同乗のタケ

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こんばんはウルカ。

 

忘年会の季節だね!

殆どの会社は訳も分からず、いや、訳を考えようともせず、年末の最重要行事よろしく忘年会を執行することだろう。

昨今、どれほどの人間が会社で催される忘年会や新年会、慰安旅行などを望んでいるのだろうか。

「まあ、これも仕事のうちだから」

と渋々参加している新卒採用の連中をみると、いたたまれない気持ちになるよ。

面倒な職場の人間関係を延長戦的にプライベート時間にまで強要される。

早く帰ってニンテンドーをプレイしたり、何かしらの動画を見ながらゆっくりと風呂にでも浸かりたいに違いない。

 

 

いらっしゃーい!

あら、毎度!

2名さま?

少々お待ちください、

すみませ〜ん、ただいま満席でして....

なんだよー、大将、なんとかなんねーっすか?

すんませ〜ん、ほら、忘年会シーズンでして…

 

忘年会代行屋というのはどうだろう。

酒がまわってくれば、ハゲ上司などは誰が誰だかわかりゃしないだろう。

乾杯から3、40分で、依頼者とさし変わる。

席は埋まりっぱなしでガンガン売り上げものびるわけで、店側も文句ないだろう。

なによりも、嫌々ではなく、楽しそうに酒を呑む忘年会代行屋は見ていて気分が良いはずだ。

依頼者は忘年会に出席したという体裁はたもちつつ、早々にニンテンドーに没入できるというわけだ。

素晴らしいじゃないか!

 

俺は、正面のテーブルに座る職場関係であろう集団の中で、笑顔が引き攣っている若者の1人と目が合う。

俺とチェンジする?

というジェスチャーをすると、引き攣った笑顔のまま、「だ、大丈夫です」と口を動かした。

そうかい、残念だなと一緒に来た同僚のタケを探すと、既に見ず知らずのサラリーマンのテーブルに割り込んで、乾杯をするところだった。

タケは、忘年会同乗屋を既に開業していたのか。

おいタケ、バイトでいいから採用してくれないか?

 

 

 

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