はじめたらはじまりさ

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おはようウルカ。

 

俺はね、昨日も言ったかもしれないが新しい電気シェーバーを注文したのだよ。

8年ぶりの購入なので物持は良い方だろう。

といっても無精髭で過ごす事が多かったので大して使っちゃあいなかったのかもな。

髪も10年間くらい長々しいドレッド頭で、神様にでもなったつもりで音楽なんてやってたもんだから、髭剃りもネクタイも無縁だった。

アンダーグラウンドではぼちぼちでアメリカ大陸で貧乏ツアーなんかしたりしていたよ。

カートコバーンみたくオーバーグラウンドで戦って死ぬ勇気も実力もなかったから、深化だなんて都合の良い逃げ道を見つけてアンダーグラウンドのさらにまたそのアンダーグラウンドへ潜った。

そうしたらレーベルや仲間どころか、自分すら見失ったのでバッサリだよ。

音楽も髪も。

今はビジュアル制作で食っている。

髪も切ったしシェーバーをあてる事も増えたので幾分小綺麗になったかな。なったような気がします。

聴くものから観るものに制作表現が移ったけど、本質はかわっていないと思う。

商用的なものに対しては随分寛大に受け止められるようになった。

業界でもまあまあの位置にきたぜ。

安定していると言っても良いだろう。

でもね、そろそろ違う事がしたいな。

今度は人が手にとって長く愛用出来るような、何かしらの物体づくりに興味がある。

成果物はアナログがいい。

デジタルでは経年変化を楽しむ事が難しいからね。

クリエイティブからは足を洗えそうにないな。

自分の才能を疑うことなんてしょっちゅうだけど、自分の力は把握できているし、鍛え方も学んだ。

はじめたらはじまりさと嗄れ声が歌っている。

ウルカ、今日もよく晴れたな。

 

 

今日のニュース

「子犬だと思ってました」子グマをマンションの一室で飼育していた歌手の女性が逮捕される

ウルカはデュビアを11匹

創作ダンスも生醤油は

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おはようウルカ。

 

あぶらだこが程よいグルーヴでくるくると回転している。

物事を順序立てて考えるのは間違いではないし、感覚的な所を説明として表現するのも悪い事ではない。

ただそれを理路整然こそ正義ですと手を腰にあてて胸をはり、いえいえ、あくまで僕の主張は狭量的なもので、他の方の意見もリスペクトします。物事は多角的に思考しないといけませんからなどと体に良いお茶を持ち歩くような奴は気色が悪い。

先ず、その体に良いお茶をキッコーマンの本生醤油たまり刺身用にかえろ。

それから街に落ちているゴミや汚物を拾ってはスマホにアプリとしてインストールし、毎日交互にピンチイン、ピンチアウトを繰り返せ。

それの有意義なポイントを多角的な視点で創作ダンスにこめて経営会議で真上に発砲しろ。

その銃弾は北のスラムのゲットーに、そしてパルミラドゥーマーへ届くのか?

その程度の飛距離で届くわけねえだろ。

縦しんば間接的に届く事を祈るような綺麗事で正当化するつもりであれば、アスパラガスで浮きもしない筏を作っている方がお前の言う建設的で生産的な生活態度だろうよ。

それは俺が新しいシェーバーを注文するのと同等、またはそれ以下の優位性だ。

50代半ばの中間管理職にとっては色違いのポケットモンスターをゲットする事の方がよほど喜ばしい事でゲットーもドゥーマーも海の向こうのあの山の霞のそのまた先の先なんだよ。

経営陣はそれを見越して操作する。

創作ダンスも電気シェーバーもポケットモンスターも御見通しだ。

何せ自分が引退するまでのあと数年間を安全に過ごす事が出来ればそれで良いからな。

日焼け止めクリームと間違えて歯磨き粉を顔に塗りたくって、洗顔クリームだったらまだ良かったのにと中途半端な反省をするくらいなら、日焼け止めクリームで歯を磨いた者の憂いを知れ。

上を向いて歩けば泪は溢れないかもしれないが、お前のその足元に這い蹲っている泪などとうに枯れ果てた大切だったはずの人達を盲目的に踏み躙り、そしてそれに躓いて自身も崩れ落ちることになるぜ。

だからまずはその体に良いお茶を生醤油にかえて、しょっぱさを噛みめようぜ。

 

 

今日のニュース

両生類の天気予報、的中率はイモリがカエル圧倒

外装やシャーシ全てが3Dプリントで作られたスポーツカー

ウルカはデュビアを1匹

仮想を可視化したところでエスカレーターの行方は

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おはようウルカ。

 

日曜日は道が空いていて良いね。

昨日から続く雨は今日も一日中降るつもりだと思っていたが、スパッと止みやがった。

かわりに青い空から強い陽光が降っている。

 

俺はランドクルーザーを西に走らせている。

西の空には黒い雨雲が広がっている。

晴天の街から黒い雨雲が空を覆う街へ突っ込むのか。

四輪駆動にはぴったりのドラマチックな展開じゃねえか。

言ってるそばからデカイ雨粒が落ちてきやがった。

ワイパーのスウィッチを入れる。

カーステレオではトムヨークが声を荒げている。

ショートカットをするため舗装されていない道へとハンドルを切る。

四輪駆動に切り換える。

4つのタイヤが別々の生き物のように悪路に喰いつく。

途中、橋のない川を二つ渡り、荒れた岩の丘をデフロックで切り抜けた。

職場の駐車場にランドクルーザーを停める。

俺はVR用ヘッドマウントディスプレイを外す。

映画館を出た時のような、現実へ引き戻される感覚に眼を細める。

今日は曇りか。

クルマのセキュリティーをオンにすると、足が浮くような居心地の悪さを引きずりながら職場がある建物へと向かう。

 

自動運転化。

それでも運転したくてウズウズしちゃうような奴用に、VR、AR技術を使ったリアルなバーチャル運転が楽めます。

なんてメーカーオプションが販売されるのかね。

クソだな。

まあ、とにかく仕事をやっつけてくるぜ。

 

 

今日のニュース

イタリアの映画監督、フランコ・ゼフィレッリ氏死去

リーダーなき反政府デモの「勝利」 テレグラム利用で情報共有

ウルカは休食

オレが親父

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おはようウルカ。

 

うちの坊主は近所の小学校に通う4年生。

ちっちゃな頃は体が本当に弱くて、すぐに風邪をひいた。

あの頃オレの稼ぎは最悪で、ろくなもの食わせてなかったからな。

悪かったと思っている。

 

オレも貧乏な農家で育った。

体が小さくてガリガリに痩せた子供だった。

せめて坊主には健康な生活をさせてやりたい。

子供の体を鍛えるには成長を妨げるような筋肉がつかず、全身運動で心肺機能を鍛える水泳が良いと同僚から聞いたオレは、坊主が小学校にあがるタイミングでスイミングスクールに放り込んだ。

その頃にはオレの稼ぎも少しはマシになっていたしな。

坊主は才能を発揮した。

市内や県内の水泳大会で優勝してくるようになった。

体も丈夫になり、精神的にも強い男になったようにみえた。

オレは嬉しくて、大会や練習を観にいくのが生活の楽しみになった。

ケンカが強くなりたいと言ったので学生時代にかじった日本拳法を教えると、でっかい上級生に勝ったと鼻血をだして帰ってきた。やったな坊主と背中をたたくと、本当は怖かったとワンワン泣いたのが可愛かったな。

 

それから随分時間が過ぎたよ。

もう、昭和も平成もおわっちまって、来年は2020年だとさ。

オレも64になる。

田舎に平屋の家を買った。

3つ年上のかみさんとゆっくり暮らすんだ。

坊主は相変わらず好き勝手に生きているようだ。

最近は馬鹿でかいトカゲを飼っているらしい。

誰に似たのか変なやつだよ。

まあ、健康ならそれで良いや。

なあ坊主、父親ってのもなかなか良いもんだぜ。

 

 

今日のニュース

6秒で時速160キロに加速、ホンダの芝刈り機が世界最速認定

「寝落ち」は太る。アメリカの論文が発表

ウルカはデュビアを3匹、鶏キモを15切れ

 

今週のお題「おとうさん」

ウリュッスとヨサヨサ

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こんにちはウルカ。

 

早朝の公園で砲丸投げの練習をする老人は腰を保護する為の太いベルトを巻き、自転車に乗ってやってきた。

大袈裟にきき耳をたてるような姿勢からウリュッスと独特の掛け声で砲丸を天に押し上げるように投げる。

砲丸は数メートル先の砂場にドサリと落ちる。

ヨサヨサと砂場に砲丸を取りに行くとまた同じ位置に戻り、ウリュッスとやる。

年齢的に選手という事は無いだろう。

健康の為の運動にしては随分偏っている。

汗でTシャツの色が所々濃くなっている。

鉄の玉が手から離れる度に首から汗が飛ぶ。

段々と投げる間隔が狭まり、老人は熱の塊のように膨張をはじめる。

俺は少し離れたベンチに座って老人をみている。

無心にウリュッスとヨサヨサを繰り返す老人は、同じ動作を異常なまでに繰り返す事で何かに変身しようとしているのではないだろうか。

人間に潜在する力を引き出す暗号はこの世界に溢れていて、それはきっと本当に些細で自然で当たり前の事なのだけど、現代の人間にとっては無意味で異常で歪なかたちをしているから、誰も発想しない。

老人はそれを知っている。

 

俺はスマートフォンを取り出し、砲丸投げの歴史と、同じ作業を繰り返す事で発生する恍惚感について調べている。

ぐるぐるといくつかのウェブサイトをループする。

そして思い出したようにスマートフォンの画面から顔をあげる。

老人も鉄の玉も自転車もいつのまにかいなくなっていた。

俺はヨサヨサと家に帰る。

何処かで赤黒い大竜が轟々と炎を吐きながら空をはばたく音がした。

 

 

今日のニュース

ウガンダ、2人目のエボラ患者死亡 コンゴの死者1400人超に

ウルカはデュビアを5匹

リビングデッドがシューティング

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おはようウルカ。

 

撮影ロケに同行している。

朝の太陽の光は街や人を美しくみせる。

集合時間は午前5時。

 

はえーよ。

日の出を朝10時くらいにしてくれないかい、太陽さんよ。

働きかた改革だよ。

 

いつの時代も撮影チームは打ち合わせと称してガンガン酒を飲むタイプの人種が多い。

それが翌朝5時集合であっても御構い無しだ。

皆んな元気だよな。

今回のフォトグラファーは俺と同い年でよく一緒に仕事をする仲だ。

頭が良く、才能がある。

ただ、朝が弱い。

いや、酒を飲み過ぎる。

リビングデッドさながら生気が限りなくゼロに近い状態で待ち合わせ場所に現れた。

アシスタントやコーディネーター達も全員死んでいる。

だからあんなに飲むなって言っただろ。

あれ、平山ちゃん、顔色悪くない?

おめぇに言われたかねーよ。

あはははと2人で笑うと仕事のスイッチを入れた。

一瞬でいい。

晴れて光をばら撒いてくれ。

俺たちはそれを逃さないから。

 

追記

しつこいくらい晴れた 笑

 

 

今日のニュース

死んでしまった子象の死を悼み、亡骸を運びながら移動するゾウの群れの葬列

ウルカは休食

ポチ

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おはようウルカ。

 

フライドチキンを咥えて走っている。

レストラン裏の空色のゴミ箱でみつけた。

背後からは野犬が数頭追ってきている。

縄張りを荒らされた事への怒りなのか、フライドチキンの匂いに興奮しているのか、ときおり唸り声をあげている。

濡れた路面は踏ん張りがきかずスピードが出ない。

背後の野犬との距離が縮まる。

 

ポチ。

私はそう呼ばれている。

犬野郎、負け犬などと罵られる事もある。

今夜の命令はゴミ箱を漁って残飯を咥えたまま街を走って帰って来いというものだった。

 

細い路地を抜け、沢山の人々が行き交う大通りに出ると野犬達は諦めたのか追ってこなくなった。

私は少しだけ走るスピードを緩める。

あれ、え?課長、なにしているんですか?そんな格好で。

突然声をかけられたが構っている暇はない。

今は大切な任務の最中である。

90分というプレイ時間も既に半分が過ぎている。

この日の為に残業だって頑張ってきたのだ。

なによりも女王様をがっかりさせるわけにはいかない。

むき出しの尻のミミズ腫れを夜風が優しく撫でる。

私は鋭く歓喜の声をあげると、再び走るスピードをあげた。

 

 

 

今日のニュース

オートバイに乗っていた男性 アメリカで雷に打たれて死亡

オークランドマジックマッシュルームほか天然の幻覚剤を合法化

ウルカはデュビアを5匹、ササミを15切れ

 

今週のお題「雨の日の楽しみ方」

ルールに拘ると有刺鉄線

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こんにちはウルカ。

 

最近、

自宅の冷蔵庫に酒を常備するのは本当に良くない。

はじめは気をつかっていても、最終的には絶対に際限なく飲むようになる。

また酒のストックが減っていくのが嫌で買い足しがエスカレートする。

飲む、買い足すが競い合うように切磋琢磨し、お互いを高める。

飲む、買い足すが肩を組んで互いの栄誉を讃え合う頃には、土色の肌で記憶も思考も朧げな廃人が部屋で孤独にただ溶けるのを待つばかりとなるだろう。

酒は基本外食で楽しむ。

どうしても部屋で飲む場合には飲み切る分だけを買い、余らせない。

身体も精神も健康となり、無駄な金も使わない。

良い事尽くめだよとすすめてくれた知人の酒ルールを実践している。

 

たまには自分に自分でルールを課せるというのも生活にメリハリが出て面白いものだね。

 

それにしても自分ルールって、拘りに似ているようで非なるものだよな。

拘りを持って生きている人は素敵だと思う。

しかしその拘りがルールと化してしまい、制限という有刺鉄線で自身をぐるぐる巻きにしてしまっているような状態の人もいるね。

あれではやっぱり生きにくそうだ。

 

とにかくハミガキは洗面所の鏡前で歯を見ながらやった方が絶対に綺麗になるし、服や部屋を汚さない。

なのにどうしてもソファに転がりながらハミガキをしてしまう。

きっと俺の有刺鉄線は柔らかいマシュマロで出来ていやがる。

ただし、歯ブラシには拘っているんだよ。

 

 

今日のニュース

ベートーベンの遺髪が競売へ、想定価格は206万円以上

パキスタン行き旅客機にて乗客がトイレだと思い非常口を開けてしまい、脱出スライドが自動的に展開

ウルカはデュビアを6匹

イエローヘッド飼育モニター

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おはようウルカ。

 

薄汚れた壁のような空はところどころが虚ろに白い。

路面に積もった雨水をタイヤがかきわける音の間隔が徐々に短くなる。

朝か。

また雨だな。

お前がうちに来て半年が経った。

身体のサイズは倍以上になり、随分と人に慣れた。

オオトカゲの中では飼育は容易な部類に入るのだろうが、他の動物と比べると色々と約束ごとがあったり、これが正解という飼育方法がいまいち確立されていない。

毎日の様子の変化を慎重に見極めながら世話をしなければならない。

なんだかモグワイ(ポストロックじゃない方)を思い出すね。

 

・ケージ内の温度は28度前後をキープ(体長20〜30センチ程度の幼体なら30度ちょい上をキープが良い)

・バスキングスポットといって部分的に更に温かい場所をケージ内につくる必要があり、これは40度以上が望ましいだろう。ショップの店員はこの種にバスキングスポットは必要ないと豪語していたが、明らかにあった方が調子が良く、食欲も上がる。

・ケージ内の湿度は60%〜70%をキープする。夏は容易だが日本の冬は乾燥するので結構大変。

・水入れは身体全体が浸かっても余裕があるくらいが良い。偶に水飲み用サイズの器にしている飼育者を見かけるが、コガネオオトカゲはよく水に入る。夜は水の中で寝る。朝は40度弱の湯を入れてやると、待ってましたと飛び込んで瞼を閉じて気持ち良さそうにしている。賛否あるが、この毎朝の温浴も調子と食欲を格段に上げる。

・紫外線を放射するライトもあった方が良い。特に日光浴が出来ない冬場などにはUVBライトを日中つけっぱなしにしている。

・餌についてはマウスやウズラなど高栄養、高脂質なものを与えまくる飼育者がいるが、俺は昆虫食メイン、午前中限定で与えている。太ったオオトカゲはひょうきんで可愛らしいが、突然死の報告が多い。

・人に慣れさせる手段だが、ケージは大きすぎないものでシンプルなレイアウト、床材も浅くして隠れる場所を無くす。隠れる場所がないとストレス過多の心配もあるが、不安になると水に潜り込むので問題なさそうだ。ちなみに水入れも透明の物にしている。ケージに手を入れ、向こうから近づいてくるのを待つ。決してこちらから近づいてはいけない。手に乗ってくるようになっても、掴んではいけない、あくまで向こうの自由にさせてやる。根気よく続け、少しずつ慣れさせる。頭が良いので人を覚えると程よい距離感の友達のような関係になる。

感情があるのか否かは現在検証中である。

 

 

今日のニュース

妻に浮気がばれ車の屋根に裸でくくりつけられ市中引き回しされた男性

ウルカは休食

ペッタンくん

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おはようウルカ。

 

雨が降っている。

ペッタンペッタンと歩いている。

ただし雨でも晴れでもペッタンくんはペッタンペッタンと歩いている。

ペッタンくんのビーチサンダルは特別なはんぺんで出来ている。

わー!ペッタンくんだー!

母親と手を繋いだ幼児がペッタンくんに手を振る。

母親は急いでカメラを取り出して写真を撮ろうとするが、何故かボヤけて上手く撮れない。

ペッタンくんは町の人気者である。

ペッタンくんはなかなか見つからない。

雨の日や雨あがりによく見つかるらしい。

ペッタンくんを見つけると幸せになる。

先月ペッタンくんを見たという老夫婦はとても幸せになったそうだ。

 

ペッタンペッタンと歩いている。

ペッタンくんは水筒を持っている。

水筒には薄緑色の水が入っていて、気紛れで草木に薄緑色の水をかける。

とくになにも起こらないが、草木は濡れてキラキラと元気にみえる。

ペッタンくんは特別なはんぺんのビーチサンダルをくれる事がある。

それは本当に珍しい事で町の皆んなが欲しがっている。

ペッタンくんに特別なビーチサンダルを貰った人は海と空の向こうにある楽園にいける。

2年前にビーチサンダルを貰ったおじさんは町からいなくなった。

きっと今頃は楽園でジュースを飲んでいるに違いない。

雨があがった。

ペッタンくんはやっぱりペッタンペッタンと歩いている。

ペッタンくんのビーチサンダルは特別なはんぺんで出来ている。

 

 

小さな頃、家はとても貧乏でテレビも絵本も無かったから、母親はよく即興で作った話をしてくれた。

今でも雨が降ると俺はペッタンくんがいるのではないかと少しだけワクワクする。

 

 

今日のニュース

【珍職業】時給1万円超!依頼者をただ抱きしめてあげる「カドリスト」

ウルカはデュビアを8匹、ササミを10切れ

 

今週のお題「雨の日の楽しみ方」

らしさ感

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こんにちはウルカ。

 

財布を部屋に忘れた。

どこかでジミヘンドリックスが鳴っている。

まあ、良いか。

最近は財布を忘れてきても特に困らなくなった。

スマートフォンだ。

便利になったね。

どうりで500円玉貯金がふえないわけだ。

これで免許証や保険証、パスポートなんかの身分証明もアプリで出来れば最高だね。

 

10年後には財布というものが存在していないかもしれない。

機械式腕時計はアクセサリーとして生き残りそうだ。

紙の本やフィルムのカメラも、アナログレコードのように、細々と存在していそうだ。

しかし紙幣の嗜好度は一部のコレクターを除いてはゼロに近いだろし、店側も出来れば紙幣を扱いたくないはずだ。

こりゃあ財布屋さん困っちゃうぜ。

よし、財布屋さんが困らないように、財布の次の商品となるものを考えよう。

ラーメンやこん棒などと財布と全く関係のない商品よりも、出来るだけ財布に関係のあるもの、近い存在が良いよな。

近未来、外出時スマホ以外に絶対といってよい程持ち歩くものって何だろう。

それの入れ物こそ、財布の次となる商品に相応しい。

なんだ。

なんだろう。

なんだろうよ。

なんなんだろうよ。

だめだ、思いつかない。

俺と財布屋さんは完全に窮地に追い込まれたぞ。

 

そいういえば、アメリカの知人が米国では男が長財布を持っていると、オカマ野郎、女みたいな奴だとバカにされると言っていたな。

そうか!オカマ感、いや、女性らしさ感、男らしさ感、これが財布の来世の姿だ。

この各々のらしさ感を演出する携帯物、男、女、ジェンダーレス、臆病もの、乱暴もの、セレブ、下着泥棒、ヒーロー、魔法使い、父親、母親、先輩、負け犬、お調子者、マッチョなど、らしさ感を入れるもの、そう、自分らしさ入れこそが財布の未来だ。

もはや中に何かを入れる必要すらない。

この自分らしさ入れ自体が自分らしさを示せば良いのだから。

となると自分らしさ入れではなく、自分らしさ示しだな。

多種多様な素材やデザインが用いられる事だろう。

なかには3メートルを超える大作も生まれるかもしれない。

これは未来が楽しみだ。

よかったな、財布屋さん!

いやいや、お礼なんか良いって。

 

なに、自分らしさ証明アプリだと…

ちょっと急用を思い出したので俺はこれで失礼するよ。

 

今日のニュース

NASA国際宇宙ステーションを民間企業に開放へ 滞在も可能に

2050年に人類は滅亡? 豪のシンクタンクが衝撃的な未来予測を発表

ウルカはデュビアを10匹

指定しているようで指定されている

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おはようウルカ。

 

新幹線に乗っている。

横を向く。

四角と円の中間くらいの形をした窓が今夜の街を上映している。

街の手前は猛スピードで流れ、奥はゆったりとまわりこむように流れる。

窓にうつる自分にピントが合うとなんだか恥ずかしいので、出来るだけ遠くの街の灯に目の焦点をあわせる。

沢山の暮らしがあるな。

そう思う。

夜は車内の照明をもう少しだけ落としてくれるととても雰囲気が良いのに。

 

 

さておき、俺は指定席が嫌いだ。

窓側や通路側、電源、手洗いやゴミ入れに近いなど、望む場所を指定しているようにみせかけて、重要な所は何も指定できない。

 

・隣に座るのは猛烈に太った汗ダク特盛野郎ではないか。

アメリカンがどんちゃん騒ぎでスナック菓子やクッションの羽が宙を飛び交うパーティールームと化していないか。

・エヤコンが中途半端で上着を脱ぐ、着るを30秒毎に繰り返さなければならないどっちつかずな温度になっていないか。

・そもそも静かにできる中国人は存在するのか。

・何処からともなく絶妙な音量でカリカリと気になる音が鳴り続けていないか。

・絶叫シャウト、エモ系の赤ん坊に取り囲まれていないか。

・鼻栓が必要な程の過激な体臭を放つ者はいないか。

(鼻栓は車内ワゴン販売で買えるのか)

・隣席の部下に1時間33分びっちり説教し続ける脂ハゲ上司はいないか。

・泥酔して絡みまくり、挙句に嘔吐しまくる中年の女はいないか。

過半数の席に暴力団、又は相当ハードなタイプのゲイが座っていて、銃撃戦、又は肉弾戦をおっぱじめないか。

・大便を漏らしている奴が3人以上いないか。

(小便であれは良いとかそういう問題ではない)

・こっそりマントヒヒが忍びこんでいて糞を投げつけられたり髪を引っ張られたりしないか。

・胸の高さまで浸水していてアロワナやオットセイが泳いではいないか。

・屋根と壁と床が無くなっていて富士急のジェットコースターを遥かに凌ぐ地獄の絶叫車両となっていないか、その場合両手をあげてワーッというのはokか。

・席にペダルがついていて時速200キロを超えるスピードで漕がされ膝と股関節が焼け落ちるとかそういう事はないか。

 

このように挙げればキリがないが、例え不利な環境となっても、指定した席に座らなければならない。

何故ならそれは指定だから。

これでは指定しているようで指定されているではないか。

こうなると、おみくじ感覚で指定席を買うのが正しい楽しみ方だろう。

ただ、大吉が思い当たらない。

大吉が入っておらず、末吉や凶ばかりでるおみくじを買う奴がいるだろうか。

 

だから俺は自由席を買う。

自由席であれば上記のような危険を全て回避することができる。

何故ならそれは自由だから。

自由席、名前も解放感に溢れている。

俺は何処へだって座れる。

よし、自由席、一枚。

あ、往復で。

 

 

今日のニュース

オーストラリアでトカゲ密輸しようとして日本人逮捕

沖合で遭難した女性、Apple Watchの通話機能で奇跡的に救助される

ウルカはデュビアを10匹

夏がくるぜ

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こんにちはウルカ。

 

少し行ったところに赤い屋根をした一軒家がある。

幸せそうな家族。

気さくな主人と優しそうな奥さん、元気の良い小学4年生の男の子と可愛い盛りの5歳の女の子の4人が暮らしていた。

庭には凄くカッコの良い古いレンジローバーがとまっていて、クルマやオートバイやアウトドアやドウブツが好きな主人とはよく立ち話をした。

若い頃に世界を放浪した話、やっとの思いで叶えたマイホームと自営の飲食店の話、猫や犬の話、子供の話、クルマやオートバイの話、ファッションの話、優しさや怒りについての話。

 

ある時、庭に小さな物置のようなものが新設されていた。

ニコニコしながら庭で水まきをしている主人に、あれは何ですかと尋ねると、今カブトムシの幼虫とサナギを育てているんだよ。150匹以上はいるかな。夏になったら近所の公園に全部放して子供達と昆虫採集をしたいんだよ。

ちょっと!やめてよぉ、そんなことしたらご近所に迷惑よ。

いつのまにかリビングから顔を出した奥さんがアハハと笑いながら言った。

主人は頭をかきながら照れくさそうに笑った。

 

それから暫く仕事が忙しくなった事もあり、赤い屋根も主人もその家族も見かける事はなかった。

 

夏も終わりになる頃、仕事がひと段落した俺は久しぶりの太陽の下、近所を散歩した。

あの赤い屋根の一軒家の前を通りかかると、何だか様子が変わっている。

庭をみるとカブトムシ小屋はなくなっており、かわりにテーブルやタンスなどの家具が乱雑に置かれている。

引っ越しでもするのだろうか。

そこへ丁度出かける所の主人が家から出てきた。

変わらない笑顔で話してくれた。

離婚した事、今は独りでこの一軒家で暮らしている事。

いやぁ、人生何があるかわかんないね。

だから面白いのかな。

主人は頭をかきながら照れくさそうに笑った。

 

あれから数年が経つ。

赤い屋根の一軒家は段々と古びて萎んでいくようにみえた。

レースのカーテンは所々破れ、レンジローバーは軽自動車にかわった。

庭に放置された三輪車はどんどんと褪せていった。

何となく気まずくなってしまい、俺は赤い屋根の一軒家を避けるように生活していたのかもしれない。

あの主人と会って話すことは一度もなかった。

 

昨日、駅であの主人を見かけた。

随分と太っていて見慣れないスーツ姿だったので、最初誰なのかわからなかった。

僕はね、スーツを着るような職業に就いた事がないんだよ。堅苦しいのが苦手でね。

と頭をかいた主人を思い出した。

向かいのホームにぼうっと幽霊のようにたっている主人は俺の視線に気づくことはなかった。

それでもまた頭をかきながら照れくさそうに笑ってほしかった。

また、夏がくるぜ。

 

 

今日のニュース

米宝くじ「パワーボール」、66歳男性が370億円を獲得

ウルカはデュビアを10匹

本当に全く静かになった

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おはようウルカ。

 

男は自動車の窓から腕をだらりと垂らしている。

この細い道で大きなトラックとすれ違えば、腕は乱暴に潰され、ひき千切られるかもしれない。

それでも男は腕を中へ引き下げようとはしない。

腕は潰れ、ひき千切れるかもしれないし、そうならないかもしれない。

そうならないかもしれないのであれば、腕を中へ引き下げる必要はない。

そう思っている。

両側に深い鼠色をした塀が続くこの道は、蛇の腹のように不規則に曲がっている。

呑まれた卵が奈落に落ちるスピードとこの自動車と、いったいどちらが速いのだろうか。

 

細い鼠色の道は唐突に途切れ、硝子の破片のような街が横長に広がった。

もとは墨色のアスファルトが、傾いた陽光で金色に表情をかえている。

ペテンのように道端で潰れている動物の死骸にカラスが群がっている。

男は死骸が自分の飼い犬ではないかと想像するが今度も違っていた。

陽光が潰れた死骸とカラスをてらす。

死骸は太々しくいつまでも潰れたままで、カラスは勇ましくとがった管楽器の様な音を立てて飛び立つ。

一羽、また一羽と黄金色の空に穴をあける。

小さな穴は亀裂をつくり、やがて黄金の空を粉々に砕くだろう。

 

男は自動車の窓から腕をだらりと垂らしている。

カーステレオからは使い古されたポップスが流れている。

首にある下手くそなイレズミが、汗と埃で薄汚れている。

交差点を右におれて少しいった所にあるコインランドリーで自動車をとめる。

男はコインランドリーに入ると着ている服をすっかり全部脱いで、洗濯機に投げ入れる。

コインを三枚とりだす。

コインはブーツの隠しポケットのなかにある。

 

ぐるぐるとまわる洗濯機をみている。

男は自分の服が無抵抗にもみくちゃにされている様を見るのが好きだった。

それは一方的な暴力であり、浄化だった。

暫くして洗濯機は素っ頓狂に甲高く鳴ったかと思うと、気怠そうに動きをとめた。

本当に全く静かになった。

 

男は幾分綺麗になった自分の服を着ると、気持ち良さそうに伸びをする。

そして深く息を吐くと、再び自動車にのりこむ。

 

男は自動車の窓から腕をだらりと垂らしている。

大きなトラックとすれ違えば、腕は乱暴に潰され、ひき千切られるかもしれない。

それでも男は腕を中へ引き下げようとはしない。

腕は潰れ、ひき千切れるかもしれないし、そうならないかもしれない。

そうならないかもしれないのであれば、腕を中へ引き下げる必要はない。

そう思っている。

雑音がきえる。

本当に全く静かになった。

 

 

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ウルカはデュビアを1匹

ピストルよりも怖ろしい

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おはようウルカ。

 

最近は離れていても色々測れて便利だよな。

温度や距離や明るさやら。

俺はガンタイプのレーザーを当てるとその部分の表面温度が測れる放射温度計というのを愛用しているよ。

爬虫類を飼育する者にとっては必需品だね。

今朝も交差点で隣に停まったレクサスのおっさんのデコにこっそりレーザーを照射すると、26.3度だった。

低すぎる、ゾンビか?!と思ったが、体温じゃなくて表面温度だからまあ、そんなもんだろう。

 

通勤時間にクルマを運転をしていると、様々な人を見かける。

ルームミラーでの鼻毛チェックがエスカレートしてしまい、この世のものとは思えない形相になっている人。

カップのあさり味噌汁を飲んでいて、案の定こぼしてパニックに陥っている人。

ファンデーションなのか何なのか、顔面を激しくはたきまくっていて、後ろから見ると完全に狂人な人。

興奮気味に歯磨きをしている人。

美容体操なのか変顔選手権に出場予定なのかわからんが、顔面七変化を繰り返す人。

など。

車内はプライベートな空間に感じるが、実はガラス張りになっており、外から丸見えなことを知らないのか、気にしない鉄のハートなのか。

 

ハートといえば、ドーパミンセロトニン、アドレナリン等の神経伝達物質をレーザーで計測できれば、感情や心理を測れるかもしれないな。

ガンタイプの感情心理計を突きつけられるなんて、ある意味ピストルよりも怖ろしいかもしれないぜ。

 

 

 

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