サイズ
おはようウルカ。
LEGOというものがある。
カラフルなブロックを組み合わせて、動物やお家やロケットをつくって遊ぶことができる。
あのブロックのひとつひとつを目に見えないほど小さくして、色数を65,536色くらいに増やす。
その細かなLEGOで正確に作ったキノボリカンガルーやベンガルハゲワシは、人間の目には実物として映るだろう。
上級者は関節や内臓、脳や魂までもブロックで形成して、本物と同然につくりあげるようになるかもしれない。
問題は、ひとつひとつのブロックが小さすぎるということ。
「見えない、持てない」では、LEGOの魅力が半減してしまう。
開発首脳陣は、あたまをなやませた。
製品化は、まさに暗礁に乗り上げた。
このピンチを救ったのは、開発チームの1人、ジャック・ラッセル・ハミルトンのひとり娘、6才のメアリーの言葉だった。
「パパ、小さなブロックで普通の大きさのキリンさんを作るより、普通のブロックでとっても大きなキリンさんを作る方が楽しいよ。あたし、とっても大きなキリンさんが見たいな」
「…そうか、そうだったのか!ありがとうメアリー!」
ジャックはきつくメアリーを抱きしめると、おでこにキッスをした。
「いたいよ、パパ」
「あはは、ごめん、ごめん」
今日のニュース
レゴ・エキスパート・パッケージ
12.25発売開始!
世界震撼!
ついに禁断の扉がひらかれる…
約23000倍の大きさの動物を作ろう!
実物と見紛うほどのリアリティ!
工夫次第で関節や内臓、脳や魂までも組み立て可能!
通常のブロックの約半分のサイズでコンパクト!
65,536色、87000,000,000,000個入り
全国のLEGOショップにて予約受付中
乳がんが完治したことを知らされた女性、その「10分後」に宝くじで『1億円』が当たる
絶滅したと考えられていたマメジカが30年ぶりに姿を現す(ベトナム)
顔をカエルに食べられている状態で彫刻されている貴族の墓碑がある
ウルカはデュビアを8匹
ボルネオオランウータンの幽か
おはようウルカ。
随分前に、といっても数ヶ月程度だと思うけど、このブログにパタパタ時計を買った話を書いた。
遡って調べるのが面倒だけど、遡ろう。
これから書く事に関わるからな。
おう、おう、遡ってきましたよ。
パタパタ時計を買ったのは今年の5月26日だった。
あれからもう半年か…
このパタパタ時計は、セイコーというメーカーの1980年代に製造されたデッドストックだそうだ。
まあ、数千円で買ったので、高い買物ではなかったのだと思う。
寝室で使っており、1分進む毎に、スサッ…って、ほんとうに幽かな音がする。
これがなんとも気にいっている。
時計の音はチクタクだけではないのだな。
さておき、このパタパタ時計、約半年の間、1分も時間がズレていない。
電波のおかげで常に正確な時間を表示するスマートフォンと数秒程度の差をキープしている。
凄い精度ではないか!
半年間もこんなに時間がズレないなんて!
電波時計は、ちらちらとカンニングしているくせに高得点を威張っている姑息な奴というイメージがあって好きじゃない。
非・電波時計は、ちょいちょい俺が代理でカンニングして時刻合わせをしてやらなければならない可愛さがあるね。
なのに、このパタパタ時計は、セルフ・カンニングも、プロキシ・カンニングもなしに、半年間も正確かつ癒しの「スサッ…」を提供してくれている。
すげえなお前。
ありがとう、40年前のパタパタのセイコー。
ありがとう、古時計屋の暑苦しいオヤジ。
ありがとう、この時計を選んだあのときの俺。
ちなみにアラーム機能も付いていて、試しに鳴らしてみたのだけど、あまりの不快な音に、首を捻挫しそうになった。
あんなに素敵な「スサッ…」を囁くのに、大声はボルネオオランウータンの悲鳴みたいなんだな。
このアラームの赤いボタンは、強盗にでも入られない限り押す事はないだろうよ。
今日のニュース
謎めいた液体や歯が入った「魔女のボトル」が煙突から発見される
どの国に富が集まっているのか?世界各国の資産を地図で視覚化、アジアでは日本が2位に
ワンオペのワッフル店。スタッフの窮地を救ったのは親切な顧客たちだった
捕食者の存在が獲物集団の健康改善に役立つ可能性が示唆される
ウルカはデュビアを2匹
死と毛布の間に
こんばんはウルカ。
自分がメインの会議中とか、重要っぽい時に、ふと浮かんでしまって、どうしても頭から離れないことがあることって、あるよな。
頭で生卵を割る、手が滑って卵が床に落ちる
卵で床が汚れちゃった
生卵で頭を割る、卵が滑って床が卵に落ちる
床で卵が汚れちゃった
俺は今、社内向けのプレゼンをしているのだけど、これが浮かんでしまい、具体的な映像まで脳内でループ再生されるという状況に陥っている。
特に「床で卵が汚れちゃった」ってフレーズが気に入っている。
うわのそらのプレゼンに、誰が心を打たれるだろうか。
同僚が、彼のパートをプレゼンしている隙に、恰も資料を整理しているかのようにこれを書いている俺は、今日も絶好調だよ。
今日のニュース
チアリーダー(娘)のダンスを完コピし観客席で無我夢中で踊るパパが最高
約5300年前のミイラ、エッツィ(アイスマン)は最後の日々をどう過ごしたのか?コケ類の分析で新事実が判明
「死ぬなんてありえない」脳にはリアルな死の実感から逃避するメカニズムがある(イスラエル研究)
ウルカはデュビアを15匹
面として僕に対に対面と面として面の僕に
こんばんはウルカ。
クモハ289ー303に乗っている。
バッグから丸めたナイロン製の上着を取り出して羽織る。
雲が、大陸のように空にある。
雲色の大陸を太陽が半ば透過するように照らしている。
太陽は、雲よりも随分と小さいものだと思っていたけれど、反対で、雲など比べ物にならないほどに太陽は大きいらしい。
遠くに見えるあの親指くらいの樹木が、本当は見上げるほどに高いのと同じことなのだそうだ。
この足元の陸とあの雲では、どちらが大きいのだろう。
本当はとても大きなものも、遠く離れれば小さくなる。
それは目に見える大きさだけでは無くて、音も、匂いも、温度も、優しさも、悪意も、哀しみも、愉快も、痙攣も、病も、狂気も、過去も、行く末も。
距離は大きさや強さを調節してくれる。
なのに、このタブレット端末の中にある情報や、人いきれは、どれも同じ距離で、目の前に在るか、全く無しかのどちらかだ。
タブレット端末を少し遠ざけてみたけれど、文字や映像を僕の目が解像できなくなっただけで、情報も、人いきれも、ざわざわと全く同じ距離で横一列に、縦一列に、またはその両方に並んで面として僕に対面している。
僕は恐ろしくなって、タブレット端末の電源をoffにする。
ブラックアウトした画面には、眩しそうな、泣きそうな、笑いそうな僕が、いつもと同じくらいの距離で映っている。
僕は僕と面として対面しながら、 眩しそうな、泣きそうな、笑いそうな僕を、少しだけ近づけてみた。
すると僕の面と面の僕は、面と面とで僕に対に面と面として僕と対に対面と面して面として僕に対面と面して僕に面と面とが面と面とで対面として僕に対に対面と面とした面とで僕に対に対面したい面としても僕に対面と面と面として面とて面の僕が対面と面を対面として面が僕に対して面の僕は対面と面で面とで僕に対面したい面と面としても僕に面と対に対に対に僕に対に対面した。
クモハ289ー303に乗っている。
羽織っていたナイロン製の上着を丸めてバッグにいれる。
雲が、大陸のように空にある。
雲色の大陸を太陽が半ば透過するように照らしている。
クモハ289ー303は少しの振動を僕に伝えながら、僕の知らない街を進んだ。
今日のニュース
プレスして潰したペプシの缶ってプリングルズの缶にどれだけ詰め込めるのかの動画
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あらゆるがん細胞を殺してくれると期待のウイルスが開発される。来年にも人体での治験を開始
犬の七変化。ジャーマン・ショートヘアード・ポインターを小道具とコラを使って面白変装させるインスタグラム
悪用されたらヤバイ!専門家が危険視する文章生成AI(人工知能)の完全版がリリースされる
ウルカは休食
奈津江
こんばんはウルカ。
タクシーが、雨粒で不透明になったフロントウィンドウをワイパーで拭っている。
扇状に雨粒を拭われたフロントウィンドウは、車内の湿度でやっぱり不透明のままで、
タクシーは半ば投げやりにウィンカーを灯したり消したりしている。
後部座席には、サイドウィンドウを貫通しようとする街の明かりを、髪の長い人影が遮っている。
乗客がいるのだろう。
私という主観は同時には一つしか存在しないので、雨粒や湿度で不透明になったタクシーの車内を感じるには、交差点でウィンカーを灯したり消したりしているタクシーに駆け寄り、ドアを開け、乗り込む、または後部座席に乗っている髪の長い乗客の身体を借りる必要がある。
拭われていないサイドウィンドウの雨粒と、白い湿度のフィルターは、街の灯りをどんなに綺麗に滲ませていることだろうか。
私は、とてもそれを感じたいと思った。
交差点でウィンカーを灯したり消したりしているタクシーに駆け寄り、ドアを開け、乗り込む方が一般的な手段ではあるが、このままでは交差点を曲がって走り去るタクシーに追いつけそうもない。
私は髪の長い乗客の身体を借りることにした。
主観の移動は光よりも速いので、タクシーに追いつくのは容易である。
問題は抜け出た身体に多重の主観がない場合、機能を停止する。
要するに死体が歩道の上に転がることとなる。
どういうわけか、一度抜け出た身体には再度入ることができない。
この身体にはあいにく私一人しか入っておらず、私が抜け出れば文字通り、もぬけの殻となる。
今まで借りていたこの身体に愛着や感謝がないわけではないので、私は屋根のある、できるだけ静かな場所を選んで腰を下ろす。
さようなら、突然私が死んで家族は驚くかもしれないけど、私は雨粒と白い湿度のフィルターが滲ませた街をみたいの。
指で窓の内側から白い湿度の膜に触れてみたいの。
それに、厳密にはあなたは私ではないわ。
私という主観はあっという間にタクシーに追いつくと、後部座席の髪の長い乗客のなかへ入る。
当然、髪の長い乗客のなかには先客が一つ以上は居るはずなので、うまく折り合いをつけなければならない。
こんばんは、私、どうしても雨粒と白い湿度のフィルターが滲ませた街をみたくて。
それから指で窓の内側から白い湿度の膜に触れてみたくて、こんなところまでやってきてしまったのです。
どうかなかへ入れてもらえませんか?
ほら、私、痩せているでしょう、多重主観となったとしても、そんなに邪魔にならないわ、大部分の時間はあなたに譲るから、この車内を、滲んだ美しい街を、存分に感じたいの。あなたはもう十分感じたでしょうから、しばらく主観でいさせて。お願い。
久美:えっ、お母さん?
浩二さん:奈津江?
大智:ママ〜?
義父:奈津江さん?
義母:あら、奈津江さんじゃない?
母:なっちゃん、どうしたの?
えっ! 久美!? あなた!? 大智!? 義父さん、義母さん、それに母さんまで!??
私:この身体って.....
母:女装したお父さんの身体よ。私たちは疲れたからもう寝るわ。詳しい話はまた明日。好きなだけ滲んだ街を堪能しなさい。明日はこの身体を捨てて逃げ出したお父さんを探さなくちゃ.....
今日のニュース
観葉植物に空気清浄効果は期待できない、ジャングルなみに大量に置かないと効果は得られない(米研究)
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ウルカはデュビアを6匹
グランディーバ・マッシヴ
こんばんはウルカ。
駅前に、行きつけの寿司屋がある。
昔ながらの江戸前寿司を謳っているが、大将は南国出身だったりする。
カウンターと、奥に4人がけの席が五つくらいの店。
俺はこの店のカウンターで、本やら動画を持ち込んでは昼間からだらだらと過ごすのが好きだ。
なんの変哲もない日常にこそ幸福があるというやつである。
なんだかんだで、ひと月ぶりに訪れると、店内の雰囲気が少し変わっており、なんとなく小綺麗になったような、なっていないような…
よく見ると、各席にはタッチパネルが置いてある。
おお、大将、とうとうここもタッチパネル導入ですかいな?
へい、いらっしゃい!お兄さん、そうなんですよ!
時代ってやつです、
今日も、おしとりで?
悪かったねぇ、一人で。
カウンター、ここでいいっすか?
どうぞどうぞ!
おしとりさまあ、いらっしゃいませぇ〜
らっしゃいませぇ〜
らっしゃいませぇ〜
らっしゃいませぇ〜
らっしゃいませぇ〜
大将の他に4人ほど店員の姿がみえる。
カウンターに座ると、目の前にタッチパネルがあり、「カテゴリーをお選びください」とある。
従来、宇宙、飢餓、育成、自己完結、峠越え、グランディーバ・マッシヴ、
いくつかのカテゴリーが並んでいるが、「従来」以外は、タッチする事も大将に質問するのも面倒くさい。
俺はこの店に、このカウンターに、なんの変哲もない日常を求めているのである。
だいたい、グランディーバ・マッシヴってなんだ。
意味すらわからない。
俺は迷わず、「従来」をタップする。
パネルの画面が切り替り、「従来」が始まった。
お兄さん、なんにしやしょう?
ああ、ええっと、江戸前にぎり五貫と冷酒、それから、漬けマグロください。
はいよー!
俺は読みかけの本を開く。
なんの変哲もない日常が始まった。
これでいい。
これがいい。
しかし、しばらくすると俺は如何しても別のカテゴリーをタップしたくて堪らなくなる。
なんの変哲もない日常を幸福と感じる事ができるのは、目玉がひっくり返るほどの非日常があってこそなのではないか?
非日常を体験できる絶好のチャンスを易々と見逃して良いのか?
良い訳がない。
人間の特徴として、無意味、無益なものやことを愉しんだり、盲信するという習性がある。
人間として存在している以上、人間を愉しまなくてどうする。
俺は隅に追いやっていたタッチパネルを手に取ると、画面をタップする。
パネルが目を覚まし、再びカテゴリーが表示される。
握り、軍艦、汁物、一品物、お飲み物、デザート、グランディーバ・マッシヴ・ミシシッピー、
俺は、迷わずグランディーバ・マッシヴ・ミシシッピーをタップする。
大将が、ニヤリと笑ったようにみえた。
今日のニュース
【衝撃の事実】10年前に買ったマクドナルドのチーズバーガーとポテトにほぼ変化がないことが判明
上司がひざまずき、営業成績の優れた部下の足を洗う。中国企業の式典で行われた驚くべきパフォーマンス
太陽系のアステロイドベルト(小惑星帯)から飛来する小惑星を避ける術を我々はまだ知らない
ウルカは休食
口から、出しなさいよ
こんにちはウルカ。
おい、ウルカ、それは食料ではない。
旨そうにみえるかもしれんが、違うんだ。
俺のペットなのだよ。
ほら、人間でも食用家畜をペットとして可愛がっている奴がいるだろ?
あれと同じ感じで接してくれる?
おい、だから喰うなって。
口から出しなさいよ。
よし、キモい前置きはさておき、人類が爬虫類飼育にハマるきっかけとなる入門的存在のヒョウモントカゲモドキ a.k.a レオパードゲッコーについてふれよう。
ヒョウモントカゲモドキ a.k.a レオパードゲッコーは、うちにも数年前より3匹ほどが滞在しているが、その可愛らしいルックス、野生で生き抜く事ができているのが疑わしいほどの超スローな動き、人慣れ、無体臭、鳴かない、泣かない、寿命は猫くらいで上手に飼育すると20年以上生きる、成体になっても20cmそこそこの手のひらサイズ、大福餅のような食感、いや、触感。専用フードが豊富でエグい虫餌とか無しでもいける、丈夫で飼育方法が容易でなので1週間くらい家をあけようが余裕、なんならポケットへ入れて旅行や出張へ連れて行ける、モルフといわれる豊富な模様、色バリエーションがあり、わたし、ぼくだけの1匹を選べる、集める、かけあわせてオリジナル・モルフを誕生させることができる、光を必要としないので、勉強机のひきだし、ベッドの下、食器棚、パーカーのフード部分などでこっそり飼える。
というアメイジングな生物で、女性にも人気なことから、最近では小型犬を出会いのだしにつかっていたゲス野郎どもが、こぞってヒョウモントカゲモドキ a.k.a レオパードゲッコーをポケットに忍ばせているとの情報もキャッチしている。
ゲス野郎 × ヒョウモントカゲモドキ a.k.a レオパードゲッコーという、次号an・anのカバー・コピーが目に浮かぶようである。
おい、ウルカ、だからそいつを口から出しなさいって。
*まぎらわしいけど、上の写真はウルカではなく、危うくウルカに喰われそうになったヒョウモントカゲモドキ a.k.a レオパードゲッコーです
今日のニュース
実際に見なくてもいい。人は明るいものを想像するだけで瞳孔の大きさが変化する(英研究)
レバノンの“反政府デモ”、1人のDJによって『フェス状態』に「幼児向け楽曲」も流される
古代エジプトの猫のミイラの中身をCTスキャン、3匹の猫の体の部位が入っていたことが判明
銃弾で撃たれても砕けない、ゴムのようなコンクリートが開発される(ロシア研究)
BMWとコラボした実写版バカボンのパパはなんかカッコいいのだ BMW THE 1の機能をバカボン一家がスタイリッシュに紹介するテレビCMが公開
ウルカはデュビアを8匹、ささみを8切れ、砂肝を6切れ
世界をすくう
こんにちはウルカ。
随分と人口が増えたね。
陸や海も汚れてきたし、石油も減る一方だよ。
高層な建物を乱立したり、道や列車のダイヤを増やすよりも、地球をコピー・アンド・ペーストで3つに増やそうよ。
3つの地球は団子みたいに並んで太陽の周りを公転すれば、特にだれにも迷惑かからないんじゃない?
それは良いね!そうしよう、そうしよう。
でもさ、地球をコピー・アンド・ペーストしたら、人間もコピー・アンド・ペーストされちゃうから、同じ人が3人に増えて別々の星で同時に生きる事になって、騒がしい星が2つふえるだけじゃない?
あっ、そっか。
すんませーん、生中、おかわり!
今日のニュース
動物でも光合成ができる可能性が。血管に藻類を注入することで細胞に酸素を供給できることが判明
アイルランドが「ラテ税」導入へ、使い捨てコーヒーカップに課税
偽警官、本物の警官の見ている前で逃走中の車を追いかけ犯人を拘束。だがその後本物に逮捕される
「コレじゃない」感を商品化 長~い足が現れるホッキョクウサギのポーチが誕生
ウルカは休食
線路と線路の間の草叢
こんにちはウルカ。
大きな街の駅が近づくと、何台もの列車が行き交うことができるように、線路の数が増える。
線路と線路の間に、小さな公園ほどの広さの草叢があるのがみえる。
その草叢には人の背丈ほどの草が鬱蒼と茂っており、なぜ手入れをされないのか不思議なほどである。
列車の走行に影響したりしないのだろうか。
私は上り列車の車窓から、なんの気無しに線路と線路の間にある草叢をみている。
職場に着いたらやらなければならない事の数を数える。
ランダムに、草がゆれている。
草は風でゆれることで種を飛ばして生命をつなげるそうだ。
全ての物事には意味があり、繋がっている。
ふと、草叢のなかで人影がみえた。
見間違いだろうか。
保線作業員?
いや、私がみた人影は、上半身裸でねじり鉢巻をまいていた。
保線作業員ではないだろう。
人々がコートを着たり、マフラーを巻く季節に上半身裸とは不自然である。
いや、それ以前に、線路と線路の間の草叢に作業員ではない人間がいること自体が普通ではない。
私はもう一度目を凝らして草叢をみる。
鬱蒼と茂った草と草の間に、逞しい体躯をした初老の男が短く刈り上げた頭に白いねじり鉢巻をまいているのが見えた。
何か長い板のようなものを持っている。
それから、目を凝らして草叢を見たことによって、上半身裸ではなく、全裸だという事が新たにわかった。
「もう、そんな時季なのね。あなた、あれがみえるの?」
えっ...
いつの間にか、目の前にレザージャケットを着た女が車両のドアに凭れかかるようにして腕を組んだ格好で立っている。
ドアにはめ込まれた窓からあの草叢を見て、それから私をみると、独り言のような口調でこう言った。
「もう、そんな時季なのね。あなた、あれがみえるの?」
えっ...
「あなた、あれがみえるのね?」
あ、ああ、あの裸の...
「やっぱり。みえるのね。次の駅で降りるわよ。」
えっ、いえ、あの、これから会社に行かなければならないので...
「いいから、あなたは選ばれたのよ。」
女はそう言うと私を強引に列車から引き摺り下ろした。
線路と線路の間にある、あの草叢の前に立っている。
女と私はホームから線路に飛び降り、2キロほど歩いた。
私は初めて歩く線路内にビクビクとしていたが、警報が鳴ったり、鉄道職員に止められることはなかった。
「おお、来たかあ。今日も誰も来ないかと思ったよお。」
草叢の内側から全裸でねじり鉢巻の男が背丈ほどある草をかき分けて姿を現した。
逞しく毛深い身体をしている。
ああ、はい、あの、私はこの人に無理やりに...
横を見る。
ついさっきまで隣にいた女の姿はさっぱりとなくなっている。
ああ、いえ、私はその、よくわからないのですが...
「なんだよお!シャキッとしろよお!収穫男(ハーベスト・マン)に選ばれたんだよお、お前さんはあ!」
わけがわからない。
収穫男(ハーベスト・マン)とはなんのことだろう。
「まあいいからこっちへ来な!」
全裸の男に手を引かれ、草叢の中へ引き込まれる。
鬱蒼と茂った背丈ほどの草が体や顔に当たり、行く手を阻む。
難儀をしながらしばらく進むと、ひらけた場所に出た。
それから、なぜか私は全裸となっていた。
草をかき分けているうちに服や靴が脱げたのだろうか。
ひらけた場所の真ん中には、岩で囲まれた小さな池のようなものがあり、湯気がたっている。
温泉?
「さあ、入りねえ。俺がしっかり湯もみしといてやったからよお!」
全裸の逞しく毛深い男はそう言うと、温泉地で見たこのとある湯もみ板を得意げに私に見せると、ワッハッハと笑った。
えっ...ああ、はい、ありがとうございます...
草でなんとなく隠れているとはいえ、街の中心の大きな駅の近くの立ち入り禁止区域内で、全裸になっている事実に、顎が外れるほど慄いていると同時に、自分でも信じられないほど冷静に、こうなれば温泉をたのしんでやろうと開き直っている私がいる。
足で、柔らかで温かい湯に触れる。
ゆっくりと全身で湯に浸かる。
あゝああぁぁ。
「ええ気持ちやろがあ!ワッハッハ!」
全裸の逞しく毛深い男はそう言うと、ヨイショイ!ヨイショイ!と湯もみをする。
目の前を急行電車が猛スピードで通過する。
風が、草をかき分ける。
線路と線路の間の草叢の中の温泉に浸かっている全裸の私が露わになる。
私は思わず湯船に潜り、姿を隠した。
しばらくして湯船から顔を出すと、先ほどまで傍でヨイショイ!ヨイショイ!と湯もみをしてくれていた全裸の逞しく毛深い男の姿はきっぱりとなくなっており、後には湯もみ板が転がっているばかりだ。
風が、ランダムに草を揺らしている。
草は風でゆれることで種を飛ばして生命をつなげるそうだ。
全ての物事には意味があり、繋がっている。
私は何故、列車が行き交う線路と線路の間で温泉に浸かっているのだろうか。
収穫男(ハーベスト・マン)とはなんのことなのだろうか。
1番おおきな数字や、宇宙の果てように、いくら考えてもわからない事はあるものだ。
私は、もう少し湯に浸かっていることにした。
出社してやらなければならないことをもう一度数えてみるが、よく考えると重要なことは一つもなかった。
草と草の間から、鈍行列車が行き過ぎるのが見える。
ふと鈍行列車の屋根の上を見ると、ビキニ姿の貴婦人が日傘をさしてリードに繋いだ銅色のポメラニアンを散歩しているのがみえる。
「もう、そんな時季なのね。あなた、あれがみえるの?」
えっ...
今日のニュース
「眠れる森の美女症候群」に苦しむ少女と母親の物語。最長で2ヶ月間も眠り続ける
ペローリ剥がせる人工極薄被膜が製品化! 花王「ファインファイバーテクノロジー」12月4日より登場
ウルカはデュビアを1匹
正解電飾
こんばんはウルカ。
無数にLED電飾を括り付けられた街路樹が、オフィス街に並んでいる。
夜になると冗談のように一斉にLED電飾が点灯して、辱めをうける街路樹たちは、何を想うのだろう。
私はそんな街路樹たちの下を申し訳ない気持ちで歩いている。
人間の中にも、私みたいにあなた達への仕打ちを申し訳なくおもう個体もいるのよ。
でも、私は無力で、なにもしてあげられないわ。
ごめんなさい。
コツコツと冷たいコンクリート製の路面と私のヒールが衝突する音が街の喧騒のなかでもはっきりときこえる。
私には、LED電飾を身体中につけて他の種族を愉しませろと言われたら、断る勇気があるのだろうか。
生きるためだからと自分に言い聞かせて受け容れる自信がある。
私には、そういう自信はあるの。
自信があるのは良いことよ。
自信とは自分を知ること。
知らないのに信じることはできないもの。
勇気と自信だったら、どちらが大切なのかしら。
コツコツと冷たいコンクリート製の路面と私のヒールが衝突する音が街の喧騒のなかでもはっきりときこえる。
私は自分が誰なのか知っている。
それだけで十分じゃないの?
ついいましがた、こんな事を考えていそうな表情をした女がイルミネーションで年末気分に拍車をかけて浮かれまくっている街中を歩いているのを見かけたよ。
まあ、絶対そんな事考えてねえだろうけどな。
他人が考えている事が全部わかっちゃう装置なんてつまんないけど、他人が考えている事を万が一当てる事ができたら、正解!または○!って背中に括り付けられたLED電飾が光る装置があったら面白いじゃないの?
今日のニュース
吸血コウモリの友情は固い。実験室で芽生えた友情が野生に戻った後も継続されていたことが判明
マイケル・ジャクソンのファンがDNAテストを要求するほど「そっくり」と言われる男性がこちら
戦場にいる兵士のために空から届けられた特別仕様の戦場ピアノ
孤児のために巨大料理を作り続けた73歳のユーチューバーが死去、収益は全て慈善団体に寄付していた(インド)
ウルカはデュビアを2匹
タケ9%
こんばんはウルカ。
層師という者がある。
層師は物事を重ね合わせて一つの物事をつくる職人である。
先ず、ベースとなる層を決め、それから重ねる層とその透明度を決める。
たとえば杉浦さんをベースにして、山本さんを透明度30%、ペルシャ猫を透明度10%、ビーフシチューを透明度9%、ゴンザレスを透明度1%で重ねる。
すると50%は杉浦さんで残りの50%は山本さんやペルシャ猫やビーフシチューやゴンザレスで形成される。
ただしこれは、杉浦さん本人以外の者からの見え方や感じ方であり、ベースとなる杉浦さんの100%が50%に削られるわけではないので安心!である。
対外的には杉浦さんは50%となるが、対内的には杉浦さんは100%であり、プラスされた50%の異なるものを通して世と接する。
要するに、杉浦さんは対内的に150%の存在で存在することとなる。
重ねられた山本さんやペルシャ猫やビーフシチューやゴンザレスが気に入らなければ、何度でも重ね変える事ができるし、さらに山田やバターや海水などを重ねて、200%以上を目指すことだってできる。
しかし、対内的に200%を超えるということは、対外的に100%ベース、要するに杉浦さんの存在は見たり感じたりできなくなるため、余程の恥ずかしがり屋でなければ、少なくとも10%くらいはベース、要するに杉浦さんを残すのが一般的である。
最近ではネット上にチュートリアルが豊富にアップされており、手軽に層師の技術をマスターする者も増えているそうだ。
ここまで書き終わると、俺は自分から「平山タンバリン32%」という層を剥ぐ。
それから、隣に座っている男から「同僚のタケ9%」という層を剥ぐと、職後の一杯に誘った。
今日のニュース
血管を備えた「生きた皮膚」を3Dプリンターで作成することに成功
人体実験から炭疽菌まで。本当に行われていた恐ろしい10の科学実験
犬は犬好きの人がちゃんとわかる。路上で踊りながら近付く男性を見た野良犬、尻尾を振って応える(トルコ)
ウルカは休食
濫觴
こんばんはウルカ。
カタカタと窓ガラスが鳴っている。
こんな寂れた街の、今にも崩れ落ちそうなビルとビルの間にも、風が吹き抜ける。
気持ちよく吹き抜けることができる場所は他にいくらでもあるだろうに。
ものずきな風もあるものだな。
オレは掠れた革張りのソファーに転がり、虫食いのような模様が大変不愉快な天井板を見上げながら、非・電子タバコをふかしている。
テーブルには潰れたビールの缶と、随分前にキャパシティーをオーバーした灰皿、それからタンバリン。
オレは4時間前、橋の上で不思議な動物を肩にのせた男からこのタンバリンを預かった。
不思議な動物を肩にのせた男は血塗れで、息が荒かった。
4トン車にでも撥ねられたのだろうか。
肩にいる不思議な動物は男の啻ならぬ様子とはうらはらに、静かに、眠るようにオレを見つめていた。
金色をしたその動物は、半分が炎のような気体で、空気との境があやふやに見える。
血塗れの男は、オレを凭れかかるように掴むと、こう言った。
悪いな、このタンバリンと、こいつを頼む。
こいつの名はウルカ。
振り返らず、走れ。
ここは俺がくいとめる。
さあ、いけ!
あの血塗れの男はなんだったのだろう。
出血で頭がおかしくなっていたのだろうか。
カラオケ屋に置いてあるような安物のタンバリンと、おかしな動物をオレに押しつけると、橋から飛び降りた。
オレは橋の下の暗い川面を見たが、男の姿はなかった。
死んだのだろうか。
まあ、どうでも良い。
面倒なことに関わるのは御免だ。
男が肩にのせていた動物は窓枠に座り、さしこむネオンの光を浴びて、大きなあくびをしている。
スマートフォンで写真を撮り画像検索をしたところ、コガネオオトカゲという種類の生き物らしい。
先程までの炎のようにあやふやな質感ではなく、しっかりとした鱗におおわれている。
ウルカ。
名をよんでみる。
ネオンの光を浴びるコガネオオトカゲは、一瞬、また炎のようにあやふやに揺らいだ。
今日のニュース
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ウルカは休食
父親は10年間にひとりまで
こんばんはウルカ。
ロレックスという腕時計をつくっているメーカーがある。
正規店で購入するには身分証明と登録が必要で、1度購入すると、同じ商品は5年間購入することができない。
さらに、同メーカーの他の商品についても1年間購入することができないそうだ。
ほかのものも全てそうしたらどうだろう。
靴も鞄も服も箸も自動車も洗濯ネットもギターもスケボーも束子もMacも爪切りも犬も父親も椅子も、1度購入したら5年とか10年とか20年とか、または一生に一度しか購入できない。
とすれば、購入者は大切に大切に使うだろうし、メーカーは品質を極限まで高めるだろうし、資源の節約にもなるだろう。
それでは、弟か姉でも買いに身分証を持ってファミリー・マートへいってきます。
今日のニュース
フードデリバリーのアプリで野良犬に食べ物を配達する男性
二重生活を送っていた猫。別宅では別の名前で呼ばれ、とてもかわいがられている事実がついに判明
ウルカはデュビアを12匹
ラーダ・ニーヴァ
こんばんはウルカ。
ロシア製のラーダ・ニーヴァというクルマがある。
俺は今日初めて実物をみたのだけど、形、サイズ感ともに凄く良いね。
本国ではプーチン氏も愛用しているとかいないとか。
信号待ちで隣になったラーダ・ニーヴァは白色で、左ハンドルの運転席には、拘りと蘊蓄がウザそうな顔つきの女が拘りぬいたであろう、ビンテージであろう帽子をかぶって座っている。
カーオーディオから流れる音楽はきっと下北沢あたりの雑貨屋風なのであろう。
俺のクルマよりもひとまわり小ぶりなラーダ・ニーヴァは、弱ったサイレンのような音を終始発している。
仕様なのか不具合なのかは分からんが、いつパッタリとエンジンが止まって、うんともすんともいわなくなるかわかりませんよ感が鈍いオーラとなって滲みでている。
これがまた堪らなくいい。
危ういと感じる緊張感を極力排除しようと努力してきた昨今の工業製品にはない魅力だね。
マニュアル・モードとか、スポーツ・モードとかあるんだから、今にもぶっ壊れそうっす・モードがあっても良いのに。
俺はどうやら危ういものが好きなようだよ。
昔はしらんが最近の玉置浩二、とか、カバディとか、不器用な奴が作った玉子焼きとか。
危うい食べ物というと生牡蠣、となるわけだが、凄く好きだね。
万人うけしない味、食い物なのか疑わしいルックス、まずまずの確率で食中毒に陥るという危うさ。
いいね。
そろそろ牡蠣のシーズンだ。
生牡蠣を食う為に今にもぶっ壊れそうなクルマに乗って東北の果て港町を目指す。
持ち物はライターと毛布と1万円札3枚だけ。
いいね。
ああ、スマートフォンを置いていったらブログが書けんな…まあ、いいか。
今日のニュース
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片足しか持たない男性、「彼にしかできないハロウィンの仮装」が面白すぎてバズる
ウルカはデュビアを12匹
軌条の上
こんばんはウルカ。
軌条の上を歩いている。
地面と平行に両手をぴんとはって、平衡に平衡に。
軌条の高さは15センチメートルほど。
足を踏み外したとしても、約15センチメートル落下するだけである。
少し心拍が速まる程度のことだろう。
これでは刺激がない。
私は地面を、雲が流れる空ということにする。
軌条の下では雷雲に乗った小ぶりの太鼓をアーチ状にデコレートした雷神が、電々と太鼓を鳴らしながらブレイク・ダンスを披露している。
しばらくすると今度は絨毯に乗った褐色の肌をした三つ目の青年がやってきて、手にもつ銀色の食器から出現した蒼い肌をした怪物と唾を飛ばしあうほど烈しく言い合っている。男女関係のモツレだろうか。
頭上を見上げると、そこには海が逆さに波めいていて、先ほど見かけたブレイク・ダンスの雷神が、海面で電々と太鼓を鳴らしながらブレイク・ダンスを披露している。
しばらくすると絨毯に乗った褐色の肌をした三つ目の青年がやってきて、彼のもつ銀色の食器から出現した蒼い肌をした怪物と唾を飛ばしあうほど烈しく言い合っている。男女関係のモツレだろうか。
その上を、深緑とパープルが混じった金色のキマイラが飛んでゆく。
私は軌条の上を歩いている。
空中と平行に両手をぴんとはって、平衡に平衡に。
足を踏み外したとしても、無限に広がる空中を落下し続けると同時に上昇し続けるだけだ。
若干心拍が速まる程度の事だろう。
なんの刺激もない。
私の生きるこの現実世界には、限りなく始まりと終わりがない。
死を恐れることも、生を悦ぶことも無い。
幸福なことも、不幸なことも無い。
敢えてつくり出した、なけなしの抑揚で大袈裟に過ごすことが精一杯だ。
先程の絨毯に乗った褐色の肌をした三つ目の青年と銀色の食器から出現した蒼い肌をした怪物のように。
だけれどそれは、少し心拍が速まる程度の事だ。
私は眠っている時に見る夢が好きだ。
夢の世界には始まりと終わりがあり、死を恐れたり生を悦んだり、幸福や不幸を味わったり、欲望のために争い、騙し、奪い、嘆き、敢えて感覚を麻痺させて抑揚を感じないことが平穏だと思いこんだり。
なんて刺激的なのだろう。
早く眠りについて夢の世界へ入りこみたい。
このなんの刺激もない現実世界には別れを告げて、永遠に夢の世界で暮すことは出来ないだろうか…
私は軌条の上を歩いている。
地面と平行に両手をぴんとはって、平衡に平衡に。
ケンタウロスである私は、4本の足で軌条の上をぼんやりと歩いている。
私のような架空の生物が暮らすこの架空の現実世界には、限りなく始まりと終わりがない。
死を恐れることも、生を悦ぶことも無い。
幸福なことも、不幸なことも無い。
敢えてつくり出した、なけなしの抑揚で大袈裟に過ごすことが精一杯だ。
軌条を進んでいると、いつの間にやら駅に着いたようだ。
駅のホームには大勢の普通の人間がいて、私を珍しいものでも見るかのように指をさして何やら大声をあげたり、写真機を取り出して撮影をしたりしている。
けたたましい警報と金属の擦れる音と同時に、後方から電車が私に衝突した。
どうやら私は夢を見ているようだ。
軌条の上を歩いているうちにウトウトしたのだろう。
私のような架空の生物が暮らすこの架空の現実世界には、人間は存在しないし、電車と衝突して身体がバラバラになることもない。
私は、やけにリアルな自分から流れる赤い血と、いやにリアルな人間の悲鳴を遠くで聞きながら、そんなことを思った。
どうやら私は夢を見ているようだ。
だけれどそれは、少し心拍が速まる程度の事だ。
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ウルカはデュビアを14匹