怒涛のぶりんぴぃ
おはようウルカ。
コンビニエンスストアさんよ。
おつりを返す前にパンパンに商品の入ったレジ袋の手提げ部分をねじねじして渡してくる。
あのフローはなんなんだ。
財布におつりの札や小銭をしまう為に両手を使いたいのだよ。俺は。
左手の小指にねじねじされたレジ袋をひっかけて、財布を決死の思いでこじあける。
2リットルのペットボトルと男のプリンが入っている場合、小指の腱がぶち切れそうだぞ。
追い討ちをかけるようにレーシートを渡し、畳み掛けるようにスピードくじを引くように催促する。
俺は相変わらず小指の腱がぶち切れそうだし、五千円札は口に咥えたままなんだよ。
さらに100円玉を落としてしまっじゃねえか。
後ろに並んでいる客の苛立ちが俺の背中をズブズブと刺してきやがる。
そもそも、そのお前の胸についている名札の「ぶりんぴぃ」ってなんなんだよ。
ファミリーネームか?ファーストネームか?
それともお気に入りの口癖が何かか?
もし口癖だとしたらどんな時に使うやつだよ。
せめてカタカナで書けばそこまでファジーな感じにはならんだろうがよ。
床に転がった100円玉を拾って渡してくれた保育園児よ、俺みたに人の名前をイジるようなささくれた人間にはなるんじゃないぜ。
スピードくじで1リットルの紙パックの桃水が当たった。
イマ、ヒキカエニナリマスカ?フクロ、ゴイッショデヨロシデスカ?
まだ五千円札を咥えたままなんだよ。俺は。
ぶりんぴぃの怒涛のようなワークフローにのみこまれた俺はまるで乾燥機の中の靴下だった。穴の空いた封筒だった。捲れて裏返しになった靴底のゴムだった。おしるこに落としたポテトチップスだった。
それでも今日も力いっぱい生きるぞと息巻いた。
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