとつまむと、くるりと反対を向いて、また絨毯の縦断を振り出しからはじめる。
なんというスローライフ野郎。
あの絨毯の果てに何があるというのだろうか。
あちこち寄り道をしながら、たっぷりと時間をかけて絨毯の向こう側に辿り着いたゾウガメの仔、アルダは、あくびをするように大きく口をあけると、片っ端から大気を吸い込みはじめる。
みるみるうちに身体が膨張して、水牛ほどに大きくなる。
赤黒く煮えたぎるマグマのような甲羅が光を放ち、口と目と鼻からは炎が噴き出している。
アルダは頭を一振りして、窓を破壊する。
それから喉を大きく膨らませると、次の瞬間、大量のシャボン玉を吐き出した。
シャボン玉の中には1つずつ、クリスマス色のプレゼントが入っている。
大量のクリスマス色のシャボン玉は、俺の部屋のベランダから、ゆっくりと街へと飛んでゆく。
雪に混じって街に降るシャボン玉は、大人たちの頭上ではじけては、クリスマス色のプレゼントを落とす。
クリスマス色のプレゼントは大人たちの肩に落ちると、ゆっくりととけて大人たちに染みこむ。
クリスマス色のプレゼントが染みこんだ大人たちは、もれなく赤ら顔の白髭の小太りなおっさんになってニコニコと笑いだす。
赤ら顔の白髭の小太りなおっさんの群れは、クリスマス色の街をシャンシャンと移動する。
それぞれの、向かうべき場所へゆくのだろう。
振り返ると、セラミック・ヒーターの前で気持ち良さそうにアルダが眠っている。
俺はアルダの得意技の欄に何かを書き足そうと思ったが、思いとどまると、ぶっ壊れた窓をダンボールで応急処置をする。
ソファに凛と佇むオオトカゲのウルカと目が合う。
ウルカはチロリと舌をだすと、あくびをするように大きく口をあけて片っ端から大気を吸い込みはじめる。
みるみるうちにウルカの身体が膨張して…
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