タケ9%

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こんばんはウルカ。

 

層師という者がある。

層師は物事を重ね合わせて一つの物事をつくる職人である。

先ず、ベースとなる層を決め、それから重ねる層とその透明度を決める。

たとえば杉浦さんをベースにして、山本さんを透明度30%、ペルシャ猫を透明度10%、ビーフシチューを透明度9%、ゴンザレスを透明度1%で重ねる。

すると50%は杉浦さんで残りの50%は山本さんやペルシャ猫やビーフシチューやゴンザレスで形成される。

ただしこれは、杉浦さん本人以外の者からの見え方や感じ方であり、ベースとなる杉浦さんの100%が50%に削られるわけではないので安心!である。

対外的には杉浦さんは50%となるが、対内的には杉浦さんは100%であり、プラスされた50%の異なるものを通して世と接する。

要するに、杉浦さんは対内的に150%の存在で存在することとなる。

重ねられた山本さんやペルシャ猫やビーフシチューやゴンザレスが気に入らなければ、何度でも重ね変える事ができるし、さらに山田やバターや海水などを重ねて、200%以上を目指すことだってできる。

しかし、対内的に200%を超えるということは、対外的に100%ベース、要するに杉浦さんの存在は見たり感じたりできなくなるため、余程の恥ずかしがり屋でなければ、少なくとも10%くらいはベース、要するに杉浦さんを残すのが一般的である。

最近ではネット上にチュートリアルが豊富にアップされており、手軽に層師の技術をマスターする者も増えているそうだ。

 

ここまで書き終わると、俺は自分から「平山タンバリン32%」という層を剥ぐ。

それから、隣に座っている男から「同僚のタケ9%」という層を剥ぐと、職後の一杯に誘った。

 

 

今日のニュース

血管を備えた「生きた皮膚」を3Dプリンターで作成することに成功

人体実験から炭疽菌まで。本当に行われていた恐ろしい10の科学実験

犬は犬好きの人がちゃんとわかる。路上で踊りながら近付く男性を見た野良犬、尻尾を振って応える(トルコ)

ウルカは休食

濫觴

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こんばんはウルカ。

 

カタカタと窓ガラスが鳴っている。

こんな寂れた街の、今にも崩れ落ちそうなビルとビルの間にも、風が吹き抜ける。

気持ちよく吹き抜けることができる場所は他にいくらでもあるだろうに。

ものずきな風もあるものだな。

オレは掠れた革張りのソファーに転がり、虫食いのような模様が大変不愉快な天井板を見上げながら、非・電子タバコをふかしている。

テーブルには潰れたビールの缶と、随分前にキャパシティーをオーバーした灰皿、それからタンバリン。

オレは4時間前、橋の上で不思議な動物を肩にのせた男からこのタンバリンを預かった。

不思議な動物を肩にのせた男は血塗れで、息が荒かった。

4トン車にでも撥ねられたのだろうか。

肩にいる不思議な動物は男の啻ならぬ様子とはうらはらに、静かに、眠るようにオレを見つめていた。

金色をしたその動物は、半分が炎のような気体で、空気との境があやふやに見える。

血塗れの男は、オレを凭れかかるように掴むと、こう言った。

悪いな、このタンバリンと、こいつを頼む。

こいつの名はウルカ。

振り返らず、走れ。

ここは俺がくいとめる。
さあ、いけ!

あの血塗れの男はなんだったのだろう。
出血で頭がおかしくなっていたのだろうか。
カラオケ屋に置いてあるような安物のタンバリンと、おかしな動物をオレに押しつけると、橋から飛び降りた。
オレは橋の下の暗い川面を見たが、男の姿はなかった。
死んだのだろうか。
まあ、どうでも良い。
面倒なことに関わるのは御免だ。
男が肩にのせていた動物は窓枠に座り、さしこむネオンの光を浴びて、大きなあくびをしている。
スマートフォンで写真を撮り画像検索をしたところ、コガネオオトカゲという種類の生き物らしい。
先程までの炎のようにあやふやな質感ではなく、しっかりとした鱗におおわれている。
ウルカ。
名をよんでみる。
ネオンの光を浴びるコガネオオトカゲは、一瞬、また炎のようにあやふやに揺らいだ。



今日のニュース
山火事で救出されたオス馬が、母馬と子馬を助けるため、危険が迫る火災現場へ戻っていく

どうしてお酒が飲みたくなるのか? 細胞レベルで記憶の形成に影響を及ぼしているから

聖剣エクスカリバーか?約700年前の剣が川底の岩に刺さった状態で発見される
ウルカは休食

父親は10年間にひとりまで

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こんばんはウルカ。

 

ロレックスという腕時計をつくっているメーカーがある。

正規店で購入するには身分証明と登録が必要で、1度購入すると、同じ商品は5年間購入することができない。

さらに、同メーカーの他の商品についても1年間購入することができないそうだ。

ほかのものも全てそうしたらどうだろう。

靴も鞄も服も箸も自動車も洗濯ネットもギターもスケボーも束子もMacも爪切りも犬も父親も椅子も、1度購入したら5年とか10年とか20年とか、または一生に一度しか購入できない。

とすれば、購入者は大切に大切に使うだろうし、メーカーは品質を極限まで高めるだろうし、資源の節約にもなるだろう。

それでは、弟か姉でも買いに身分証を持ってファミリー・マートへいってきます。

 

今日のニュース

フードデリバリーのアプリで野良犬に食べ物を配達する男性

二重生活を送っていた猫。別宅では別の名前で呼ばれ、とてもかわいがられている事実がついに判明

ウルカはデュビアを12匹

ラーダ・ニーヴァ

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こんばんはウルカ。

 

ロシア製のラーダ・ニーヴァというクルマがある。

俺は今日初めて実物をみたのだけど、形、サイズ感ともに凄く良いね。

本国ではプーチン氏も愛用しているとかいないとか。

信号待ちで隣になったラーダ・ニーヴァは白色で、左ハンドルの運転席には、拘りと蘊蓄がウザそうな顔つきの女が拘りぬいたであろう、ビンテージであろう帽子をかぶって座っている。

カーオーディオから流れる音楽はきっと下北沢あたりの雑貨屋風なのであろう。

俺のクルマよりもひとまわり小ぶりなラーダ・ニーヴァは、弱ったサイレンのような音を終始発している。

仕様なのか不具合なのかは分からんが、いつパッタリとエンジンが止まって、うんともすんともいわなくなるかわかりませんよ感が鈍いオーラとなって滲みでている。

これがまた堪らなくいい。

危ういと感じる緊張感を極力排除しようと努力してきた昨今の工業製品にはない魅力だね。

マニュアル・モードとか、スポーツ・モードとかあるんだから、今にもぶっ壊れそうっす・モードがあっても良いのに。

俺はどうやら危ういものが好きなようだよ。

昔はしらんが最近の玉置浩二、とか、カバディとか、不器用な奴が作った玉子焼きとか。

危うい食べ物というと生牡蠣、となるわけだが、凄く好きだね。

万人うけしない味、食い物なのか疑わしいルックス、まずまずの確率で食中毒に陥るという危うさ。

いいね。

そろそろ牡蠣のシーズンだ。

生牡蠣を食う為に今にもぶっ壊れそうなクルマに乗って東北の果て港町を目指す。

持ち物はライターと毛布と1万円札3枚だけ。

いいね。

ああ、スマートフォンを置いていったらブログが書けんな…まあ、いいか。

 

 

今日のニュース

海面上昇による洪水で2050年までに3億人が家を失うとの予測

11月には“口ひげ”を生やす男性が激増「Movember」がアツい、あなた好みの口ひげはどれ?

片足しか持たない男性、「彼にしかできないハロウィンの仮装」が面白すぎてバズる
ウルカはデュビアを12匹

軌条の上

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こんばんはウルカ。

 

軌条の上を歩いている。

地面と平行に両手をぴんとはって、平衡に平衡に。

軌条の高さは15センチメートルほど。

足を踏み外したとしても、約15センチメートル落下するだけである。

少し心拍が速まる程度のことだろう。

これでは刺激がない。

私は地面を、雲が流れる空ということにする。

軌条の下では雷雲に乗った小ぶりの太鼓をアーチ状にデコレートした雷神が、電々と太鼓を鳴らしながらブレイク・ダンスを披露している。

しばらくすると今度は絨毯に乗った褐色の肌をした三つ目の青年がやってきて、手にもつ銀色の食器から出現した蒼い肌をした怪物と唾を飛ばしあうほど烈しく言い合っている。男女関係のモツレだろうか。

頭上を見上げると、そこには海が逆さに波めいていて、先ほど見かけたブレイク・ダンスの雷神が、海面で電々と太鼓を鳴らしながらブレイク・ダンスを披露している。

しばらくすると絨毯に乗った褐色の肌をした三つ目の青年がやってきて、彼のもつ銀色の食器から出現した蒼い肌をした怪物と唾を飛ばしあうほど烈しく言い合っている。男女関係のモツレだろうか。

その上を、深緑とパープルが混じった金色のキマイラが飛んでゆく。

 

私は軌条の上を歩いている。

空中と平行に両手をぴんとはって、平衡に平衡に。

足を踏み外したとしても、無限に広がる空中を落下し続けると同時に上昇し続けるだけだ。

若干心拍が速まる程度の事だろう。

なんの刺激もない。

私の生きるこの現実世界には、限りなく始まりと終わりがない。

死を恐れることも、生を悦ぶことも無い。

幸福なことも、不幸なことも無い。

敢えてつくり出した、なけなしの抑揚で大袈裟に過ごすことが精一杯だ。

先程の絨毯に乗った褐色の肌をした三つ目の青年と銀色の食器から出現した蒼い肌をした怪物のように。

だけれどそれは、少し心拍が速まる程度の事だ。

 

私は眠っている時に見る夢が好きだ。

夢の世界には始まりと終わりがあり、死を恐れたり生を悦んだり、幸福や不幸を味わったり、欲望のために争い、騙し、奪い、嘆き、敢えて感覚を麻痺させて抑揚を感じないことが平穏だと思いこんだり。

なんて刺激的なのだろう。

早く眠りについて夢の世界へ入りこみたい。

このなんの刺激もない現実世界には別れを告げて、永遠に夢の世界で暮すことは出来ないだろうか…

 

私は軌条の上を歩いている。

地面と平行に両手をぴんとはって、平衡に平衡に。

ケンタウロスである私は、4本の足で軌条の上をぼんやりと歩いている。

私のような架空の生物が暮らすこの架空の現実世界には、限りなく始まりと終わりがない。

死を恐れることも、生を悦ぶことも無い。

幸福なことも、不幸なことも無い。

敢えてつくり出した、なけなしの抑揚で大袈裟に過ごすことが精一杯だ。

 

軌条を進んでいると、いつの間にやら駅に着いたようだ。

駅のホームには大勢の普通の人間がいて、私を珍しいものでも見るかのように指をさして何やら大声をあげたり、写真機を取り出して撮影をしたりしている。

けたたましい警報と金属の擦れる音と同時に、後方から電車が私に衝突した。

どうやら私は夢を見ているようだ。

軌条の上を歩いているうちにウトウトしたのだろう。

私のような架空の生物が暮らすこの架空の現実世界には、人間は存在しないし、電車と衝突して身体がバラバラになることもない。

私は、やけにリアルな自分から流れる赤い血と、いやにリアルな人間の悲鳴を遠くで聞きながら、そんなことを思った。

どうやら私は夢を見ているようだ。

だけれどそれは、少し心拍が速まる程度の事だ。

 

 

 

今日のニュース

ディズニーランド、たい焼きならぬ「人魚焼き」の見た目がなかなか残酷

ハチに捧げるロックンロール、昆虫心理学の専門家がアルバム発表

中国 チャウチャウの毛染めて「パンダ犬」に、動物虐待との批判も

父親のように慕っていた男性が亡き後もスマホにメッセージを送り続けた女性。4年後の命日、返事が届く

米NY 2022年からフォアグラ販売禁止、生産業者は法的措置へ

ウルカはデュビアを14匹 

しるべ君

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こんばんはウルカ。

 

 

スマートフォンに顔をかざすと、俺というアイデンティティを認識して、セキュリティが解除される。

水色のアイコンをタップしてアプリ、しるべ君を起動する。

眉毛が矢印のかたちをしたキャラクター、しるべ君が挨拶をしてくれる。

「こんばんはタンバリン!

きみの未知、未経験は以下の通りだよ!

今日のぼくのおすすめを見る?」

しるべ君は、俺というアイデンティティが未だ知らないこと、未経験なことを解析、リストアップしてくれる。

今夜、しるべ君がリストアップしてくれた俺の未知、未経験は386億2934万7452件だった。

昨夜は365億4754万9873件だったので、24時間で俺が未だ知らないこと、未経験なことが21億件ほど増えている。

世界にはすごいスピードで新たなモノやコトがうまれているのだなあ、などと感心する。

今のペースだと、俺の生涯経験達成率は全体の0.000000000002%だそうだ。

 

今日のしるべ君のおすすめを見る。

 

「タンバリン、今日のぼくのおすすめは、アプリ、しるべ君Pro(有償版)にアップグレードすることだよ!

アプリ、しるべ君Pro(有償版)にアップグレードすると、リストアップされたそれぞれの項目にかかる費用、時間、注意事項、メリット、デメリットなどを細かく知る事ができるよ!

さらに!費用、時間、難易度、危険度、価値などでソートすることが可能だ!

さらに、さらに、検索機能も充実!キーワード、カテゴリーやジャンルはもちろん、地域や自分を中心とした任意の半径距離で検索する事もできるよ!

さらに、さらに、さらに!ぼく、しるべ君の服や髪型、眉毛を自由にカスタマイズできるんだ!

人生はあっという間!効率よく有意義に過ごそう! ダウンロードはこちら」

 

アプリ・ストアで、しるべ君Pro(有償版)を調べると、価格1800円。

ダウンロード数は44億を超えていた。単純計算で、全人類の半数以上がしるべ君Proを使っていることになる。

しるべ君の眉毛を自由にカスタマイズできるのは魅力的だが、無償版くらいが俺にはちょうど良いのかもしれないな。

俺は、スマートフォンを助手席になげると、ランドクルーザーのエンジンをかけた。

 

 

 

今日のニュース

月の土から酸素を取り出す方法が考案される。月面基地に役立つと期待

アメリカ人の45パーセントが幽霊や悪魔を信じている

大爆発 ゴキブリ駆除のため火をつけたマッチを巣穴に投げ込んだら庭全体が吹っ飛んだ

米研究者、ネズミに小さな車の運転教えるのに成功

バンコクの店で肉6キロの巨大バーガー、完食すれば賞金1万バーツ

本のページをパラパラと高速でめくり5分間で10万語を記憶できるという「量子速読法」が中国でブームに

ウクライナでカラオケタクシー、歌えば運賃無料

ウルカは休食

通称E・E・P

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こんにちはウルカ。

 

 

プロスポーツ選手とかってさあ、なんであんなに金もらってんの?

運動して試合に勝ったり負けたりして、子供が遊んでんのと一緒じゃん。

それ見て喜ぶ奴らがいるから商売になるんだろうけどさあ、病気を治すわけでもないし、食べ物生産してるわけでも、道を作ったりダム作ったりビル建てたりもしないだろ?

映画とか音楽とかゲームとか漫画とか小説とかアート?とかさあ、余計なもんつくって喜んでんの人間だけじゃん?

そのせいで余分に金が必要になって争ったり騙したり自然壊して戦争とかもするわけじゃん。

ストレス解消とか精神安定のためにそんな余計なもんつくってんの?

マジ人間って、知能高いけど頭悪過ぎじゃね?

感情たかぶらせて喜ぶとか、ほんと野蛮だよなぁ、逆にぃ。

他の生物達からしたらいい迷惑だよ。

そう思わない?

やばぁいユウジくんちょう頭いい事言ってんじゃ〜ん。

だろ? オレさあ、客観的にものごと考えるタイプなのよ。

すごー!あたしそんな事全然思いつかないもん。

はろうぃん・イベント中のガールズ・バーのカウンターに座る銀魂2のコスプレをしたユウジは、電子タバコのスイッチを入れると、得意げに煙を吸いこんだ。

はろうぃん・イベント中のガールズ・バーのカウンターの内側でユウジの話を関心する素振りで聞いているマレフィセント2のコスプレをしたメグミは内心こう思っていた。

可哀想に、この人なにも知らないんだわ。

人類の放出する感情エネルギー、通称エモ・エネによって地球は爆発を免れているのよ。

エンターテインメントはこの人類の放出する感情エネルギー、通称エモ・エネを収穫する為の最も重要なファクター?なの。

この人類から収穫したエモ・エネがこの星の重力とか引力って呼ばれる力として働いているの。

この星がもともと持っていた重力とか引力って呼ばれる力は100年ほど前に滅びていて、本当は100年前に地球は爆発して消滅していたはずなの。

でも、人類の偉い人達と宇宙人が相談をして、いまのエモ・エネ・プロジェクト、通称E・E・Pを開始して地球が爆発しないようにつなぎとめてるってわけ。

この前一人で来た政治家のお客さんがあたしだけに内緒で教えてくれたの。

 

 

 

今日のニュース

世界で最もメロドラマな馬。人間が乗ろうとするとドラマチックに死んだふり

ぴくりとも表情が変わらない オズと魔法使いの仮装をしたワンコのなんとも言えないシブい表情

路上でひとりぼっちで炊き出しを食べる5歳の男の子。アイルランドのホームレス事情が浮き彫りに

なぜ宇宙人は見つからないのか?なぜなら極小マシンに乗っているからと説く天文物理学者

ウルカは休食

みんなで指をさして奇声をあげる

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こんばんはウルカ。

 

幼稚園に通っている。

お家の前で幼稚園バスに乗る。

ママにバイバイと手をふる。

午前中は踊りをおどって大きな柔らかい積み木で遊んでご飯を食べると昼寝をする。

目がさめると黄色い帽子をかぶって幼稚園の周りをせんせいと探検する。

どんぐりをひろう。

緑色の電車が遠くで走っているのが見えるとみんなで指をさして奇声をあげる。

それから幼稚園に戻ると幼稚園バスに乗ってお家へ帰る。

幼稚園バスがお家の前に着くとママが待っていておかえりパパとチューをしてくるので少しいやがったふりをする。

週休二日で夏休み制度あり。

月給四十二万五千円。

賞与は年に二度支給される。

ねんちょうさんになると月給が三万円ベースアップする。

今46歳なのでねんちょうさんになるまであと15年ほどある。

 

 

 

今日のニュース

フィンランド馬術大会、馬糞で必要電力をすべて供給

ラクションより大きな声 世界一うるさい鳥「スズドリ」

ついに嗅覚までも!分子構造を解析してニオイを嗅ぎ分けてしまう人工知能(AI)をGoogleが開発

殺し屋が殺し屋を雇い…5次下請けの殺し屋の凡ミスで警察にチクられ全員逮捕

ウルカは休食

しゃがみ頬づえサラリーマン

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こんにちはウルカ。

 

俺の通う会社の近所に、非常に小さなカウンター席だけのカレー屋がある。

席と席の間は相当狭く、気を抜くと隣に座る者に触れてしまう。

座席は固定式で、自分の好きなポジションで座る事もままならない。

更に、そのカレー屋がお待たせいたしましたと出すカレー皿は異常にデカい。

狭いカウンターに対して暴力的にデカい皿。

隣に座る者のカレー皿と干渉してしまうので、自分に対して真っ直ぐにカレー皿を置けず、おかしな体勢で食べることになる。

それでも、俺はこのカレー屋の常連である。

旨いからね。

カツカレーをおかしな体勢で食べていると、今朝も見かけたしゃがみ頬ずえサラリーマンの事を思い出す。

 

ここ毎朝、決まった場所、時間に、不自然にしゃがんだ状態、相撲でいうところの取組直前で力士同士が見合っているような格好で、両手で頬づえをつき、目を閉じてじっとしている男がいる。

身なりは小綺麗であり、普通のサラリーマンのようだ。

出勤前の瞑想か、精神統一の類だろうか。

それとも、何かとてつもないものから世界を守っているのだろうか。

しゃがみこんで頬づえをつき、目を閉じている場所は駅の改札口を出てすぐの広間中央付近であり、朝の通勤時間の人々の流れを両断している。

流れる人々は毎朝の事なのでとくに気にとめる様子もない。

人に限らず生き物は、可能な限り自分が心地のよい状況を目指して生きる。

陽に当たりたければ日向にでるし、雨に濡れたくなければ軒下にはいる。

嫌な事を我慢してやるのは、我慢した先に至福が手にはいる、または、我慢しなかった場合に陥る状況の方がもっと嫌な事なのだろう。

 

俺は旨いカレーを不快な環境で食べ終えると、何となく駅へ向かった。

改札口前の広間には、13時を過ぎた今も、変わらぬ場所、格好で、しゃがみ頬づえサラリーマンはいた。

目を閉じてじっとしている彼は、なんだか心地よさそうにみえる。

俺は、打ち合わせに遅れそうだったが、それよりも自分はあのしゃがみ頬づえサラリーマンをみたかったのだな。同じように、あの男はなによりもあそこでしゃがんで頬づえをつきたかったのだなと思った。

 

 

今日のニュース

仏高齢女性の台所にあったルネサンス絵画、29億円で落札 予想の4倍
 スターバックス、「6日間限定」発売のフラペチーノの見た目がグロテスクすぎる

ウルカはデュビアを11匹

マイルドな全否定にはシャープな握手を

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こんにちはウルカ。

 

ベスパに乗った青年が、荷台に海を乗せて信号待ちをしている。

「鮮海」と勘亭流フォントで書かれた荷台の海では、ザトウクジラがジャンプをして、海面に盛大な飛沫をあげる。

隣に並んで信号待ちをしていた軽トラックでシベリア大陸を運んでいるおっちゃんが、ハザードを点滅させると軽トラックを降りてベスパの青年に何やら話かける。

ベスパの青年は人差し指と親指でマルを作ってOKのジェスチャーをする。

軽トラックのおっちゃんは手を叩いて喜ぶと、服を脱ぎ、パンツ一丁になる。

それからシベリア大陸を積んだ軽トラックをえいやと左足で踏み潰して紅生姜色のサーフボードにかえると、小脇に抱えてベスパの荷台の鮮海に飛び込んだ。

信号が緑に変わる。

ベスパが発進する。

「鮮海」と勘亭流フォントで書かれた荷台の海では

ビッグウェ〜ブに乗る元軽トラック乗りのおっちゃんがキラキラと海面で紅生姜色のイルカに姿をかえるのが見える。

最後にクライアント企業のロゴが大きくオーバーラップする。

映像が終わる。

 

平山さん、いいっすね〜!

これでいきましょう!

ああ、でも強いて言えば、シベリア大陸を踏み潰すところ、もう少しマイルドな表現になっちゃったりします?

あと、全体的になにが言いたいのかさっぱりわからない感じなので、その辺りもう少しシャープになったりします??

まあ、強いて言えばですけど〜。

OK、OK、大丈夫っす、次回手直ししたものをおみせできるかと思います!

俺は人差し指と親指でマルを作ってOKのジェスチャーをする。

よろしくおねがいします〜

こちらこそ、よろしくおねがいします。

クライアントと俺は笑顔でシャープに握手を交わした。

 

 

今日のニュース

十代の頃の性格や過ごし方と将来的な認知症のリスクに関連性があるという研究結果

古代ギリシャの沈没船から見つかった紀元前87年の精工なマシン「アンティキティラ島の機械」

ウルカはデュビアを3匹

屋上の鳥獣店

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こんばんはウルカ。

 

デパートの屋上に寂れた遊園場があって、その隅にひっそりと鳥獣店がある。

私は妻と子を遊園場に放つと、以前から気になっていたその鳥獣店へ一人で向かった。

私は鳥獣が好きだ。

鳥獣たちと気儘に人生を過ごしたい。

自然豊かな土地に住み、小さな畑をやって、庭の先にある小川で釣りをする。

朝陽が昇る頃には野生の鳥獣たちに余らせた穀物や魚の肉をやり、薪を焼いた熱で冬を過ごし、いつか寿命が尽きるときには鳥獣葬で旅立つ。

鳥獣店や鳥獣園で鳥獣たちを眺めながらこんな空想をするとき、私は心から幸福な気持ちになる。

現実といえば、妻の鳥獣嫌い、息子のアレルギー、ペット禁止の分譲マンション35年ローンという、私の望みとはかけ離れた暮らしをしている。

明日からまたスーツに革靴の日々がはじまる。

私の人生は、本当に私が決めたものなのだろうか。

 

鳥獣店の扉を開けると、粉末のような獣臭が私を迎えてくれた。

広いとは言えない店内には沢山の篭や檻がつまれている。

店主の姿はなく、カウンターにボール紙で作った「代金はこちらへお入れください」とマジックで書かれた完精度の低い歪んだ箱が置いてある。

田舎町を訪れると無人野菜販売所を見かける事があるが、こんな都心のデパートで、まして無人鳥獣販売所など見た事も聞いた事もない。

おかしく感じながらも鳥獣達を見学することにする。

珍しいインコやオウム、キンカジューや南国の猿など、高額な鳥獣が並ぶ。

売買するには書類の申請が必要なものも少なくない。

これが無人販売で成り立つとは思えない。

ふと足下の隅に置かれた小さな檻に「化物 性別無し 産地不明 3万5千圓と書かれた札がついているのを見つけた。

化物?

私は屈んで這いつくばるような格好で、小さな檻を覗く。

小さな檻の中には床材も止まり木もなく、水入れがポツンとあるだけだ。

何もいない…

いや、いる。

小さな檻の天板に獅噛ついている。

狐と魚の中間のような顔に、鳥のような羽根ではなく、ウサギのようなやわらかい毛の生えた翼、手足は猿に近く、指や爪の形は人間のようだが、指の数が異常に多く、片手に10本以上の指があるように見える。

ほのかに発光しているように見える深いグリーンの目玉は3つあり、所々ゴールドに反射しながらこちらを見ている。

私はスマートフォンを取り出し、化物、化物ペット、化物飼育、化物価格ドットコムなどと検索をしてみるが、ヒットするのは妖怪や怪物の記事ばかりだった。

ひとめ見たときから、すっかりとこの化物に魅了されてしまった私は、如何してもこの化物を連れて帰りたいという気持ちを抑えられなくなっていた。

3万5千円であれば、家族に内緒で用意出来ない金額ではない。

問題は、餌など飼育法の情報が無いことは勿論、家族や近所に分からないように飼えるのだろうかということだ。

騒いだり、異臭がしたりしないのだろうか。

私の小さな書斎の机の引き出しでこっそり飼うことはできないだろうか…

私は床に這いつくばるように化物の小さな檻を夢中でみていたので、すぐ隣に汚れた白いスニーカーを履いた人物が立っているのに気が付いたときには声をあげるほど驚いた。いや、実際に声をあげた。

見上げると小学生くらいの背格好、白い肌と髪、ブルーグレーの目をした男が私を見下ろしていた。

肌の質感から、老人のようにみえる。

す、すみません。

私は意味もなく謝り、立ち上がった。

「これは良い化物だ、おぉヤスイ、安いねぇ」

小学生くらいの背格好の老人は化物の檻を覗くと、おかしなイントネーションで言った。

店の人間ではなさそうだ。

「この獣にお詳しいのですか?私は初めて見たのですが、なんとも魅了されてしまって、どのように飼育するのでしょうか、もしご存知であれば教えていた…」

「あなた、これ、かうの? かうのカンタン、あなたの腹に入れるだけ」

小学生くらいの背格好の老人は、私の言葉を遮るように言うと、シャツをまくりあげ、自分の腹をみせた。

私は息を呑んだ。

小学生くらいの背格好の老人の腹からは、先ほど小さな檻で見た化物とよく似た獣の頭がはえていた。

チロチロと舌を出したかと思うと、腹の肉の中に潜っていった。

それから今度は後ろ向きに頭と柔らかい毛の生えた翼を小学生くらいの背格好の老人の腹の肉を突き破って露出させると、バサバサと翼を動かす。

すると驚く事に、小学生くらいの背格好の老人の身体が僅かに浮いた。

鳥獣店内を滑るように浮いたまま移動してみせる。

SF映像のような光景に私は啞然とした。

「イタクナイ、きもちいい」

小学生くらいの背格好の老人はそう言い残すと、僅かに浮遊しながら店を出ていった。

 

ポケットのスマートフォンのバイブレーションがメールの着信を知らせる。

スマートフォンの画面を見なくてもメールの内容はわかっている。

妻からの、「どこ?」

だろう。

私は溜息をつくと、最後にもう一度だけと、化物の小さな檻を這いつくばるような格好で覗いた。

化物の深いグリーンの目に小さく私が映っているのがみえる。

明日からまたスーツに革靴の毎日がはじまる。

私の人生は、本当に私が決めたものなのだろうか。

 

 

ちょっとぉ、どこいってたのよぉ、この子グズって大変だったんだから!

あれ? あなた、なんかお腹出てきたんじゃない?!

嫌だぁ〜顔がイマイチなんだから、せめてスタイルくらいはシュッとしていてよぉ、もぉ!

あ、ああ、ごめんごめん、ジョギングでもはじめてみようかな。

私は、優しく自分の腹を撫でた。

 

 

 

今日のニュース

絶対知っていることなのに思い出せないもどかしいさ。脳の不思議な現象「プレスクヴュ」の正体

脳波スキャンで理想の自分の姿を探り出す。その姿を本当の自分と比較するアートプロジェクト

背の高い人は、背の低い人と比べて速い時間の流れを生きているという説

ベルギーのレストラン、トイレからリサイクルされた飲料水を提供。高度な5段階の浄化システムを採用水たまりを猛スピードで通過して歩行者に水しぶきをぶっかける、迷惑運転手に罰金刑

頭の外側から脳を操作する。DARPAが支援する「ブレイン・コンピュータ・インタフェース」の開発が進行中

ウルカは休食(土曜の肉の日をやめてみる)

リルサとサロサ

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こんにちはウルカ。

 

臓物を透かせたレントゲン写真のような夜の空だよ。

あのビルやあのビルの灯りがもっと強ければ、臓物のかたちがはっきりと見えるのに。

箱型の段ボールから頭を出したリルサは、隣の明後日の方向を向いているサロサに説明した。

サロサは1週間前に盲目になった。

今はこれまで見てきたものの記憶とリルサの説明を合成して、像を網膜に映している。

人間は、ものを本来の用途とは違う使い方をすることがあるそうだ。

例えば錆びた釘を料理に使ったり、CDケースを蚊取り携帯線香入れとしたり、ゴキジェットの缶で直接ゴキブリを叩いたり、プリンに醤油をかけたり、肩甲骨と肩甲骨の間に五平餅を挟んだり。

 

一週間前、

サロサは目を映写機として使う事を選んだ。

サロサの目は光を取り込んで像を見る事は出来ないけれど、光を放って像を映し出す事ができる。

サロサの心の中の空想や感情が像となって、箱型のダンボールの内側に映し出される。

その光は弱くて、とても小さく映す事しか出来なかったけれど、サロサはそれで十分だった。

リルサがそれを観ることができればそれでよかったから。

 

リルサはサロサが箱型のダンボールの内側に投影した像を観ている。

リルサの目に映った臓物を透かせたレントゲン写真のような今夜の空とは全く違う像だった。

自分にとって本当の空は箱型のダンボールの内側にある。

リルサはそう思った。

リルサは一週間前に聾唖になった。

今はこれまで聴いてきたものの記憶とサロサの投影する像を合成して、鼓膜を振動させている。

一週間前、

リルサは耳をスピーカーにすることを選んだ。

リルサの耳は音を取り込んで聴くことはできないけれど、耳から高周波を放って、見たものや感じたことを伝えることができる。

その高周波は弱くて、とても近くにしか届かなかったけれど、リルサはそれで十分だった。

サロサにそれが届けばよかったから。

 

三週間前、

リルサとサロサは声帯を失った。

鳴き声がうるさいから、此処には住めないよと大家さんに言われたから。

二週間前、

リルサとサロサは家を失った。

抜け毛が汚いし、臭いがひどいから、此処には住めないよと大家さんに言われたから。

だけれど、リルサとサロサはそれで十分だった。

 

 

 

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ウルカはデュビアを二匹

保湿ダンディ (Oh yeah yeah yeah)

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こんにちはウルカ。

 

わたしは保湿の鬼なの

乾燥だけはマジかんべん

保湿ローション、保湿クリーム、保湿入浴剤、保湿ソープ、保湿ミラー、保湿マンション、保湿スマホ、保湿彼氏、保湿両親、保湿煎餅、保湿祖父、保湿ラサアプソ、保湿自転車、保湿ブランドバッグ、保湿suica、保湿ハイヒール、保湿アンブレラ

保湿には1ミリの余念もない

今日は保湿彼氏と電車に乗って、保湿アジアンカレーフェスティバルで保湿ランチして、保湿ミサンガ即売会、そのあと保湿ボルダリング教室

夜は、葛飾区・フリー・スタイル・保湿バトルに参戦するの

 

公共電車の空調って本当にイヤ

政府は何を考えているのかしら、こんなに乾燥させてしまっては人々が干からびてしまうじゃないの

わたしは携帯加湿器を顔面に近づけると、保湿彼氏のタップリと保湿された手を握る。

勘違いしている人が多いようだけど、保湿って水分だけじゃないのよ、むしろ大切なのは油分と脂分

この携帯加湿器はね、水分だけじゃなくて油分と脂分を絶妙のバランスで噴出するの

わかる?ねえ、聞いてる?

保湿彼氏が、ヌルヌルに保湿された笑顔で優しく頷く

 

おい、ババア!

その濃厚・背脂とんこつラーメンの湯気みたいなの撒き散らすのやめろよ!

くっせぇな!

突如わたしの後ろに立っていた乾燥男がわたしにむかって怒号した

かわいそうに、心までカサカサのようね

わたしは少しでも乾燥男が保湿されるように、携帯加湿器のパワーを8段階中の8にして、乾燥男のほうに然りげなく向けてあげた

然りげない保湿・愛である

わたしは無償の保湿・愛を貧しい人々に分け与えることで、わたしの心はさらに保湿される

あら、でもこれじゃあ、わたしは心の保湿をゲットしちゃってるから、無償ではないのかしら...

おい!くっせぇつってんだろ!ああぁ!?

あらあら、これじゃあ乾燥男どころか乾燥チンピラね

保湿彼氏がわたしと乾燥チンピラの間に割ってはいる

わたしを乾燥から守るために

ウフフ、なんて保湿なのかしら

 

I wish… 

 

なんだよぉ!?ああん?このヌルヌル野郎!やんのかぁ?!コラァ!

乾燥チンピラが腕まくりをして威嚇している

ああ、なんて乾燥した腕なの...みすぼらしい...

保湿彼氏が保湿上着を脱ぐ

完膚無きまでに保湿された保湿彼氏のヌチヌチの保湿上半身が露わになる

それから、保湿彼氏は、荒ぶる乾燥チンピラを抱きしめた、包み込むやうに

お、お、ぉ、おい!やめろ!この!ああああぁ...

みるみるうちに乾燥チンピラは保湿されて、とっても素敵な保湿ダンディと成った

乾燥チンピラに保湿を吸われた保湿彼氏は、すっかり乾燥してしまい、乾燥彼氏と成り果ててしまった

 

Wow- WowWow- WowWow tonight
Wow- WowWow- WowWow forever  

 

あの瑞々しい保湿胸イタは見る影もない

わたしは少し寂しい気持ちになったけど、乾燥彼氏にお別れを告げた

乾燥彼氏はカサカサに乾燥した笑顔で優しく頷いた

(good-bye my heart)

わたしは保湿の鬼なの

乾燥だけはマジかんべん

むしろ大切なのは油分と脂分

えっ?保湿ダンディとはどうなったかって?

わたし、そんな簡単な女じゃないの

 

I wish… 

 

乾燥電車が乾燥駅に着いた

わたしは保湿アンブレラを広げる

風が、恐ろしく乾いている

乾燥季節がそこまでやってきているの

わたしは徒歩8分の保湿街を目指すわ

 

わたしは保湿の鬼なの (Oh yeah yeah yeah)

乾燥だけはマジかんべん (Oh yeah yeah yeah)

むしろ大切なのは油分と脂分(good-bye my heart)

保湿ローション、保湿クリーム、保湿入浴剤、保湿ソープ、保湿ミラー、保湿マンション、保湿スマホ、保湿彼氏、保湿両親、保湿煎餅、保湿祖父、保湿ラサアプソ、保湿自転車、保湿ブランドバッグ、保湿suica、保湿ハイヒール、保湿アンブレラ

保湿には1ミリの余念もない

えっ?保湿ダンディとはどうなったかって?

わたし、そんな簡単な女じゃないの

 

Wow- WowWow- WowWow tonight
Wow- WowWow- WowWow forever  

Wow- WowWow- WowWow tonight
Wow- WowWow- WowWow forever  

 

わたしは保湿アンブレラを広げる

わたしを乾燥から守るために

ウフフ、なんて保湿なのかしら

風が、恐ろしく乾いている

乾燥季節がそこまでやってきているの (Oh yeah yeah yeah)

わたしは徒歩8分の保湿街を目指すわ (Oh yeah yeah yeah)

カサカサに乾燥した笑顔で優しく頷いた

包み込むやうに

 

Wow- WowWow- WowWow tonight
Wow- WowWow- WowWow forever   ....

 

 

ピッ。

俺はヘッドフォンをクリックして再生を止める。

IDをかざしてロックを解除する。

ドアを開ける。

職場は相変わらず乾燥気味だ。

暖気な乾燥仲間たちがアホ面で仕事をしている。

加湿器のスイッチを入れる。 (Oh yeah yeah yeah)

さあ、働くかな。

 

 

 

 

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ウルカは休食

凍えそうにしているつまさき

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こんばんはウルカ。

 

 

部屋の隅に座っている。

白い部屋で、僕の周りには文字ばかりが敷き詰められている。

文字は当たり前のように真っ黒。

白い部屋にあいた意味を持つ穴。

こんなことなら、ソックスを履いて来るべきだったな。

僕は「凍えそうにしているつまさき」という文字を見てそんなことを思った。

つまさきは本当に本当に凍えそうで、それは見ているだけで腹立たしく不甲斐ない気持ちになった。

メリーゴーランドを思わせる、「メリーゴーランド」という文字は、真っ黒なのにとても煌びやかで、ぐいぐいと恐ろしいスピードで廻る。

僕は「メリーゴーランド」に乗っているはずの子供たちのことが心配になったけれど、僕の想像する子供たちはどれも塑像だったので、スピードも遠心力もちっとも気にしていない様子だった。

僕が想像したり感じたりすることは僕の中、あるいは別の所で文字に変換され、別の部屋に書き込まれる仕組みだと聞いた。

聞いたと表現してしまったけれど、実際はこの部屋に次々と書き込まれては染みるように消えていく文字を読んだにすぎない。

僕のいるこの部屋の文字は、誰が、想像したり感じたりしたことなのだろう。

僕が想像したり感じたりしたことはうまく文字に変換されているのだろうか。

何処かの白い部屋で染みるように敷き詰められては染みるように消えているのだろうか。

「暴音」という文字が膝を抱えて座っている僕の下に落とし穴のように広がって、それを見てしまった僕はフラミンゴを連想した。

おびただしい数のピンク色のフラミンゴが長い片足で水面を一斉に叩く。

水面は銅色のシンバルで出来ているから、もの凄い音になるだろう。

僕は急いで両手で両耳を塞いだけれど、僕の両手は銅色のシンバルでできていたから、おびただしい数のピンク色のフラミンゴが長い片足で銅色のシンバルでできた水面を一斉に叩く音は僕の銅色のシンバルでできた両手と僕の銅色のシンバルでできた両耳がぶつかる音にかき消された。

 

 

「る風呂につかるおくるくる」

「ように飛ぶ季節外れして妻の蟆子をさして狂ってい」

「本当だ」

水銀燈が気色の風くように飛ぶ呂浸か」

「所のャワーば両手と両ピードも遠心耳が土グリーンねきっと」

 「凍えそうにしているつま凍えそうにし」

 「音は僕のむーい!ねえ、銅、本当に本当に」

 

なんだ、近所の土手じゃないか。

水銀燈が気色の悪いグリーンの光で闇を払っている。

ほら、頭がおかしい虫だよ。

僕らの目の前をくるくると円を描くように飛ぶ季節外れの蟆子をさして妻が言った。

虫にも頭がおかしいのとそうでないのがいるのかな...

本当だ、狂っているねきっと、あんな飛び方おかしいもの。

僕は自分の両手と両耳が銅色のシンバルでできていることを妻に悟られないように笑った。

さむーい!ねえ、今日お風呂浸かる?しばらくシャワーばかりだったでしょ?

うん、そうだね。

そうしようか。

それでさぁ、太田さんの旦那さんなんだけどさぁ、ニンジンが苦手らしくてさぁ...

 

こんなことなら、ソックスを履いて来るべきだったな。

 

 

 

 

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ウルカは休食

子供に戻れる製薬の開発を待っているところです

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おはようウルカ。

 

今日は祝日だというのに新しいクライアントと打ち合わせがある。

キレイなシャツときれいなパンツ、綺麗なクツをはいて、ちょっと良い腕時計をつける。

それから、クソボロボロのバブアーを着たら、けっきょく浮浪者のようなルックスとなった。

まあ、つまるところ俺は俺だなと鏡を見て思う。

一応髭を剃って、笑顔の練習をする。

今日はYEBISUはやめておこう。

駅前でモルツを買う。

予報外に晴れた空の青が押しつけがましい気がするが、意識過剰なのだろうか。

 

ここのところ、このブログについてメッセージをいただくことが多くなった。

ありがたいこってす。

ありがとうございます。

コメント欄やブックマークとは違って、匿名で送れるメッセージは気軽なのかもしれない。

宛先がある方には極力返信しているつもりではありますが、見落としや、送信エラーなどもあるかもしれません...

今朝、メッセージをチェック・イット・アウトしていると、匿名でいくつかの単発質問があったので、こちらでおこたえします。

 

・タンバリンこんばんハッシュドポテト

 こんばんは。

 

・どのくらいイケメンですか?

 人類が予想だにしないほどにです。

 

・何才ですか?

 28歳です。

 

・男ですか?

 現状、心身ともに男性のようです。漢かと問われれば、まだまだだと思います。

 

・毎日奇抜な作品をアップされていますが、その発想はどこから生まれるのですか?

 奇抜ですかね?大体、筋トレの最中です、主に懸垂を好んでいます。

 「どこでもマッチョ」という商品を検索してみてください。

 

・ウルカちゃんは食欲ないのですか?

 最近まとめ食いをするようになってきました。

 飼育下のオオトカゲは大人になるにつれ、週一度程度の給餌にしていくようです。

 とはいえ、まだ仔オオトカゲなので少し心配しているところです。

 

・ゾウガメって、動物園にいるやつですか?個人で飼えるんですか?

 大きくなったらどうするのですか?

 そうです。よく餌やり体験の標的となっているあれです。

 現在、個人で飼うために許可や資格は要らないようです。

 大きくなったら背に乗せてもらえるように、ダイエット、または子供に戻れる製薬の開発を待っているところです。

 

他にも個性的なメッセージをいただいておりましたが、過激であるため、掲載はやめておきます。

でも、俺はそういうの、好きですよ。

 

 

 

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