リンダリンダ
おはようウルカ。
学生の頃、うどん屋の二階の部屋を借りて、仲間3人で暮らしていた事があった。
学校から近いということもあり、暇学生達のたまり場と化していた。
常に5人以上は部屋に転がっている状態で、皆で焼肉やら鍋、酒をのんだりと賑やかなものだった。
台所と居間はすりガラスの引戸で仕切られていて、夜、居間で雑魚寝していると、一階のうどん屋を寝ぐらにしているドブネズミ達が、残飯を狙って台所へ侵入してくる。
すりガラスごしにみえる無数のシルエットは、日に日に増えていくようだった。
トイレへ行くには、すりガラス引戸を開けて、台所を通らなければならない。
夜中にトイレへ行こうとするならば、ネズミくん達を驚かさないようにそうっと引戸をあけて…
などと悠長な事を言っている場合ではない。
引戸の向こう側は、戦場、いや地獄と化している。
イメージとしてのネズミくんは、お目々がクリクリで、モフモフで、両手で上手にチーズをたべるよ!
というのが一般的だろうが、現実は大きく違っている。
すりガラスの引戸をあける。
無数のドブネズミどもが一斉にこちらを見る。
小ぶりな猫ほどの大きさのある奴らは、人間にびびって逃げ隠れするなんて事はない。
油にでも浸かったかのように、ベタベタと不潔でどす黒い。
疾患なのか、怪我なのか、所々体毛が抜け落ち、顔面の皮膚は赤紫に爛れている。
牙と目玉をむきだして威嚇するさまは、憎悪、残忍 、狡猾、邪悪、凶暴、残虐。
ゴフー、ゴフーとあげる威嚇音は空気を切り裂いて、俺の魂を喰いちぎろうとする。
デスメタルバンドのアルバムタイトルの粋を集めたような地獄の形相はトラウマとなり、可愛らしいウサギやリスなどを含む全ての齧歯類を見るたびに、フラッシュバックとなって俺を襲う。
あれに写真には写らない美しさがあるとは思えんぞ!
それでは歌って頂きましょう、リンダリンダ。
今日のウルカはデュビアを7匹