あとがき

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こんにちは、ウルカ。

こんにちは、こんな年の瀬にこの記事を読んでいる奇態なあなた。

約1年間、うぉぉぉぉと更新を繰り返してきたこのブログですが、取り敢えず本日をもって、最後の更新とします。

初めてブログというものをやってみましたが、文章で何かを表現することの面白さに少しだけ触れられたような気がします。

これは今後の俺の人生にとって絢爛なパーティクルとなり、頭上よりパラパラと降り注ぐ事はもはや疑念の余地もないでしょう。

年明け1週目か2週目あたりに再開するつもりもあったりしますが、音沙汰がない場合は、デュビアの祟りでのたれ死んだか、ミクシィ(←まだあるのかね?)とか他のフィールドへ迷いこんだと考えてください。

まあそもそも、平山タンバリンもウルカも実在などしなかったのかもしれません。

昨今の人工知能は本当に優秀ですから。

それでも、もし、街で発光するタンバリンを腰にさげ、黄金色のオオトカゲを肩に乗せ、漆黒のゾウガメに乗った浮かれポンチを見かけたならば、先ずはそこが現実の街なのか否かを疑って下さい。

それから、あなた自身が実在する者なのか、それとも何者かの幻想の産物なのかを疑ってください。

まあ、どちらにしても、あなたは自分が完全にイカれている事を自覚しましょう。

生きていると、予想だにしないことにぶち遭たることがあります。

どのように困難な状況においても、びゃあびゃあと楽しんだものがちです。

奇声でもなんでもあげて漸進あるのみです。

さておき、街で発光するタンバリンを腰にさげ、黄金色のオオトカゲを肩に乗せ、漆黒のゾウガメに乗った浮かれポンチを見かけたならば、一旦あなたは筆を置き、または蛇口をしぼり、またはズボンのチャックをあげて、直ちにその幻影を居酒屋とかカレー屋などに誘い、与太話の一つでも聞くべきです。

きっとあなたの人生において愉快で爽快なスパイスとなる事でしょう。カレーだけに。

ああ、味噌ラーメン屋でも良いですね。そこがミソ、なんつって。

興奮してきましたか?

良い傾向です。

とにかく、2020年があなたにとって、どうにも有意義なものでありますように。乾杯。

 

 

 

2019年12月30日、ヒューストン・ホテルの3階の窓より周遊するホームレスの群をみながら

平山タンバリン

 

 

©️オオトカゲに情けはあるのか製作委員会

 

 

 

ビッグシルエットの女

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こんばんはウルカ。

 

昨日の続きを書こう。

目の前を、何かの動物の着ぐるみのような素材で作られたビッグシルエットのブルゾンを着た女が、歩行者用の地下道におりていく。

酔っているのだろうか、ヒールのあるブーツを履いたあしどりはぎくしゃくとおぼつかない。

嫌だな…

夜、人通りのない歩行者用の地下道で、見ず知らずの女と2人きりで居合わせる事ほど気まずいものはない。

チラチラと背後を意識しながら早足になられたり、それこそ悲鳴でもあげられようものなら、怪しくも疚しくも無いはずの自分が、強引に怪しくて疚しい者に覚醒させられるようで、今にも自我が剥がれ落ち、内側から変質のエキスパートにしてエクストリーマーの自分が爆発的に誕生するのではないかとゾワゾワしてしまう。

人間のもつ可能性は未知だからな。

いや、俺は変質者ではない。

少なくともこれまでは。

先程のタンバリンをひかえめに振り鳴らす事で自己アピールができる居酒屋でもう一、二杯呑んでおけば、この状況を回避出来たのかな。

女が行ってしまうまで待てば良いだろうって?

勿論、待ったよ。

たっぷり8分経っても、女は交差点にある残り3つのどの出口からも姿を現さない。

クソ酔っ払いでも、2分あれば攻略できるような小さな地下道だ。

俺は待っている自分に厭気がさして、歩行者用の地下道の階段を降りる。

冷凍庫のような冷たい地下道は、白緑色の蛍光灯が明滅しており、壁には近所の小学生が描いたであろう素っ頓狂な絵画がある。

その地下道の真ん中で、あの女が両手を広げて仰向けで転がっている。

やれやれだぜ。

いつの間にか、ホット・カイロをしこんだ上着のポケットから、ウルカが顔をだしている。

ん? ウルカ、あれはただの酔っ払いじゃないのか?

ウルカの身体が半分炎のような気体となって、揺らぎはじめた。

マジかよ…

俺は腰に着けたタンバリンに手をのばす。

以前にも書いたが、このタンバリンは一般の人間には見えない。

普段からタンバリンを腰につけて出歩くほど、俺は浮かれポンチではない。

勿論、先程のタンバリン居酒屋でくすねてきたわけでもない。

このタンバリンはいうなれば、祓魔具であり、以前かりそめの男から否応なしに預かったものだ。

転がっている女が頭だけを動かして、タンバリンを手に持った俺をみる。

「はい、ご注文をおうかがいします」

女はそう言うと、ニュロニュロと髪の毛を動かしながらゾロリと笑った。

ウルカが威嚇音を吐いている。

クソが、年の瀬についてないな。

ウルカの反応をみると、並の魍魎ではなさそうだ。

生きていると、どうしようもない困難にぶち遭たることがある。

俺はくるくるとタンバリンをまわす。

タンバリンは螺旋状に白黄色の光を放ちはじめる。

いつの間にか立ち上がった女が、カクカクと首を不自然に動かしながら、腕をあげると俺を指差す。

俺は女の頭に向かって螺旋状に白黄色の光を放つタンバリンをなげる。

タンバリンは女の頭にすっぽりとはまると、女を呑みこむように、ズズズズと下にずり落ちる。

女は頭から消えていく。

額を過ぎ、目元を過ぎ、鼻まで消えて、口元にタンバリンが落ちたとき、女が口を大きくあけて、タンバリンに噛み付つく。

女が、ガリガリとタンバリンを喰っている。

タンバリンは抵抗するように一際強く白黄色の光を放った後、闇よりも黝くなって、ボロボロと崩れ落ちた。

口より上が焼滅した女は、文字通り、口だけで笑うとこう言った。

「あなた、だれ?」

それはこちらのセリフである。

まあ、俺の一生に台本があったらの話だけども。

「この忌まわしいタンバリンと、そこにいる穢らわしい獣は、あの男のもの。何故あなたが持っているの?」

「なんだ、あんたあの男の知り合いかい?あの男に橋の上で変なタンバリンとこいつ、ウルカを押しつけられて以来、色々と大変なんだよ。これ以上厄介事に巻き込まれるのは御免だぜ」

それをきいた女は大きな声で笑い、不自然にカクカクとラジオ体操第一の動きをたっぷり見せたあと、砂の像が崩れるように消えた。

後には、タンバリンがうらめしそうに残っている。

俺は少し迷ったが、そのタンバリンを拾い上げると、ひかえめに振り鳴らしてみる。

ウルカがチロチロと舌を出すと、ポケットの底へ潜っていった。

はいはい。生きていると、実は全部が決まっていて、シナリオや台本があるのではないかと思う事があるよな。

俺は、タンバリンを腰につけると、いつもの地下道の階段をシャン、シャン、とのぼった。

 

 

 

今日のニュース

恒星のベテルギウスに異変。急速に明るさが低下、超新星爆発の前兆か

おばちゃんがガソリンを薄いビニール袋に入れ持ち帰る

マルタ島の墓地で突然変異のスーパーゴキブリが勢力を拡大している

謎の音響攻撃は中国でも。外交官の脳のMRI検査結果が公表される

ウルカはデュビアを9匹

タンバリンは専用です

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こんばんはウルカ。

 

自分が生まれる以前から、当たり前のように存在するものに対しては、うっかり疑うという事を忘れてしまうね。

例えば、山とか海の存在や形態を疑う人間は殆どいないだろう。

それどころか、数字、言語、傘、階段、自動車のタイヤ、カーテンレール、紙幣、メガネ、トイレ、風呂、音楽、上下関係、コラーゲン、道徳、焼きそばパンなど、人間がそれらしく拵えたモノすらも、その存在や形態を疑う者は少ない。

例えば、電車内でプラプラと揺れているつり革を見ていると、なんの疑いもなくあれを掴んでいる自分が恐ろしくなることがある。

つり革とは本当に掴む為のものなのだろうか。

もし、そうだとすれば、あれがベストな形態なのだろうか。

電車の揺れに対処する方法として、正しいかたちなのだろうか。

そんなの当たり前じゃんと笑っている俺の中の俺は、ベストな形態なのだろうか。

という、アホみたいな事を考えながら、今日初めて訪れた居酒屋で呑んでいる。

「すみません、ビールおかわりください、すみません、すみませーん!おーい!びーるー!!」

「お客様、ご注文の際はそちらに備え付けてあるタンバリンを振り鳴らし下さいませ。大声でのご注文は他のお客様のご迷惑となりますので。」

「あ、ああ、そうなんすね、このタンバリンを…」

俺はそう言うと店員の目の前で控えめにタンバリンを振り鳴らす。

「シャン、シャン、」

「はい、ご注文をおうかがいします」

「ああ、瓶ビールください。シャン、シャン、」

「はい、ご注文をおうかがいします」

「ああ、いや、もう頼みました」

「お客様、ご注文の際以外、タンバリンを振り鳴らすのはおやめください。他のお客様のご迷惑となりますので」

「ああ、すみません、気をつけます。シャン、シャン、シャン、」

「はい、ご注文をおうかがいします」

「シャン、シャン、」

「はい、ご注文をおうかがいします」

「シャン、」

「はい、ご注文をおうかがいします」

「シャ」

「はい、ご注文をおうかがいします」

どんなに小さなタンバリンの音でも、ご注文をおうかがいしてくれる。

俺は楽しくなって、普段より多く注文した。

会計の時、「あの、タンバリンの持込みはOKですか?」ときいてみた。

店員は笑顔でこう言った。

「お客様さま、それはご遠慮下さい。当店のタンバリンは専用に大きな音が鳴らないように調整しておりますので。普通のタンバリンを持ち込まれますと、他のお客様のご迷惑となります」

 

俺は、帰りの電車でまるい吊り革の輪に掴まりながら、この吊り革の輪が、あの専用のタンバリンだったら、電車が揺れたとき控えめに鳴らせたりして楽しいのになと思った。

 

 

今日のニュース

3億8500万年前、世界最古の森の化石が発見される

スマートウォッチを同期したカップル、朝4時に彼の「身体活動レベル」が急上昇し浮気発覚

聖水を農薬散布機で上空から散布(米カトリック教会)

ウルカは休食

クリスマスにはぶっ壊れた窓にダンボールを

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こんばんはウルカ。

 

そういえば、随分前にオオトカゲも良いけど、リクガメの事も書いてよ。というメッセージをいただいていたんだよ。

 

リクガメとは不思議な生き物だな。

攻撃力 : 1

防御力 : 68

素早さ : 2

H P : 73

弱点 : 寒さ、仰向け

得意技 : 鼻から水が飲める

といったところか。

いったん仰向けになると、重すぎる身体と致命的に不便な甲羅の形状から、再び起き上がる事なく生涯に幕をおろす個体も少なくないそうだ。

荒野を魔物と闘いながら囚われの姫を助けにいかなければならない場合、完全に足手纏いとなる。

ただちにその場から退避しなければならない状況などでは、その意味不明な体重量から、文字通り厄介なお荷物となることだろう。

 

うちにはゾウガメの仔がいる。

ゾウガメとはリクガメの一種である。

ラップとはヒップホップの一種である。

アルダという名で呼んでいる。

首や手や足がとても長く、甲羅がポッコリと丸い。

てくてくと絨毯を縦断している。

おい、俺が荒野をゆく勇者とかでなくてよかったな。

スライスした南瓜を見せると、縦断中の絨毯の攻略をすんなり諦めて、てくてくと俺に向かってくる。

俺の手からスライスした南瓜をパクパクとつまむと、くるりと反対を向いて、また絨毯の縦断を振り出しからはじめる。

なんというスローライフ野郎。

あの絨毯の果てに何があるというのだろうか。

あちこち寄り道をしながら、たっぷりと時間をかけて絨毯の向こう側に辿り着いたゾウガメの仔、アルダは、あくびをするように大きく口をあけると、片っ端から大気を吸い込みはじめる。

みるみるうちに身体が膨張して、水牛ほどに大きくなる。

赤黒く煮えたぎるマグマのような甲羅が光を放ち、口と目と鼻からは炎が噴き出している。

アルダは頭を一振りして、窓を破壊する。

それから喉を大きく膨らませると、次の瞬間、大量のシャボン玉を吐き出した。

シャボン玉の中には1つずつ、クリスマス色のプレゼントが入っている。

大量のクリスマス色のシャボン玉は、俺の部屋のベランダから、ゆっくりと街へと飛んでゆく。

雪に混じって街に降るシャボン玉は、大人たちの頭上ではじけては、クリスマス色のプレゼントを落とす。

クリスマス色のプレゼントは大人たちの肩に落ちると、ゆっくりととけて大人たちに染みこむ。

クリスマス色のプレゼントが染みこんだ大人たちは、もれなく赤ら顔の白髭の小太りなおっさんになってニコニコと笑いだす。

赤ら顔の白髭の小太りなおっさんの群れは、クリスマス色の街をシャンシャンと移動する。

それぞれの、向かうべき場所へゆくのだろう。

振り返ると、セラミック・ヒーターの前で気持ち良さそうにアルダが眠っている。

俺はアルダの得意技の欄に何かを書き足そうと思ったが、思いとどまると、ぶっ壊れた窓をダンボールで応急処置をする。

ソファに凛と佇むオオトカゲのウルカと目が合う。

ウルカはチロリと舌をだすと、あくびをするように大きく口をあけて片っ端から大気を吸い込みはじめる。

みるみるうちにウルカの身体が膨張して…

 

 

 

今日のニュース

左利きは戦闘有利。選択的な優位性を持っていることが明らかに

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1億1000万円支払らうことで実験台になれる、20歳若返らせるための遺伝子療法の治験

ウルカは鶏ササミを16切れ

クソみたいな糞

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こんにちはウルカ。

 

以前にも書いたことがあるかもしれんが、今日を休日と名付けてしまうと、本当に、ただただ、休むばかりの、ほぼ意識を失ったも同然の今日となってしまう。

言葉の力というものは本当にすごいね。

とくに名付けるという人間特有の行動は、ライセンス制にした方が良いと思うな。

休日。

まあ、そんな日があっても良いのだろうが、過去を振り返らない、未来を見据えない事で有名な俺としては、極力今日を有意識で過ごしたいものだ。

それなのに、今朝のしょうもない同僚との電話の中で、うっかり言ってしまった。

「ああ、今日、俺、休みなんだよね。」

なんという失態。

「今日、俺、休み」という俺が発した言葉は、ゾロリゾロリと俺の背中を這いまわった後、俺の首をつきやぶり、再び俺の中へと潜る。

俺は自分の首にあいた大きな穴から吹きだす鮮血を見ないように、ソファへ倒れ込む。

遠のいた意識の中で、思う。

ああ、せめてコンビニエンス・ストアへ行って、酒と魚肉ソーセージと硬めの卵プリンなどを買い、地図の本とか本当にあったこわぁい話の本とかを立読みして、人間であるという事を実感しておくか…

 

今日は雨が降るそうだ。

俺は呆然とタイトめな部屋着のポケットにスマートフォンだけを突っ込むと、スリッパとサンダルの中間みたいな履物を履き、近所のコンビニエンス・ストアへ、リビング・デッド歩きで向かう。

傘など、持つわけもない。

そもそも、うちに傘のストックがあるのか否かすら朧げである。

それよりも、リビング・デッドが傘をさしていたら、ロメロさんもびっくりの演出となってしまう。

巨匠を驚かせるには俺はまだまだ役不足というものだ。

とにかく、リビング・デッド歩きでアスファルトをガオォ、ガルルと歩いていると、ボツリと雨が降ってきた。と思ったら、それは鳥の糞であり、俺のタイトめな部屋着に前衛的な花火を咲かせた。

ありがとう、野生の鳥よ。

俺は休日という言葉の呪縛から抜け出し、意識を取り戻したよ、あなたのクソみたいな糞のおかげで。

ドス紫の屍色だった俺は、一気にサーモン・ビーチ色になって、うぉぉぉぉと走り出す。

コンビニエンス・ストアなどにめもくれないぜ。

タイトめな部屋着にスリッパとサンダルの中間の履物と鳥の糞散らしという、下町のおじいちゃんもびっくりのスタイルだ。

人生の大先輩を驚かせるにはまだまだ若輩者ではありますが、そのまま2600メートル程を走り抜け、イタリアン風を前面に押し出したファミリー・レストランにはいる。

いらっしゃい…ま…せ…

「はぁ、はぁ…1人です、デカンタワイン白500mlと、羊の肉を焼いたやつ、ください。はい、アルコールは問題ありません、如何なる乗り物も運転しておりませんので、もしも俺のこの身体も乗り物に含まれるというのであらば、この国はアルコールを全面的に法で禁じなければなりません。あはは、これですか?鳥はいいですね、自由で、おかげで目が覚めました。」

これを3秒くらいの早口で言えた俺は完全に意識を取り戻したと言っても過言ではないだろう。

席に着く。

時間外れの店内は空いている。

斜め隣の席には小さな男の子と、若いママがピッツァを食べている。

男の子は数歳、ママは二十代半ばくらいだろうか。

男の子は元気よく、びゃーびゃーと騒いでいる。

こら、静かにしなさいと言うママの表情は暗い。

若いのに、苦労しているのだろうか…

鳥糞まみれの俺よりはマシだぜきっと。ほら、笑って笑って…

 

 

お待たせ致しました、デカンタワイン白500mlと、羊の肉を焼いたやつです、ごゆっくりどうぞ。

注文の品がきた。

ああ、また意識が遠のいていたようだ。

俺は斜め隣の席をみる、男の子と疲れた若いママは既にいなくなっている。

かわりに爆発する寸前みたいに太った野郎が、ミラノドリア風を注文するところだった。

俺は野郎が爆発してミラノドリア風を撒き散らす前に退散しようと、リビング・デッドばりにデカンタワイン白500mlと、羊の肉を焼いたやつを貪り喰った。

帰りに雨とか糞が降っても、タクシーなんかに乗らないぞ。

少しでも今日を感じたいからな。

 

 

 

今日のニュース

奪った金ばらまき「メリーXマス」、米国で白ひげの銀行強盗

目に見えないインクを使ったタトゥで予防接種を受けた子供を識別

2000万年以上前の螺旋状の化石「悪魔のコルク抜き」の謎に迫る

ウルカは休食

インドア派

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こんばんはウルカ。

 

 

「おじゃましまーす」

「はいはい、ようこそ、我が野へ」

ドアをあけると、そこには瑞々しい自然が溢れている。

マジもんである。

川が流れ、草木が元気に太陽の光をあびている。

牧草地を羊の群れが悠々と移動している。

頭上には、トビが気持ちよさそうに旋回をしている。

木の実を手に持ったリスが、僕の肩に登ってきて頬をふくらませている。

彼方には、雪をかぶった8000メートル級の山々がみえる。

「いやー、先輩、ひろいっすねー!気持ちいいっす!凄い!」

「あはは、まあ、ベースは8畳一間家賃9万円のボロワンルームなんだけどな。この広さでプラス月定額16万9800円なら、なんとか頑張ってみようかなって。」

「いやー羨ましいっすよー!うちの野なんて、月定額7800円のしょぼしょぼですよ、小さな湖があるだけで、動物もブラックバスと害虫がいるくらいで…」

 

この国が何度目かの鎖国を初めて、200年が経とうとしている。

もともと小さな島国であったこの国は、現在では国土の98%が都市でうめつくされている。

そう、屋外に、自然と呼べるものは見上げる空以外には皆無と言ってよいだろう。

造花や造樹木の並べらた塩素の匂いのする造自然公園になど、誰も寄り付かない。

不動産、通信、旅行、宗教、様々な企業が提携し、はじまったネイチャー・クラウド・サービス、通称NCSは、この国ではとくに人気のコンテンツとなっている。

NCSとは、月定額料金を支払えばクラウド上にプライベート自然スペースをキープする事ができ、必要な時にダウンロードして使用する事のできるサービスである。

NCSを利用して、農業や、酪農、狩猟などで今では貴重な非・人工食料を手にする事も可能である。

人工肉、人工野菜、人工穀物だけでは、長生きは出来ても、夢はない。夢は。

最近では定額プランも数多く設定されており、僕みたいな貧乏サラリーマンにも、手軽にクラウドでプライベート・自然スペースをキープする事ができる。

世界中で需要のあるネイチャー・クラウド・スペース(ncs)は毎秒拡大していて、この星のクローンも今では107億2000個を超えたそうだ。

今の時代、アウトドアばかりではクリーンになり過ぎてしまう。

もっとインドアで、泥臭く、野性的に生きようぜ!

 

 

 

 

今日のニュース

アマゾン、クリスマスに家族と口論になったら「アレクサ、話題を変えて!」と頼むことをおすすめ

地球外生命は魚が腐ったような臭いがする可能性(米研究)

絶滅危惧種の今と10年前を地図上で比較できる「新・野生生物絶滅危惧マップ」

パキスタンで医師の中傷に腹を立てた弁護士200人が病院を襲撃!患者3名が死亡

ウルカはデュビアを12匹

昏がりに埋まる

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こんばんはウルカ。

 

 

わたしの住む部屋からは、海がみえる。

わたしは潮の匂いがとても苦手だし、暗い海がとても怖いのに、大きなターミナルのある湾岸近くのさびれた港街に暮らしている。

職場の寮がそこにあるから。

洗濯物を赤錆だらけのベランダに干すと、たちまち生臭い潮干物になってしまうので、狭い部屋の中は吊るされた洗濯物がスペースの大半を占領している。

掠れた窓を覗く。

朝陽を反射した海面が、聖なる魔獣のように畝っている。

わたしは作業着に着替える。

うわべばかりの柔軟剤の香りに混じって、幽かに潮の匂いがした。

わたしは鼻で呼吸する事を諦め、自転車の鍵を手にとると、ひとおもいにドアをあける。

今日も、今日がはじまった。

 

埠頭に、生物倉庫というものがある。

わたしの職場で、わたしの居場所。

生物倉庫は、生物専門の巨大なリサイクルマーケットのようなもので、ありとあらゆる生物がストックされている。

毎日、買い取りカウンターには長蛇の列ができる。

毎日、大量の生物が船で出港してゆく。

ペット用として、動植物園用として、実験用として、食用として、家畜用として、狩猟遊び用として、曲芸用として、医療医薬用として、介護用として、兵器用として、愛護団体用として。

元々ペットだったものが兵器用となり、元々愛護団体用だったものが食用となって、リサイクルされてゆく。

職場はシフト制で持ち場をかわる。

今週のわたしは廃棄係だ。

倉庫の裏手は海に面しており、様々な海猛獣がストックされている。

その海猛獣の生簀に売り物とならなくなった生物を蹴落とし、餌としてリサイクルする係である。

わたしは、年老いたウサギや山羊、奇形として産まれたアフリカゾウの仔、精神を壊したホッキョクグマハリネズミ、酷いヘルニアで働けなくなった山本さんなどを蹴落とす。

鱶や鯱が、ウサギや山羊、アフリカゾウの仔や山本さんに食らいつく。

その餌に食らいつく鱶や鯱ごと、カリュブディスやクラーケンが競うように呑み込む。

わたしもいつか、職場仲間にこの暗い生簀に蹴り落とされる日がくるのだろうか。

まあ、兵器用や実験用にリサイクルされるくらいなら、食用に冷凍されるか、この暗い生簀に落ちた方がマシというものだ。

わたしのように血統も見てくれも悪い者は、ぬくぬくと一生を過ごせると噂のペット用としてリサイクルされることなど、夢のまた夢である。

 

夕日を反射した海面が、邪な神獣のように畝っている。

わたしは最後にHIVに感染したオランウータンを暗い生簀に蹴落とすと、今日の仕事を終える。

ゲートを潜ると、首に埋め込まれた管理チップが反応して小さな電子音を鳴らす。

わたしは自転車にまたがると、わたしの意思で、小さくベルを鳴らす。

わたしの住むさびれた港町は、この生物倉庫が運営する施設の一部で、人間の生簀、要するにストック場所となっている。

ストックされている人間は生物倉庫施設内で労働し、最低限の生命維持保証をうけて生きている。

優良な個体は買い手がついて、リサイクル生物として売られてゆく。

 

その昔、人類がこの星を牛耳っていた時代があったそうだ。

もし、わたしがその時代に生まれていたなら、今よりも幸せだったのだろうか。

今の暮らしが不幸だとは思わない。

食料も寝床もあって、好きなときに自転車のベルを鳴らしたり、鼻歌を歌う自由だってある。

潮風が、わたしの前髪をゆらす。

さびれた港町の灯りが、夜の昏がりに埋まっている。

わたしは鼻で呼吸する事を諦め、自転車のハンドルを握ると、ひとおもいにペダルを踏んだ。

 

 

 

今日のニュース

犬は人間と同じ脳の領域を使って数字を処理できることが判明

隕石が展示されているケースが突然浮かび上がる怪現象が発生(ロシア)
中国で間もなく人工太陽に火が灯る。核融合エネルギー実現へ

 ウルカは休食

枕のかわりにコーデュロイパンツをなげる

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こんばんはウルカ。

 

俺は今年最後の仕事を終える。

まるで枕投げか雪合戦のように皆で良いお年をという言葉を投げ合いながら職場を後にする。

フェイドアウトする良いお年をという言葉。

フェイドインするエレベイターの静寂。

 

ビルを出るといつもの喧騒だね。

それでもクリスマスやニュウイヤーの騒ぎはまだまだこれからが本番らしい。

他の社会人と比べるとなんとなく早めの仕事おさめだろうか。

来年は1月6日から仕事のスケジュールが入っている。

他の社会人と比べると何となく同じくらいの仕事始めだろうか。

例えるなら、早寝、普通起きってところか。

早寝、遅起きが最高だとすると、2番目に最高なやつだね。

吉?中吉?なかなかついているな、俺は。

さておき、今年も良いお年をという言葉の投げ合いになんとなく参加した俺だけれど、「良いお年を」ってなんだよ。

意味がわからんぞ。

まあ、良いお年をお迎えくださいってことなんだろうけど、この年末キワキワのタイミングでそんな事言われても、大晦日やら新年の始まりが良いか悪いかなんて、昨日まで続いてきた今年の成果次第だろ?

あと数日で逆転ホームラン打てる奴も、突然ドン底に陥ちる奴もなかなかおらんだろうがよ。

状況が良くても悪くても、そのなかでベストを尽くせということか?

何目線だよ。

まあ、いいや。

俺が一番嫌なのは、年が明けてからの明けましておめでとうございますという言葉の投げ合いだ。

アホのひとつ覚えのように飛んでくるあの言葉は全く意味がわからん。

俺は一切投げ返さない。

なんにもめでたくない奴が大半だろうによ。

無事に年をこせたから?

生きているだけでもうけもの?

いつの時代だよ。

俺は祝う理由がない奴におめでとうとは言わないぜ。

という、くそみたいなことを、年の瀬のうかれた街のうかれた焼肉屋のうかれた忘年会の席の隣の席で、ブログに書いている。

目の前では恋人があくびをしている。

今年も俺らしく生きた気がします。

来年はもっと俺らしくなれたら良いな。

まてよ、俺らしいってなんだよ。

全く意味がわからんぞ。

ああ、牛タンと生中、追加で。

 

 

今日のニュース

トイレで時間つぶしは通じない。従業員の生産性を高めるため、座るのが不快になるよう設計されたトイレ

南極の氷の下にある世界一深い渓谷がマッピング技術で明らかに(NASA

ウルカはデュビアを12匹

騒がしいカフェ

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こんばんはウルカ。

 

いきつけのカフェがある。

日当たりの良い場所にアウトサイドスペースがあって、暑くも寒くも雨も風もない時季には俺にとって絶好のアイデア湧く湧くプレイスとなる。

ラップトップを持ちこんで、だらだらと過ごすのが好きだね。

仕事用に、そうじゃ無い用に、プチプチとアイデアが湧いてくる。

目の前には、まあまあ人通りのある露地と、味のある街路樹があって、よく鳥が遊びにくるのがとても良い。

暫くこの街を離れていた俺は、久しぶりにこのカフェを訪れた。

さすがに今日は寒いから、アウトサイドスペースにはダウンジャケットを着込んだアウトサイダーな欧米人くらいしか座っていないな。

店のドアを開けると、なんだか雰囲気が変わっている。

はやけに暑かったり、いやに寒かったり、どうにも雨だったり、否応なしに強風だっりする時によく座るインサイドスペースのお気に入りのテーブルが空いている事を確認すると、ダウンジャケットを脱ぐ。

マスター、久しぶりです、なんか雰囲気変わりました?

ああ、いらっしゃい、平山さん。

そうなんですよ、うちも音壁樹をいれたんですよ。

あっ、そうなんすね〜、どうりで音が…

 

音壁樹というものがある。

壁状の植物で、音を呼吸する。

光も水も空気も殆ど必要としないかわりに、騒音を吸い、浄音を吐くことで生きている。

店内を注意深く見渡すと、以前と変わらないように見える白色の壁は、緩やかに膨張と収縮を繰り返しているようだ。

音壁樹に囲われた室内では、客の話し声や、子供の奇声、ガシャガシャと鳴る皿の音など全く聴こえない。

自分のたてる足音さえも、跡形もなく喰われる。

本当に目の前で話さなければ、会話も成立しない。

それでいて、ピリピリと静寂が張り詰めているわけでも、伽藍堂のような無音に苛まれているわけでもなく、店内は安寧とした浄音に包まれている。

メロディもリズムもないが、不思議なグルーヴがある。

近年では図書館や病院、料亭などで多く採用されている。

 

マスター、いい感じっすね!じゃあ、いつものトアレグ・コーヒー、ください!

俺の発した注文はマスターに届いたのだろうか。

マスターはにこやかにカウンターにもどると、烈しくヘッドバンギングをはじめる。

ああ、そういえばここのマスター、デス・メタル好きだったな…

おそらくカウンター内では爆音でデス・メタルサウンドがスピーカーを震動させているのだろう。

以前は微かなボリュームでアシッド・ジャズとかが流れていたっけ。

隣のテーブルの客はマイクを握り盛大に唾をとばしながら何かを熱唱している。

向かいのテーブルではスマートフォンに夢中な母親の横で女の子が無音で絶叫するように泣いている。

その隣のテーブルではカップルが喧嘩をしているようで、女が男にコーヒーカップや皿を投げつけている。

男がかわしたコーヒーカップや皿が壁にぶつかり音を立てずに割れた。

視界が騒がしいな。

安寧とした浄音に包まれた店内は素晴らしいが、次からはアイマスクを持ってこよう。

俺はダウンジャケットを着ると、アウトサイドスペースにでる。

先客のダウンジャケットを着込んだアウトサイダーな欧米人がニヤリと笑うと、ここが一番だろ?と言った。

俺はそうだなと肯くと、味のある街路樹にとまる寒そうな鳥をみた。

 

 

今日のニュース

高速道路上を走っていた犬をドライバーたちが一丸となって救助、無事飼い主の元へ

3Dプリンターでちゃんと機能するミニ肝臓の作成に成功

混雑する病院で妊婦妻のために自らが椅子になった夫

「勝った方が私の愛情をひとりじめ」男性2人を決闘させた女性を逮捕、うち1人が命を落とす

自分の血を売って生計を立てる「売血」が増加、アメリカの貧困層の現実
大正12年築の銀行跡地がビアバーに。米国クラフトビール「ブルックリン・ブルワリー」世界初の旗艦店・日本橋兜町に2月1日よりオープン 

ウルカは休食

随分と最近のことしか書いてねぇ

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こんばんはウルカ。

 

カウンターで、ビールの入った瓶とビールの入ったグラスを、ビールの入った俺が、交互にみている。

この三者の違いといえば器の形くらいのもので、内容物は同じラガー・ビールである。

EIZO・モニターに映し出されるピクセルみたいに、全部の原材料が詰まるところ全部同じだとすれば、瓶からグラス、グラスから俺、に注ぎうつされたラガー・ビールは、海水につかるクジラで、妖刀ムラマサで、杉田玄白で、雲で、オゾン層で、アフリカ大陸で朽ちおちたランド・クルーザーで、若大将の燃えてしまったボートで、樹海のあくびを響かせた大気で、合格して拳を突きあげるあの子の感情で、一発ギャグでブレイクしてしまった芸人の苦悩で、泣かせてしまったあの人の涙で、あの時山に置き去りにしたオフロード・バイクの錆で、子供のころ広島のアパートで母親の帰りを待ちながら見た夜の雨で、ブラジルで殺された友人の髪で、ニュースでみた芸能人の謝罪で、下駄箱にあった手紙で、あの歩道を老人に連れられてヨボヨボと歩く老犬のかつての産声で、10年前の今日このカウンターに座っていた客が飲んだラガー・ビールで、出来ているのかもしれない。

俺は慌ててビール瓶に貼られたラベルをクルクルとチェック・イット・アウトする。

原材料

麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ、米、コーン、スターチ、アルコール分5%

 

なんだ、随分と最近のことしか書いてねぇんだな。

そういえば、事故物件と言われる賃貸アパートなどは、事故や事件のあった後、一人でも新たに契約者が現れてそこに住んだ実績があれば、以後その部屋を事故物件と表記する義務はなくなるそうだ。

それと似たようなものかな。

まあ、どうでもいいか。

いつの日か飲むラガー・ビールは、今日俺がついたため息でできているかもしれんぞ。

俺は瓶に残ったラガー・ビールを全てグラスへうつす。

それから、並々と揺らいでいるグラスのラガー・ビールを全て俺にうつした。

大将、瓶ビール、もう一本ちょうだいな。

 

 

 

今日のニュース

赤外線カメラに映らない。量子特性でカモフラージュできる新素材が開発される(米研究)

アマゾンのアレクサ、“地球のために人間は死んだほうが良い”と持ち主に「自殺」を促す

なぜだか外国語なまりになってしまう奇妙な症状「外国語様アクセント症候群」とは

ウルカは休食

ひっつけてる

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こんばんはウルカ。

 

眉間に接触するほどにスマートフォンを顔に近づけている男がいる。

50代くらいだろうか。

スーツに甲羅のようなリュックを背負っている。

何をみているのだろう。

嬉しそうに笑っている。

水族館の水槽に顔にをひっつけて、ウミガメを夢中でみている子供を思い出すね。

あの男が眉間にひっつけているものは、スマートフォンなんかではなくて、水族館の水槽、又は海そのもので、悠々と泳ぐウミガメの群れを見ているのかもしれんぞ。

絶対、そうだといいな。

 

 

 

今日のニュース

「二日酔いなので休みます」が許可されるイギリスの企業、事前の欠勤予約もOK

ネコはアルミホイルが嫌いと良く聞くけど 本当かどうか検証してみた

地球の北極軸が急速にシベリア方向に移動。予定より1年前倒しで世界磁気モデルが更新される。

合成DNAを埋め込み、自らのクローンを作成するうさぎのフィギュア(スイス研究)

世界初、水上のデジタル酪農施設で牛の飼育が開始される、気候変動に左右されない環境

男性は男性の胸を良く見ている。最新の視線追跡調査で明らかに

ウルカはササミ肉を15切れ

タカラヅカ

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こんにちはウルカ。

 

最近は「アプリdeサプリ」が世界中で人気だね。

先ず、スマートフォンの中で冒険をする。

迷宮を弄り魔獣や魔王を倒したり、地下を弄りアイドルを育てたり、ゴミ箱を弄るホームレスとなって骨肉の縄張り争いに勝利したり、リズムにあわせて絶妙のタイミングで太鼓を叩きながらヨイトマケの唄を歌うなどして、アイテムを集める。

集めたアイテムを調合してサプリを作る。

現実世界にもどり、コンビニエンスストアに設置されているポッピーという端末でアプリで調合したサプリをプリントアウトする。

サプリを飲む。

凄いことになる。

という流れである。

 

犬族を超える聴覚嗅覚サプリ

急速アルコール分解サプリ

寒さを暖かさと感じるサプリ

やたらと軟体となるサプリ

記憶力がエグくなるサプリ

気の利いた言葉が溢れるサプリ

雨に濡れにくくなるサプリ

シークレットブーツが脚と一体化し、最終的には脚そのものとなる高身長脚長サプリ

下敷きの摩擦静電気で髪をたたせると1日中髪がそのままになるサプリ

髪が大量に発毛するかわりに爪が一切のびなくなるサプリ

9オクターブ上の声を新幹線に乗っている間だけ自在に操れるサプリ

 

など、人気サプリを調合する為のアイテム欲しさのアプリ課金による破産や、アイテム、サプリ売買詐欺などの事件も発生している。

中でも調合するのに膨大なレア・アイテムを必要とし、手にする事が最も困難と言われているキング・オブ・アプリdeサプリ、通称タカラヅカは、未だ手に入れた者は無く、効果も発表されていない。

様々な憶測が飛び交うなか、もしもタカラヅカがオークションに出品されれば、即座に数億円の値がつくといわれている…

 

 

「なあ、平山ちゃん。」

「なんだよ?タケ、いまブログ書いてんだよ。後にしてくれる?」

同僚のタケはいつも俺の集中を斬り裂く。

「ごめんごめん、いやさ、この前教えてくれたアプリで、タカラヅカが当たったんだけど…」

「は、はあぁぁぁ!!?タケ、お前…」

「いや、だから宝塚公演のチケットがさ、2枚、当たっちゃったのよ、オレはあまり興味ないからさ、平山ちゃん、いる?」

「お、おぉ…」

 

無駄に心拍が上がったな、とにかく、仕事にもどるとしよう。

 

 

 

今日のニュース

ドイツで優勝目前!?われらが”ゆんぼだんぷ”が「いい体」と「いい音」で世界中を席巻中

スターバックスで斬新なオーダー方法をする動画がTikTokでバズる

猫顔アプリで猫化した飼い主を見たときの猫の反応

エリア51とエリア52に地下40階の迷宮のような秘密地下施設が存在するという噂の真相

冬眠する哺乳類の遺伝的メカニズムが肥満や代謝異常の治療に役立つ可能性

ウルカは休食

黒い犬

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こんばんはウルカ。

 

中国大陸にある大きな都市の路上に立っている。

脂の腐ったような臭いのする街。

道沿いに沢山の檻が並んでいて、ペット用と札が下げられた犬々が売られている。

客に犬売りがアブラガノッテオイシイヨと話している。

客と犬売りがニタニタと話す真下の檻に閉じ込められた黒い犬が、真っ直ぐにこちらを見ている。

俺は、すみません、この黒い犬、幾らですか?美味しいですかと犬売りに聞く。

犬売りは三千元ダヨ。あんた日本人かなにかかね?

と言う。

食用にしては高いねと俺が言う。

ペット用だよ、ラブラドールレトリバーだよ、イングランドだよと犬売りが言う。

ああ、そうですかと俺は三千元を払う。

あの時、俺は十代で、お前は生後数ヶ月だったな。

あの時、三千元は俺の所持金の全てだったから、暫く一緒に脂の腐ったような臭いのする街を浮浪したね。

人様から食べ物を盗んだ事もあった。

あの時の人様、ごめんなさい。

お前はあっという間にデカくなって、あっという間に老いぼれたね。

日本の冬はどうだ?

寒いか?

お前の気管支の病はもう治らないと近所の獣医が言ったよ。

まあ、しょうがねえよな。

さあ、チーズを食べたら小屋にはいって眠れよ。

俺のお古だけど、ダウジャケットを敷いておいたぜ。

そういうと俺は、黒い犬を真っ直ぐに見た。

黒い犬は、あの時と同じに、真っ直ぐに俺を見た。

おやすみ。もうすぐ二千十九年が過ぎるよ。

 

 

今日のニュース

子供部屋の防犯カメラがハッキングされ、「サンタクロースだよ、親友になろう」と8歳少女を脅かす事案発生

マクドナルドを相手に「詐欺」を計画した男が『偽造』したものとは?車内から見つかり逮捕

ファーストクラスの上って「ザ・レジデンス」と呼ばれているんだってさ エティハド航空のゴージャスすぎる個室
恐竜が絶滅する前から地球は不安定な状態だった。貝殻の分析で海の異変が明らかに

人間の遺体を堆肥に変える世界初の施設が2021年にオープン予定、微生物で遺体を分解 

ウルカは休食

雨という忖度

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こんばんはウルカ。

 

ガリガリ君・レーズンバターサンド味を食べた事があるか?

あれはもはやガリガリ君自体の割合は数パーセントであり、隠し味程度にしか残っていない。

それなのに、最終的には間違いなくガリガリ君という存在で完結しており、見事にレーズンバターサンド味を従えている。

数や量では決して敵わないものが、この世には存在する。

それは概念という物体であり、質的評価という現象であり、寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ、という戯言である。

アンドロイドが夢をみるのかどうかは知らんし、オオトカゲに情けがあるのかどうかは依然としてわからんが、人間はこの寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ、という戯言に縋って生きている。

時にこの寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ、という戯言は、倫理や秩序として社会のルールとなり、宗教の神として崇められ、母親として甘えられ、アクセサリーとして指にまかれ、小石として右足に蹴られる。

 

俺は傘を捨て町に出た。

雨のエルム街を、極端に軽快なスキップという焦点で進み、俺はコンビニエンス・ストアに入店する。

コンビニエンス・ストアで手軽に買える概念という物体は、時に高級料亭の松のコースという現象を凌駕する。

めでたいね、人間という衝動は。

ああ、店員さんという真相よ、びしょ濡れの俺という戯言を、許してくれるかね。

 

いらっしゃいっ……ませ…

 

ああ、なんか、すみません…商品が濡れないように気をつけますので、入れてくださいな。

俺は雨滴を落とさないよう、異常なまでの抜足差足という嘘でガリガリ君・レーズンバターサンド味とチョコボール・サニーレタス味をレジへ持っていく。

 

はい、支払いは電子マネーという幻想で。

 

 

今日のニュース

人間の本来の寿命は38歳。DNA解析による脊椎動物の寿命推定

ラスベガスでカウボーイハットを被った鳩が多数目撃される。仕掛け人は不明

エゾモモンガの食事する姿がネットで反響「可愛いのにどことなく感じるエイリアン感」

生放送中に女性レポーターのお尻を叩いた男が逮捕

12歳少女が消えてほしい人の名前を書いたデスノートSNSに投稿。警察当局に拘束される

農作物を猿に荒らされ困っていた農民たち、犬を虎模様にペイント。なんと効果あり(インド)

どっちがどっち?ネットで混乱する人のための、ハスキーとマラミュートの見分け方

ウルカはデュビアを2匹

家電の月

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こんばんはウルカ。

 

洗濯機を買ったぜ!

うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

「貴方の用途にぴったりハマるのはこちらです。間違いありません。寧ろ他の商品は貴方にとってクソです。見る価値すらありません。とっととこの年末売れ残りセールのヤツを買っていきやがれよ。私は忙しいんだよ。」

と、目は口ほどにものを言うという言葉の生き証人度を競う世界選手権があれば、銅メダルくらいには食い込めそうな店員のクソな営業スマイルに、逆に心を動かされた俺は、まんまと洗濯機を買ったぜ!

最近の販売手法は輪をかけて巧みなんだな。

なんかこの前も掃除機を買った気がするぞ…

今月は家電の月だね。

クリスマスに配送を頼んだので、ビザ屋の宅配みたいにサンタクロースのコスチュームを着た奴がこの世の終わりみたいな形相で運んでくるのだろう。

悪いが、この俺の用途にぴったりの全自動洗濯機は、あんたの心まで洗濯してやる余裕はないぜ!

と、目で口ほどにものを言ったあと、俺は自分の心をもぎ取って、年末売れ残りセールで買ったその全自動洗濯機にブチこむ。

グルグルと洗濯された俺の心は、ピカピカで新年を迎える事だろうよ。

 黄ばみ防止機能だって付いている。

 洗えば洗うほどに真っ白になるそうだ。

 

 

 

今日のニュース

本物の皮膚のように自己修復するヒドロゲル製の人工皮膚が登場

アリアナ・グランデもそのひとり、今年グーグル検索で目立った「VSCO girl」とは

ノーフューチャー、ノーライフハック。ガソリンをレジ袋に入れてトランクで運ぶという荒業

海外の回転寿司店で、素手で寿司を触るまくる女児の姿が投稿され両親に非難の声

デンキウナギの放電でメリークリスマス

ウルカは休食