ボタンを押すだけの簡単な仕事です

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こんにちはウルカ。

 

喧騒が太陽に反射して、空気を撼わす。

やんわりと揺れる街路樹が、それを宥める。

その動きは母親が眠っている子にあおぐ団扇のようだね。

街でガラスの欠片を拾っては、裸の電球にはりつけている。

ひと月ほどかけて完成させた電球を、街で売っている。

この電球も、いつかガラスの欠片となって私のところへ戻ってくるだろう。

やがて出鱈目な光と色を滲ませる電球は、著名な芸術家の目にとまり、作品と呼ばれ、人々に持て囃された。

世界的なアート・オークションに出品され、高額で落札されたそうだ。

私は芸術家とよばれ、作品にタイトルを求められた。

作品にタイトルをつけるということは困難を極めた。

 

私は文章にタイトルをつける事が好きだ。

文章は言葉で出来ていて、文章に言葉でタイトルをつける事には微塵の違和感もない。

写真はどうだろう。

写真に言葉でタイトルをつけると、写真までもが言葉に変わってしまうようで申し訳ない気持ちになる。

それなら、写真には写真でタイトルをつければ良いのではないか。

電球には電球でタイトルをつけよう。

私の作品と呼ばれるガラスの欠片が歪に張り付いた裸の電球を購入すると、もう一つ、歪な電球がついてくる。

 

 

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