2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

天才をふくんだ食堂

おはようウルカ。 轟々と雨をふくんだ風がふいている。 見上げると、黒い看板に赤い文字で味味と書かれている。 俺は店のドアを開ける。 ランチ営業時間も終盤に差しかかり、客は疎らだ。 いらしゃいませ、お好きのところどうぞ。 ホールを切り盛りしている…

幸せそうな村

おはようウルカ。 未舗装の荒れたサバンナをトヨタの四輪駆動車が畝るように進む。 運転するラドさんは46歳。 日焼けした肌と健康的な歯、そして優しさの塊のような鋭い眼光は地平線にむけられている。 生命力がだくだくとあふれでて、自らを心地よい温水…

怒涛のぶりんぴぃ

おはようウルカ。 コンビニエンスストアさんよ。 おつりを返す前にパンパンに商品の入ったレジ袋の手提げ部分をねじねじして渡してくる。 あのフローはなんなんだ。 財布におつりの札や小銭をしまう為に両手を使いたいのだよ。俺は。 左手の小指にねじねじさ…

俺のママチャリを漕ぐデヴィッド・ボウイ

おはようウルカ。 CGでリアルに人や車や街や架空の動物などを制作することができる。 最近では3Dプリンターを使ってCGを現実世界に立体物として出力する事もできる。 3D動画プリンターというのはどうだろう。 フルCGで制作した映像を動く立体物と…

未曾有コピー

おはようウルカ。 爆発的に蔓延した未曾有のウィルスにより街がリビングデッドで溢れかえる。 新天地を目指して家を飛び出さなければならない。 その場合、服、靴、バッグや携行品など、何を持って行くかという事を考えるのが趣味です。 「一生モノ 」と言う…

吸引される力と棚にあげる力

おはようウルカ。 最寄りの駅で降りる。 最近少し太ったのでダイエットを意識して1.5km程を歩いて帰る。 駅前には行きつけの焼鳥屋、焼肉屋、沖縄料理屋、寿司屋、ちょっと良い感じの居酒屋が絢爛に並ぶ。 そりゃあさ、寄るよね。 プレミアムモルツと厚…

回答

おはようウルカ。 おはようコンタクトより質問下さった方。 ご連絡先がなかったのでこちらで回答させていただきます。 いただいたコメントをほぼそのまま載せています。 問題あれば削除するので言ってください。 質問 こんにちわ面白いブログですね 毎日書か…

食べて痩せる的な

おはようウルカ。 おい、困ったぞ。 いや、困ってはいない。 欲しい物がない。 何か欲しい物はないかと欲しい物を探す。 そして欲しい物が見つかるとそれについてああでもないこうでもないと調べ倒す。 夢にまでみることだってあるだろう。 これが愉しいんだ…

ゴッドスピードユー

おはようウルカ。 夜になると冗談のような巨大な月が朝の太陽のように昇るビーチがある。 そのビーチには1年に1週間だけ世界中から人や金や酒や音楽や薬物があつまる。 特注のJBLを何重にも積んだ要塞のようなブースからは4ビートが鼓動の倍の速さで賽…

差の絶対値

おはようウルカ。 モニターの電源を入れる。 映し出された作業途中の画像は、寿命を全うしようとしている老犬のように死にかけだった。 全く精彩に欠けている。 おいおいどうした、昨日まであんなに元気だったじゃないか! あの弾けるようなシズル感は俺の願…

奪還

おはようウルカ。 あと3つ。 七王国さながらの長い戦いを強いられている。 ホワイトウォーカー、いやエンゼルは実在する。 それは予想だりしないタイミングで現れる。 幼少の頃より夢に見たミラージュ。 人間として何処まで成長すれば辿り着けるのか。 クエ…

僕の指の腹は不明瞭でどうしても

こんにちはウルカ。 ギィギィと扇風機が船が軋むような音を立てて首を左右に振っている。 しょぼくれた畳を足の指の腹で擦っていると、どこかで間の抜けた廃品回収を告げるアナウンスがループを始めた。 窓のすぐ向こうを電車が通り過ぎる。 古い木造のアパ…

はじめたらはじまりさ

おはようウルカ。 俺はね、昨日も言ったかもしれないが新しい電気シェーバーを注文したのだよ。 8年ぶりの購入なので物持は良い方だろう。 といっても無精髭で過ごす事が多かったので大して使っちゃあいなかったのかもな。 髪も10年間くらい長々しいドレ…

創作ダンスも生醤油は

おはようウルカ。 あぶらだこが程よいグルーヴでくるくると回転している。 物事を順序立てて考えるのは間違いではないし、感覚的な所を説明として表現するのも悪い事ではない。 ただそれを理路整然こそ正義ですと手を腰にあてて胸をはり、いえいえ、あくまで…

仮想を可視化したところでエスカレーターの行方は

おはようウルカ。 日曜日は道が空いていて良いね。 昨日から続く雨は今日も一日中降るつもりだと思っていたが、スパッと止みやがった。 かわりに青い空から強い陽光が降っている。 俺はランドクルーザーを西に走らせている。 西の空には黒い雨雲が広がってい…

オレが親父

おはようウルカ。 うちの坊主は近所の小学校に通う4年生。 ちっちゃな頃は体が本当に弱くて、すぐに風邪をひいた。 あの頃オレの稼ぎは最悪で、ろくなもの食わせてなかったからな。 悪かったと思っている。 オレも貧乏な農家で育った。 体が小さくてガリガ…

ウリュッスとヨサヨサ

こんにちはウルカ。 早朝の公園で砲丸投げの練習をする老人は腰を保護する為の太いベルトを巻き、自転車に乗ってやってきた。 大袈裟にきき耳をたてるような姿勢からウリュッスと独特の掛け声で砲丸を天に押し上げるように投げる。 砲丸は数メートル先の砂場…

リビングデッドがシューティング

おはようウルカ。 撮影ロケに同行している。 朝の太陽の光は街や人を美しくみせる。 集合時間は午前5時。 はえーよ。 日の出を朝10時くらいにしてくれないかい、太陽さんよ。 働きかた改革だよ。 いつの時代も撮影チームは打ち合わせと称してガンガン酒を…

ポチ

おはようウルカ。 フライドチキンを咥えて走っている。 レストラン裏の空色のゴミ箱でみつけた。 背後からは野犬が数頭追ってきている。 縄張りを荒らされた事への怒りなのか、フライドチキンの匂いに興奮しているのか、ときおり唸り声をあげている。 濡れた…

ルールに拘ると有刺鉄線

こんにちはウルカ。 最近、 自宅の冷蔵庫に酒を常備するのは本当に良くない。 はじめは気をつかっていても、最終的には絶対に際限なく飲むようになる。 また酒のストックが減っていくのが嫌で買い足しがエスカレートする。 飲む、買い足すが競い合うように切…

イエローヘッド飼育モニター

おはようウルカ。 薄汚れた壁のような空はところどころが虚ろに白い。 路面に積もった雨水をタイヤがかきわける音の間隔が徐々に短くなる。 朝か。 また雨だな。 お前がうちに来て半年が経った。 身体のサイズは倍以上になり、随分と人に慣れた。 オオトカゲ…

ペッタンくん

おはようウルカ。 雨が降っている。 ペッタンペッタンと歩いている。 ただし雨でも晴れでもペッタンくんはペッタンペッタンと歩いている。 ペッタンくんのビーチサンダルは特別なはんぺんで出来ている。 わー!ペッタンくんだー! 母親と手を繋いだ幼児がペ…

らしさ感

こんにちはウルカ。 財布を部屋に忘れた。 どこかでジミヘンドリックスが鳴っている。 まあ、良いか。 最近は財布を忘れてきても特に困らなくなった。 スマートフォンだ。 便利になったね。 どうりで500円玉貯金がふえないわけだ。 これで免許証や保険証…

指定しているようで指定されている

おはようウルカ。 新幹線に乗っている。 横を向く。 四角と円の中間くらいの形をした窓が今夜の街を上映している。 街の手前は猛スピードで流れ、奥はゆったりとまわりこむように流れる。 窓にうつる自分にピントが合うとなんだか恥ずかしいので、出来るだけ…

夏がくるぜ

こんにちはウルカ。 少し行ったところに赤い屋根をした一軒家がある。 幸せそうな家族。 気さくな主人と優しそうな奥さん、元気の良い小学4年生の男の子と可愛い盛りの5歳の女の子の4人が暮らしていた。 庭には凄くカッコの良い古いレンジローバーがとま…

本当に全く静かになった

おはようウルカ。 男は自動車の窓から腕をだらりと垂らしている。 この細い道で大きなトラックとすれ違えば、腕は乱暴に潰され、ひき千切られるかもしれない。 それでも男は腕を中へ引き下げようとはしない。 腕は潰れ、ひき千切れるかもしれないし、そうな…

ピストルよりも怖ろしい

おはようウルカ。 最近は離れていても色々測れて便利だよな。 温度や距離や明るさやら。 俺はガンタイプのレーザーを当てるとその部分の表面温度が測れる放射温度計というのを愛用しているよ。 爬虫類を飼育する者にとっては必需品だね。 今朝も交差点で隣に…

走るか

おはようウルカ。 いつもと違う道を歩いている。 人工的に作られた細い川でカメが陽の光をもとめて首をのばしている。 商店のシャッターが半開きで錆びている。 廃業したビジネス旅館の隣では理髪店のサインポールがカタカタとまわっている。 時間は進むので…

殺し屋

おはようウルカ。 キーを左に回す。 エンジンは、本当にあっけなく静かになった。 チリチリと熱の余韻が鳴っている。 俺はヘルメットとグローブをオートバイのハンドルにひっかけると、店のドアをあける。 店内は明るく清潔な印象だったが、わずかに古い水の…

五平餅みたいな日

おはようウルカ。 窓を開ける。 カーテンが膨らみ、呼吸をはじめる。 さりげない風と、薄いカーテンに漉された日差しは、澱んだ部屋を洗ってくれる。 ウルカ、良い季節になったよ。 お前の国では四季を感じられないかもしれないし、お前には不要なものかもし…