移動中にミュージックを楽しむこと

f:id:maxm:20191206102242j:image

こんばんはウルカ。

 

車窓の枠のなかで凍える街が背後へとながれてゆく。

列車の中、ワイヤレス・イヤフォンでミュージックを聴いている。

青緑色の座席の足元からは、暖かな空氣が循環していて、眠気をさそう。

おそらく、世界で13番目くらいに心地の良い場所ではないだろうか。

スマート・フォンのスマートなミュージック・シャッフル機能が、次の曲を再生する。

眠気を吹き飛ばすようなゴキゲン・ダンサブル・ナンバーだ。

私は思わずボリュームを上げる。

身体が自然に動き出す。

私は思わず肩と頭をミュージックに合わせて揺らす。

ふと、通路をはさんだ隣の青緑色の座席に座る老人が足でリズムをとっているのが視界に入る。

彼も何かミュージックを聴いているのだろうか。

移動中にミュージックを楽しむことは流れる景色や空気にメロディやリズムがマッチして、大変有意義である。

通路をはさんだ隣の青緑色の座席に座る老人の足の動きと私の肩と頭の動きが、完全にシンクロする。

ふと、出入口ドア付近に立っている異常に赤い口紅を塗った老婆が両手でダンスの振り付けを踊っているのが視界に入る。

彼女も何かミュージックを聴いているのだろうか。

移動中にミュージックを楽しむことは流れる景色や空気にメロディやリズムがマッチして、大変有意義である。

 出入口ドア付近に立っている異常に赤い口紅を塗った老婆の腕の動きと私の肩と頭の動きが、完全にシンクロする。

まるで私と全く同じミュージックを同時に聴いているようである....

私はハッ!っとして座席から立ち上がり、まわりを見渡す。

やっぱり。

私の車両にいる乗客全員がヘッドフォンやイヤフォンを装着しており、皆一心不乱に私の聴いているミュージックとシンクロするかように各々がおもいおもいの動きでミュージックにノッている。

そう、今日は年に一度の、ラブ・ミュージック・デイである。

仕組みはわからないが(一説では政府が人々の装着しているヘッドフォンやイヤフォンを介し、特殊な電磁波を脳に送り込むことで人々の行動をコントロールしているという噂もある)、ジャンルや曲の好みが同じ者同士が、列車やバスの同一車両、公園、駅の待ち合わせ場など、自然と同じ場所に集められる。

それから全く同じタイミングで、同じ曲が、そこに集まった全員のヘッドフォンやイヤフォンで再生される。

同じミュージックを同じ場所、同じ時間で共有する。

 

皆、気がついているのだろうか。

私は身体をミュージックに合わせて揺らしながら車両をもう一度見渡す。

ほぼ、全身を使って踊っていると言っても過言ではない老カップルと目が合う。

カップルの二人はハッピー・ラブ・ミュージック・デイを表すジェスチャー、指でVサインを作り、口元に当ててVの間から舌をだした。

私もお返しにと指でVサインを作り、口元に当ててVの間から舌をだす。

すると車両にいる全員が指でVサインを作り、口元に当ててVの間から舌をだした。

なんという一体感。

同じミュージックを同じ場所、同じ時間で共有するということは、なんと素晴らしいのだろう。

私は思わずボリュームを上げる。

ヤーレンソーランソーラン ヤレン ソーランソーラン ハイハイ男度胸は五尺のからだぁドンと乗り出せぇ波の上チョイヤサエンエンヤーーーァサーァのドッコイショ ハードッコイショドッコイショ!!

私はなんとも気分が良くなって、列車が目的の駅に着くまでの間、同志たちと一心不乱、ソーラン節に身体を揺らす。

車窓の枠のなかで、凍える街が背後へとながれてゆく。

この車両は今、世界で6番目くらいに心地の良い場所ではないだろうか。

 

 

 

 

 

今日のニュース

動物たちの息づかいが伝わってきそう シュライヒの野生動物フィギュア「ワイルドライフ」シリーズの新作

コップのカップにピッグと書いたスタバのバリスタ、警察側が激怒

地球温暖化で鳥のサイズが縮小か、シカゴで研究報告

カラスは人間の子供と同じくらい自制心があり、目先の欲求を我慢することができる

【錯覚】タイでは横断歩道が浮かんで見える!?交通事故対策にボランティア団体が奮闘

ウルカは休食