考えない
こんにちはウルカ。
砂の上を歩いている。
足元だけを見つめて歩いているので、ここが砂浜なのか、砂漠なのか、どの方角に進んでいるのか、わからない。
暑い。
上から照りつけているものは太陽なのか、巨大な電気ストーブなのか、そのどちらでも無いものなのか。
歯を、くいしばる。
歩給0.52円。
一歩進む毎に0.52円が支給される。
一万歩で5200円。
荷物は持たない。
立ち止まってはならない。
視線を足元から外してはならない。
週6日、地面の種類や温度など、異なった環境を足元から視線を外す事なく歩き続けること。
新聞の求人広告で申し込んだ。
何故か歩きはじめる直前と、歩きおわった直後の記憶がない。
毎朝メールで指定された場所へ行きロッカーに荷物を預ける。
いつのまにか歩きはじめており、いつのまにか歩きおわって、朝集合した場所に戻っている。
歩き終わるのが昼頃のときもあれば、真夜中のときもある。
同業の者を見かけた事は無い。
もうかれこれ40年続けている。
こんな仕事があるのであれば、是非やりたいと希望する者が沢山いるのかもしれないな。
伏し目がちに街を行き交う人々をみて、そんな事を思ったよ。
今日のウルカはデュビアを5匹、ササミを15切れ